韃靼ダッタンダダーン
僕はレイディオを落語チャンネルに合わせた。
――「ええい、じゃあこいつはどうだ源さん。村の人間という人間、全員動く屍、噛まれたらお前さんも動く屍の仲間入りってんだい」
「ひえぇ!この村は怖いったらない。怖いったらないねえ」
そうこうしてるうちに、源八のもとには日本全国の村という村が集まって村は全て源八のものになってしまった。すると源八、とうとう時が来たといわんばかりに、全ての村に一揆を呼び掛けた。あちやこちらで一斉に全国津々浦々の村が蜂起したものだがら、大名はなすすべなく降伏。今や、残すは江戸城のみとなったのであります。
「我は村上源太夫、人呼んで村将軍。徳川殿、観念して降伏なされよ。さすれば江戸は今後江戸村として残し、徳川家は日光で副村長として迎え入れましょうぞ」
これには時の徳川将軍もなすすべなく、こうして江戸は日光江戸村となり。源八もとい村上源太夫は、日本統一をなしえたのであります。これに驚いたのた当時のヨーロッパの列強国。このままでは日本を植民地にするもくろみが崩れてしまう。なんとか弱点を探っていると、源太夫が最近こんなことをのたまっていると聞きつけた。
「郷愁がこわい。ああ郷愁がこわい」
これを――
僕はなんとなくレイディオを切った。
郷愁……ノスタルジア……。
それがメランコリに変わるのを嫌うから、彼らはノスタルジアが発生した時点で接続を切ってしまう。彼らとの接続は安定が第一なんだ。まあ根本的な原因はこちら側が安定を確保し難いことにあるから彼らが悪いわけじゃない。むしろあっちは最大限の努力をしているんだ。
あれ?これは何の話だっけ?
僕はダムに言った。
「韃靼人の踊りって、何故だか郷愁を感じるけどあれは何なんだろうね?」
ダムは肩をすくめて返した。
「さあ?俺は韃靼蕎麦を思い出す。苦いけどそれが美味いね」
「わかるよ。でも僕は蕎麦アレルギーなんだ」
「そいつは郷愁なこった」
僕はなんとなく再びレイディオをつけた。
――この辺で濃~いお茶がこわい。
出囃子が船内に鳴り響く中、僕たちは次の星系を目指した。
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