疫病時代のバーチャルリアリティと性の想像力
※改稿して同人誌に載せたので、この記事だけ有料です。
よかったら同人誌もよろしくお願いします。→https://babeluo.booth.pm/items/2128380
少し先のことを考えると暗い気持ちになっちゃうので、時間軸を少しずらしてみる試み
歴史には、驚くほど短期間のうちに人の考え方や価値観が大きく変えてしまうような大きなイベントがあって、今のウイルスの流行ももしかしたらそうなるかもしれないと思う。
なにしろ、たった数か月で、人と人が触れあうことの意味が大きく変わってしまったのだ。
接触には、常にリスクが付きまとうようになってしまった。
ツイッターで回ってきたこのポストの通りなんだけれど、人と人が出会うことにリスクが無くなるまで、どう楽観的に考えても3年はかかるとか。
これはちょっと悲観的すぎるかもしれないけど、ハーバード大学の予測でも、たとえ流行を制御できたとしても、ワクチンがない限りは2024年までは再流行の可能性があるとしている。
確かに、世界的な封じ込めに失敗した以上、基本的にはワクチンが人々に行き渡るまでの時間稼ぎしかできないのだろう。
3-4年の間、あるいはもっと長い期間、人と人との接触は危険なものになってしまうのだ。
人は他人と会うことを、そんなに我慢できるのだろうかと思う。
接触の欲望は、そんなに長い抑圧に耐えられるのだろうか。
人が触れ合うことに、これからどんな文脈がつきまとうようになるんだろうか。
ここまで考えると、VRを日常的に体験している身としては、バーチャル・リアリティがこの価値観のシフトにどういう貢献をしているのか考えたくなる。
バーチャルな交流は慰めになりうる。
社会とVRの相互作用がどう変わっていくのか。僕たちはVRの世界にこれから何を感じるようになっていくのか。
行ってしまえば「VRの未来」だ。
VRChatユーザーは、まさに今自分がVRの世界を体験しているから、VRがこれからどうなっていくのかに興味がない人が多いように思う。「VRの未来」という言葉に過剰反応する人さえいるように見える。
でも、僕はVRによってあり得る色々な未来を夢想するのが好きだ。それが作品の形をとると、サイエンスフィクションになる。だから僕はVRについてのSFを読むのも好きだ。
そして、その夢想は”現実の”VRへと影響を与え、VRの姿を変えていく可能性だって秘めている。
前にもちょっと言ったけど 、VRはある意味で観念的な世界なのだから。
サイエンス・フィクションの想像力
せっかくなので、最近のSF小説を2編紹介してみたい。
2編とも、屋外が危険な状態になってしまったせいで、人々がVR空間に閉じこもることになってしまった世界を描いている。
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