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豚の頭のない牧志公設市場(2023アーカイブス)
2022年5月20日(金)
「牧志公設市場」というブランドもずいぶんと長寿である。
「まずは、沖縄を知るためには牧志公設市場へ」
私の1987年の沖縄初上陸時点から、この「掛け声」はあった。
まずは、牧志公設市場の歴史を引用してみる。(ウイキペディアを要約)
「第二次世界大戦後、ガーブ川沿いに自然発生的に闇市が興った。川沿いだけでなく川の上にも水上店舗が立ち並ぶ状態だったが、一帯はもともと郊外の湿地帯だったため大雨のたびに洪水が起こり、衛生的にも問題になっていた。陸上の業者は水上店舗により川の許容水量が落ちているとして店舗の一掃を求めたが、水上業者も組合を結成して対抗し、市民間の対立が深刻化していた。そこで那覇市は公的管理が及ぶ公設市場の必要性を認め、1950年、市が米軍管理用地約9800m2を借地契約し、1951年に牧志公設市場として開設した。
しかし、この用地は元々私有地だったため、1960年代に地主が返還を要求し始めると市場存続問題が生じた。市は一度は市場の移転と用地明け渡しを決定し、近くに移転先を確保したが、市場の業者たちがこの移転先について「人通りが少ない裏路地では商売にならない」と反対運動を起こしたため、交渉は難航することとなった。市は1969年、この移転用地に第二牧志公設市場を開設したが業者の移転は進まず結局、旧市場は第一牧志公設市場と改名して存続することとなった。その後、地主との交渉も決着し、第一牧志公設市場は1972年に現在の建物に立て替えられた。
両市場は「市民の台所」として戦後の沖縄を支えてきたが、1972年の本土復帰を境として本土資本の大手百貨店やスーパーマーケット進出のあおりを受け、徐々に客足が減退していくこととなる。2001年3月には第二牧志公設市場が閉鎖された。
第一牧志公設市場も店舗数は減少傾向にあるが、沖縄県の珍しい食材が安く購入できることや、食堂で家庭料理が安く味わえることからガイドブック等に掲載されるようになり、観光客が多く訪れるようになった。現在では那覇市を代表する観光スポットと変化しながら存続している。
なお、第二牧志公設市場の跡地は更地にされた後、「那覇市中心商店街にぎわい広場」として整備されており、個人の起業家などの小規模店舗を集めたスポットとなっている。
現在の市場の建物は1972年に建設されたものであり老朽化していることから、2008年より市場の現状や課題を調査したうえで、建て替えが検討され、2019年6月16日で現行の建物での営業を終了し、7月1日に上記「にぎわい広場」に整備された仮設市場に移転した。」 (以上、引用終了)
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私の前回の沖縄訪問は2014年である。牧志公設市場はまだ建て替え前で、たしかにここで、海ぶどうや夜光貝をつつきながら酒を飲んだ。
長々と引用したが、要するにこのローカルな市場は、本土に比べて「進化の遅れた」(言葉は悪いが)ある種奇妙で怪しげ(楽しげ?)な「街の台所」を楽しむという類のそれだ。
これは、差別だとか、いまの若い人が言うところの(本土からの)「上から目線」とかいうめんどくさい話ではない。実際、陳列している豚の顔を眺めながら、オリオンビールで青い熱帯魚の刺し身を流し込むみたいなことがめちゃくちゃおもしろかったわけだし、あー本土とは違うなーという「おっかなびっくり」の気持ちも、これまた旅の楽しみなのであった。
だが、今回、再建中の新「公設市場」を覗き見ながら、プレハブの「仮設」市場で飲んで思った。「あー、沖縄の遅れたチャーミングさはなくなったな」と。
プレハブ建てで適当に作った公設市場の飲み屋さんの値段はけっして安くはないし、観光客目当てが過ぎて、呼び込みがうるさい始末。コロナ渦の影響か、あるいは関係各所に配慮してのことかわからないけど、もはや店頭にむき出しの「豚の顔」が陳列しているようなことはなく、取り立てて、異国情緒にときめくようなこともなくなった。
いま、建設中の公設市場に思いを馳せてみると、それはきっと女性客でも安心して楽しめるような清潔で西洋的でキラキラとスタイリッシュで、そんな空間を夢想した(本土からやってきた)どこかの誰かが(大枚もらって)作った「食のテーマパーク」ってなもんになるだろうし、それはそれで、観光客が大挙して訪れるのではないかと、とりあえずは思ったりもする。(でも、国際通りにも似たような施設はすでにあるけどね)
うん、むずかしい。けっして、批判したいわけではない。だけど、なにか、還暦前の私のなかで、この「公設市場」は終わったなと、ちょっとしんみりした次第であった。
街をブラブラした後、久茂地にある名店「ゆうなんぎい」で一杯飲んだ。
何年ぶりだろうか。2回目の訪問だ。
料理もおいしいし、泡盛もいけるが、なんせ(いまの私のような仮ではあるが生活者としては)高い。ここで、毎日腹いっぱい晩酌してたら沈没する。
酔っ払った頭で沖縄の魅力を再確認しながら、仮住まいのホテルへと戻った。
(今日わかったこと)
沖縄に吉野家はあるが、気軽に行ける距離ではない。シェーキーズも一軒だけ(那覇市内)あるが、妙に離れた駅(壺川)。ココイチも見かけなかった(那覇市内に2店舗)。よって、締めはなし。ま、健康にはいいということで。