婚活破滅録
2023年、春。
独身貴族の僕は東京都の婚活パーティーで出会った人と交際を始めた。
この記録はその交際関係が破滅するまでを記述していく。
ただし、この記録は「相手が全部悪い。僕は悪くないのだ!」などという愚痴を言いたい訳ではない。
純粋に向けられていた好意を僕が無碍にした可能性も否定はできない。
ついでに「それは考えすぎじゃないかな?」という真面目で客観的な意見も考えてほしい。
当時の僕はあまりにも疑心暗鬼になりすぎて正常でない可能性が高い。
それを踏まえて、読み進めてほしい。
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「婚活パーティーで、出会った相手がなんか怪しい」
僕は常々友人に話していた。
婚活パーティーで出会った女性は大変素敵な人であったが、どうにも引っかかる部分があった。
それは以下の3点である。
1:LINEのプロフィールに記載された謎の仕事用アカウント
2:そもそもサクラだったこと
3:謎の起業塾の存在
順に伝えていく。
1:LINEのプロフィールに記載された謎の仕事用アカウント。
婚活パーティーでマッチングし、LINEを交換したので、家に帰ってから改めてLINEアカウントを見てみた。
すると、奇妙なことにLINEのヘッダーにSNSへのリンクが2つ貼られていた。
見てみると1つは「友達用アカウント」、もう1つは「お仕事用アカウント」と書いてあった。
普通はそんなことしないよな…と思いつつ、お仕事用アカウントを覗くと情報商材か何かを基に作ったアカウント、という印象を受けた。
分かりやすく言えば作りこみが浅い、よく回ってくる怪しいアカウント…というイメージ。
2つ目だが、ぶっちゃけサクラとしての参加だった。主催者側(後述する)の関係者で、女性側の数合わせで他にも3人、計4人のサクラがいた。
そして3つ目。僕が参加した婚活パーティーの主催者は婚活のみならず、企業塾など色んなことをしているらしい。
僕がそのパーティーで出会った人はそこの関係者の1人だったそう。一応、その主催者と起業塾についても調べたが、あまり情報は掴めなかった。
ちなみになぜか、交際相手さんはその主催者を「師匠」と呼んでいた。
この3つが怪しく、流石の僕も警戒していた。しかし、あまりにも疑ってるのがバレて「なんで信用してくれないの?」と問い詰められるハメになった。
僕は正直に「前職の時のトラウマで、おいそれと人を信用できないんです。」と詳細を伝えた。(※パワハラと信用していた上司からの裏切りという最悪なことがあった。本稿とは異なるので詳細は省く)
すると意外なことに「一体、何があったのか」、「それは本当に腹立つし酷すぎる」と同情し、慰めてくれた。
「こういう壺が…」とか「この波動を帯びたブレスレットが…」を覚悟していた分、若干心を開きつつあった。
さらに毎日LINEもしていた。
僕からではない。向こうから「おはよ〜今日は寒いね〜」とか。
一向に騙すような内容も来ない。何より僕は女性から好意を向けられた経験がほぼない。怪しいなあと思いつつも、内心は楽しかった。
そして、数回飲みに行ったりして交際に至った。
まあ、ここでサクラだった理由を聞くと「ドタキャンが出て、人が少なかったし、良い人いればマッチングしてもいいからさ!って運営の○○さん(師匠)に言われたからさ〜」とのこと。
まあ、そう言われたら嬉しいもんだ。モテない人間からすれば。
しかし、交際をしていく中で、これまでの不安が拭えるどころか、さらに疑念が湧いて来た。
まず、デートどころかLINEをしている時でも高頻度で「師匠の○○さんに会ってほしい」、「師匠のお家でホームパーティーがあるから一緒に行こうよ😆」みたいなのが増えた。
僕は端的に「誘いは嬉しいが、知らない人が苦手で、今は忙しい」と伝え、やんわり断り続けた。
ちなみに断れど断れど、めちゃくちゃ誘われた。(旅行企画もあるんだ!とか)
それでもデート自体は行っていた。なおかつ相手が酒を飲める人であったから僕はすごい楽しかった。
しかし、その中でも必ず「添加物が如何に危険か」、「ファスティングをすればデトックス効果で体質・精神が変わる」、「師匠はすごい人で〜〜…」という話が出て来る。そういう話題はのらりくらりと交わしていた。
というか、この辺りからLINEでも電話でも、「ファスティング」を勧められるようになった。ファスティングは僕自身もそこまでの知識はないが、要はプチ断食だ。正直な話、怪しいとかそういうのは抜きにして「僕は食べないとイライラする&頭が働かないからファスティングはやらないよ!ダイエットするならプールで泳ぐよ!」と話していた。それなのに「それはデトックスできてないからそういう考えになるんだよ」と言われてしまった。
