菩提心の称賛《宝珠の灯》第340偈
340)空の宝石で暑さに苦しむ象が
蓮華のある泥沼に入るように、
心の宝石をもつ者は、菩提心の
湖に、まさしく自然に入る。
「空の宝石」とは太陽のこと。
「象」は修辞法を通して訳してあるが、
チベット語では
「手を具える(lag ldan)」で、
手を具えるように鼻が使えるので
象を示すそうだ。
暑さが厳しくなると
泥沼に入って涼を得る象は
昔も今も変わらない。
「心の宝石」は
自ずから具えている
優しさである場合もあるし
賢さ、知恵である場合もある。
素直に知覚としての良質を具える者は、
自然に自他の幸せを願う。
往々にして
そういう人間は幸せであることが多く、
困っているのは別の人、
という状況になりがち。
そんな時、彼、彼女は、
自他の幸せを
実現する方法を導いてくれる菩提心に
けっこうな確信をもって
自然に入っていく。