10万円の石を買って得たもの
noteの過去記事、文章に値段をつけた。
全文公開のまま。読んでほしいからね。
値段も正直テキトウですが、それでいいのです。数字は価値を表さない。
でも、つけてみることをしてみたかった。
仕事を辞めてすぐの時期、石を買った。
2個買った。小さいよ。10万くらいした。
それまで石なんて持ってなくて、お店も知らなくて、知り合いにミネラル鉱物原石系のお店知ってる?って聞いて、それで行った初めてのお店。
思ってたよりレアな品揃えのところで、思ってたよりずっと高価格帯だった。
私は、だいたい5000-20000円くらいを想定していったんだけど、なぜかお会計では10万オーバーしてた。別に騙されたわけじゃないよ。パワーストーンとか壺とか買わされる系のお店ではありません。
接客してくれたワイルドな見た目のお兄さんも驚いてた。
冷やかしだと思ったこの小娘、買うのか。と思ったんではなかろうか。
買ってみたかったんだよね。
「なんの意味もないもの」。
語弊を恐れずに言えばだよ。
私は、別にパワーストーン的なご利益を目当てにしてお店に行ったわけでもないし、購入した2つの石に運命的な出会いとか執着を感じたわけでもない。ただ、欲しいと思った石があって、でも高いなと思って、でも買えるのに買わないのかあって思っただけ。
私はお金なんてなくて、仕事も辞めて無職。あとはしばらく貯金を食いつぶすだけで、その中の10万といったらなかなかにでかい額。
家賃とか車とか旅行に使う10万は別に私にとっても普通だけど、石に10万は、過去ちょっとなかった。
もしかしたらパワーをくれるかもしれないけれども、石(クリスタル)だし、直接的に、現実的に、即物的に利益をもたらしてくれるとは思えないじゃん。リターン的な。
いや、思える人もいると思うけど、私はそういう人じゃなかったのね。
だから買った。
「意味」のないお金の使い方がしたかった。
「意味」から離れたかった。
それまでの私は、詰めて詰めて、意味や論理をかなり重視していた。少なくともそのあたり2,3年は、突き詰めて考えてた。
そこからジャンプするには、パターンを壊すには、「無意味」が必要だった。その時はそんなことも思ってたか思ってなかったか程度で、なんとなく、「私は、欲しいのに、買えるのに買わないのか」「代替品を選ぶのか」って気持ちが湧いてきて、じゃあ買おうとなった。
買っても死なんし。
その間五分くらいか。
でもそれは衝動買いでもない。
衝動はなかった。
あったのは問いだけ。
「好きなものを、買おうと思ったら買えるのに買わないのか」。
あとは、買った後の気分が知りたかった。何を感じるのかなって。
別に何もなくて10万を後悔するのか、何か新しい発見があるのか。
私は、石を通して、自分の新しい視点を買ったんだ。
それに10万払った。
そこに、好きな小さなレアめな石が二個くっついてきた。って感じ。
その、それまでの自分からしたちょっと狂った行動の結果得られる視点を得るには、一度狂った行動を実際にしてみる必要がある。10万払わないと10万払った結果の感覚は得られない。
理屈は合ってるでしょ?
でもちょっと狂ってる。わかるよ。
でもそういう人間だったなって思い出したの。
で、結果?
