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再録「あのときアレは高かった」〜ゲイラカイトの巻

「あれ、欲しい!」

そう思うが月々のお小遣いでは到底手が出ない。恐る恐るおかんに相談してみたら、「そんなのおとうさんに言いなさい!」とピシャリ。
そりゃ、直接言えるのなら、おかんに相談しませんわな……。
と、そんなわけで、クラスの中の金持ちのボンだけが持っているのを横目に見ながら、泣く泣くあきらめたあの日の思い出。
そう、あの時あれは高かったのだ。

昭和の、子どもには「ちょっと手の出しにくい」ベストセラー商品。
当時の価格や時代背景を探りながら、その魅力を語る。

     ◇


凧揚げ、羽根つき、書き初め……。

街に正月らしさがなくなったと言われて久しい。そもそも私が子供時代である1970年代が正月らしかったかと言われるとそれも怪しいが、凧揚げだけはまだ確実に残っている風習(というか遊び)だった。

近所の空き地に行って工夫に工夫を重ね、凧が青空の遥か彼方に見えなくなるぐらいまでに上がる、あの達成感というか快感は忘れられない昭和の思い出のひとつである。

電柱に凧がひっかかるというのもお決まりの行事だったが、奮闘したりあきらめたり、はたまた実際に電柱に登って大怪我したり(友人が実際にやって、後にデンセンマンというアダ名になった)、さまざまな思い出があった。

ゲイラカイトは1974年に日本に上陸した。

とにかくよく揚がる。ブラックバスやブルーギルならぬ、(凧界の生態系を壊しかねない)「外来種」であった。

当時の販売価格は750円~1200円。現在の価格に直すと約1500円~2400円といったところか。名前の由来は、当時流行っていた「ゲリラ」かと思ったが、「ゲイラ」、単に発売したメーカーの名前である。

いまさらだけど、正月気分の残る冬の大空に揚げてみたいな。

でも、どこで? 公園じゃどこも「凧揚げ禁止」。海岸じゃ風が強すぎるし。空き地なんてどこにあったっけ? 便利な世の中だが、凧揚げマニアにとっては、なんともやりにくい世の中である。


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