そして、夏に入りかけたある日。
「起業塾の友達の○○さんって人のエステがすごい良かったんだ🤩」みたいなLINEが来た。僕は「エステは行ったことないけど、痩せるなら良いよねえ〜」などと相手に合わせて適当な返信をした。
すると、「興味あるなら、連絡先教えて良い?今なら場所代だけで良いらしいから!早くしないと終わっちゃうし、絶対やった方がいいから!」とめちゃくちゃな勧誘を受けた。とにかく急がないといけない、今決めて欲しい…と。
いくらなんでも強引すぎるので、「今、本当にお金が無くて、連絡した後に断ったりするのは申し訳ないから無理!」と伝えたら気分を害したようで、それからLINEをする頻度が減った。
ただ、そのタイミングで僕の仕事が忙しくなったこともあり、LINEをする頻度が減ってもあまり気にならなかった。
ごくたまに隙間時間を見つけた時は自分からLINEを送ってはいた。しかし、大抵があっさりした返事の後に既読無視である。
また、交際当初は「○○いきたいから一緒に行こうよ」「僕もこういうの行きたい!」、「じゃあ、一緒に行こ!」みたいな初々しい会話をよくしていた。
で、舞台演劇なんかも見るというから、「オペラ座の怪人の舞台を見に行きたいね!」と伝えたら「へえ〜!良いねえ。楽しそうだね。」
以上。会話は終了した。
その後も「○○へ飲みに行こうよ」と誘うと、「予定がわかったら教えるね〜」と言う。
しかし、予定が送られてくることはなかった。
さらに時は経ち、夏が深まった頃。
この日は前々から見に行きたいと誘っていた博物館デートの日であった。
時間は午後から。
僕はいつも通りに身支度を整え、合流した。
天気はカラッとしていて、さっぱりしている。まさに夏本番と言ったところだ。
そんな気候と反するようにじめ〜として興味の無さそうな彼女さん。
さほど盛り上がらず、展示を見た。(ちなみに僕はめちゃくちゃ楽しかった。純粋に展示が良かったよ。)
ちなみに観覧中、僕は手を繋ごうとしたが、相手は終始両手で鞄を抱え、「え、嫌だ」と言われてしまい、悲しくなった。
モヤモヤしながら地元に帰った僕は飲み屋で気分を晴らすことにして、1人酒を煽った。
(ちなみに新人の可愛らしい店員のせいで4000円も使ってしまったが…。)
1人飲みの最中、形ばかりの謝罪メールが来ていたが、酒を飲んでいたので適当に返した。
次の日。
もう無理だと僕の中の糸が切れた日だ。
相変わらずモヤモヤしていたけども、そんな気分の解消には散歩が1番!と夜の散歩をしていた。
すると、彼女さんからLINEが来た。
「師匠の家で飲み会あるから一緒に行きたいんだけど空いてる日ある?😊」
「料理もすごい上手で美味しいんだよ!😆」
正直、またか………と思った。
提案された日は通院の予定が入っている。僕は正直に通院があるのでダメだと断った。
すると、「いつなら暇なの?」と聞かれたので、「できれば月末とか…」となるべく先送りした予定を伝えた。
すると、最初のハイテンションなLINEから一変して、
「嫌なら無理してこなくていいから。」
と一言返ってきたので、僕はスタンプを送り無視した。
それからLINEは来なくなった。送ろうとも思わない。
「頑なに僕を一味に会わせようとする」、「起業塾周りのことを僕に吹き込む」、「ハイテンションな絵文字だらけのLINEに対し、ドライなリアル」、「なぜか会って飯を食うときずーーっとスマホをいじる」、そして頑なに「ファスティングを勧めてくる」ということが積み重なりすぎてもう限界だった。
憶測の域を出ないが、多分「師匠」に会ったら僕はもう後戻りできないところに行ってしまったと思う。
要はコミュニティに参加させることで、逃げられなくさせて、なんらかの目的を負わせたり、強引なファスティングの誘いは酵素ドリンクとかそういうもののセールスに繋げられていたのでは?と思う。
僕は純粋な好意を信じたかったが、会う回数が増え、話す回数が増えるごとに「この関係に対する慣れ」ではなく、「相手から僕に対する義務」を感じるようになった。
というところで、僕はもうこの関係を思い出すと悲しくなり、心が痛む。余計に前職以降で知り合った人が嫌いになってしまった。
最後のLINEから、1ヶ月間、一度もLINEは来なかった。そこで僕は別れを告げた。
別れを告げる内容に対し、返信には「僕が誘いを断り続けたこと」に対する嫌味なのか文句が書き連ねてあった。
僕にとっては非常に楽しい時間だった。これは嘘ではない。本当に楽しかった。電話も、飲み会も、少ないデートも楽しかった。
だが、相手にとって僕はなんだったのだろう。今でも悩んでいる。
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