変わったか変わってないかで言うと、何をやってもそりゃするのとしないのでは変わるよね。当たり前に。
あと、人に話すネタにはなった。
で、私は、値段や希少性には関係なく、石が好きだってわかった。
石が部屋にある世界観が好きだってわかった。
石がついている指輪を買った。手はずっとコンプレックスだった。子供っぽい手だし、指の節は太いし、爪もきれいじゃない。だから指輪なんてしたことなかった。恥ずかしいし他人の目がそっちに行ったら困る。でも石のついた指輪を買って、シルバーの指輪を買って、珊瑚の指輪を買って…毎日指輪を着けるようになった。自分の手が特別好きになったわけじゃない、ただ気にならなくなった。私は指輪とか石とかそういう可愛いものが好き。私の手は白魚の手ではないが、そんなのどうだっていい。可愛い手ではないか。あ、ちょっと好きになってる。
石がある世界観、ちょっとロマンティックでスピリチュアルであとは自然な。アートやナチュラル系の世界観。それを(おそらくは生育環境での思い込みから)自分に禁じてた部分があったので、そこも解放された。そういう空間を好んでいいんだ、そういう風に飾り付けていいんだとか。
誰もダメだと言ってない。でも私はなぜかずっとそれをダメだと思ってた。
人によっては何言ってるかわかんないと思う。でも人によってはよくわかると思う。
これは、生き方、人生の方向性に関わってくる大きなことだった。
ずっと封じてきた、禁じてきたいろんなことを、少しずつ出していくきっかけとなった。見える形で。
モノ、見える形で人生が変わるというのは大きい。影響がある。
これはファッションとも関連する。
そう、服装もだいぶ変わった。
自分の好みというのをよりわかったし、アップデートの余地はあるとはいえ、イメージではなく実物が今クローゼットに詰まっているのは嬉しい気持ちしかない。総入れ換えに近いことをやった。
それを着た。私の日常着は、自然素材で花柄のワンピースが多い。ゆるめの。家でも外でもそういう服を着てる。
どれもこれも、石のスピリチュアルパワーとは関係ないと思う。
でも、石を買ったのはきっかけになっている。
10万円を払って、その後もいろいろ買ったから出費ばかりである。
でも、私は確実に解放された。
長いこと、何十年も、幼いころからかけてきた呪いを今解いている。石のせいではない。でも石のおかげでもある。
目に見える形で私の部屋にやってきた石。カードで払った10万。私の元から飛び立った諭吉(その時はまだ諭吉)に象徴される数字は、その小さなお店の、びっくりした顔のスタッフの男性の元へ。それでいいなと思ったんだよね。こんなことあるんだなあ、と思ったと思う。
そのサプライズを、相手にできたことは楽しかった。
サプライズ好き。
意外性のある世界っていいよね。
石が何かしてくれるんではないと思ってる。
いや、ちょっとは石の、この可愛いクリアクリスタル&アメジスト(私はアメジストがクリスタルということさえ知らなかった)のスピリチュアルパワーのおかげかもしれん。でもだとしてもちょっとでしょ。
私がこれ買うって思ったからだよ。絶対そう。
ありがとうバカな私、これ買ってくれて。
未来の、金のない私から礼を言うわ。
後悔なんか一ミリもないよ。10万なんか安かったよ。
そうだ、その時思ったんだ、
「金が一番安い」って。
何かを手に入れるために支払うものの中で、お金が一番安い。
そして価値がない。
その意味を、身体ではもうわかってると思うんだけど、まだ完全に自分のものにはできていない。だから恐れがある。でも、以前とは違う恐れだ。問題はお金ではない。額ではない。
ただお金を使う時、得ようと思う時に噴出してくるだけ。それはわかってる。
最後に、
来てくれた石たち、ありがとう。
ずっとお金の話ばっかりしてごめん。
あなたたちは、10万て数字とは何の関係もない。わかってる。
価値も意味も数字も、存在とは関係ないとわかってる。
ごめんよ。
あなたたちはただの石です。
ただのってのはjustって意味です。
本当は、全部がただのitでしかない。
私はただの私だし、あなたはただのあなただし、石は石だしお金はお金。
それがぐっちゃぐちゃになってるのがこの世界で、石には10万という値がつけられ、そこに不思議パワーを求める人も、「意味のないもの」の象徴として買い求める人もいる。
ぐっちゃぐちゃだね。カオスだね。
でもカオスそのものをjust it isで正しく見れるようになるまでは、私はそれをやり続ける。
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