【朝日広告賞 最高賞】金鳥の考察
2012年、朝日広告賞で最高賞を受賞した広告。
「金鳥」は、蚊取り線香などの「殺虫剤」メーカーの会社。
何を言い得ているのか
殺虫というイメージを、「肌を守る」という価値に転換
「殺虫剤」という企業イメージを、180度転換した。
このビジュアルは、「肌を守って111年」というコピーから、殺虫ということが価値なのではなく、「人の肌を守る」目的であり、殺虫はあくまでもそのための手段であるという価値に変換している。
評価されているポイントは?
視点の転換と、それを体現するためのコピー、ビジュアルとの一貫性が評価されている。
それを考えるために、「人の肌を守る」という本質を他の表現でできないか、から探ってみる。
化粧品のような品の良い見せ方が考えられる。
化粧品は、「顔」に使われるイメージがあり、ほとんどの広告は芸能人やモデルなどの「顔」が広告として起用されている。
一方、虫刺されは顔ではなく、「腕」「足」などの顔から下に刺されるもの。ここに矛盾が生じるため、「顔から下」の肌の美しさが伝わるビジュアル=露出の多いグラビアを起点とした表現となっているのではないか。
できる限り肌を露出する状況を考えた場合、水着を着て屋外にいるビジュアルも考えられる。しかし、金鳥が使われる環境は家が大半で、「部屋」という環境がゆえに「下着」というスタイルである必然性も合点がいく。
顔がこちらを見つめているアングルなのも良いポイント。カメラをを向いていることで、「グラビアという体裁がより強く印書付けられる。
グラビアが企業広告になるというインパクトも、賞ならではの表現。