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ダイソン見てるか

小さい頃を思い出してください。

積み木を重ねたり、粘土をこねくりまわしたり、あるいは家にあるモノを総動員させて形容しがたい何かを生み出したりしていた時…ふと、こう思ったことはないでしょうか。

「ダイソンスフィア造りてぇな」と―――。




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というわけでダイソンスフィアプログラムです。略してDSP。
先日、Steamにてアーリーアクセスが始まりました。


ストーリー

人類は新しい時代を迎えていた。

科学技術を高め続けた地球文明は活動の場を仮想空間へと移し、地球を取り巻くいくつもの問題を過去のものにした。

物理的制約から解放された科学者たちはスーパーコンピュータ(※すごいコンピュータ)を開発し、進歩したAIとその計算能力に後押しされ更なる飛躍を遂げようとしていた。

解決すべき問題はあと一つ。エネルギーだ。

地球で得られる資源と発電量ではこれ以上すごコンを維持できない。
このままでは人口も増えず、文明の歩みも止まってしまう…。

宇宙同盟機関COSMOはある計画を立ち上げ、その担当者にスペースエンジニアのひとりである君が選ばれた。

『ダイソンスフィアプログラム』
―――。

ほんの数十年前までは空想の産物だと思われていた究極の構造物を現実世界に創り出す、人類の存亡を賭けた一大プロジェクトだ。

すでに資源の豊富な星系に目星はつけてある。
君はCOSMOが開発した最新鋭ハイテクロボット"イカロス"の操縦者として現実世界に降り立ち、宇宙に在るすべてを駆使して文明の未来を掴むのだ!


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そんなわけで、鉄や銅の加工、歯車や電気回路の機械といったおなじみの科学技術から始まり、様々な組立製造ラインの自動化や未来テクノロジーの研究を進めていって大陸全土の資源を集約・変換。
そうして出来上がった加工品同士を組み合わせて宇宙進出を果たし、別の惑星開発へと取り掛かる。
最終的に惑星同士を繋ぐ星間輸送網を確立させて、誰もが夢に描いたダイソンスフィアをこの手で創り出す…。
という、いわゆる自動工場構築ゲーです。

このジャンルだと2DストラテジーのFactorioや、オープンワールドFPSのSatisfactoryあたりが有名なタイトルですね。
どちらも驚異的な中毒性を持ち、手を出したら最後ひたすら時間が溶けていくという報告が世界中に溢れている圧倒的好評ゲームたちです。


僕はどちらも興味はあったものの恐ろしくて手を出さずにいたのですが、このDSPはSF要素も多く、目的や設定に惹かれる点が多かったので挑戦することにしました。ちょうどゲーム迷子に陥りかけていたというのも後押し。



っていうかそもそもダイソンスフィアってなに?
掃除機?

って方もいると思いますので簡単に説明を。

ダイソンスフィアとは、アメリカの物理学者フリーマン・ダイソンさんが提唱した、恒星(太陽)の周りを浮かんでエネルギーを利用する構造物のことです。


(ここから長くなるので興味ない人は飛ばしてください。)

元々ダイソンさんは、
「高度に発展した文明は恒星のエネルギーを最大限に利用するために星の周囲に人工的な生物圏(バイオスフィア)を築くに違いない」
 ↓
「その構造物は何らかの方法で外部へ排熱する必要があるはずなので、天文観測の際に赤外線放射等を調べれば高度な技術を持つ地球外生命体の存在が確認できるかもしれない」

という趣旨のことを発表しました。


我々地球人も太陽の熱や光を利用していますが、宇宙規模で考えるとそれは太陽が全方位に発している莫大なエネルギーの極一部が届いているだけにすぎません。
更に発展した文明ならばその恒星が放つエネルギーをさらに利用しようとするだろう(=だからその痕跡を調べるために赤外線探査とかもしよう)、というのがダイソンさんの考えです。


現実においても、地球から1480光年離れた恒星に不規則な減光が見られ、「あの星系には地球外生命体が造った巨大建造物が存在し光を遮ったのではないか」というニュースが界隈で話題になったこともあります。
(残念なことに後の研究によってその可能性は低くなりましたが…)


さて、そんなダイソンさんの提唱したこの概念ですが、異星人発見の方法よりも

『高度文明が創った巨大構造物』

の部分に注目されたうえに、

人類よりも進んだ文明が消費するエネルギー量や、熱を受けるシステムを例えるために使った、
 
「木星くらいの質量を太陽の周りに球殻状に~」

「内側から当たる日射の利用~」

「星を完全に囲んだ~」

というような表現が、

『太陽をまるっと包んでその表面で暮らす異星人』の姿を想起させてしまいました。

さらに論文の中のBiosphere(生物圏)の単語がSphere(球)というイメージを与えたことなどが重なり、『ダイソンスフィア』という名称と上記の概念が広まっていきました。

ダイソンさん自身は、大量のスペースコロニー的なものが星を帯状に取り囲んだものを想定していた(そもそも構造物自体は本題では無いので詳しく書いてない)ようですが、この概念に刺激を受けた人々によって、ひとつながりの球殻のもの、内側も居住区になっているもの、太陽光パネルを連結させたものなど、色々な形状が考案されました。

それぞれリングとかスウォームとか呼び名があったりしますが、とりあえず全部ひっくるめて『ダイソンスフィア』として取り扱うのが一般的のようです。


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Stellarisの『ダイソンスフィア』


SF小説やゲームでは、恒星サイズの人工物というスケールのデカさや桁違いのエネルギーの使い道などから、知的生命体が創り出す究極の構造物として扱われることが多いのがこのダイソンスフィアです。
負の部分も描かれることもあり、作品によっては光が届かなくなることで周囲の環境が激変、全生命体死滅とか引き起こしちゃってたりするのもSF的で良いですね。



緩やかに100%になっていく、脳のCPU使用率

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実際にプレイしてみた感想ですが…
このゲームめっちゃ面白い!(久々のゲーレポ上手トッシュ)

手掘りで素材集めるフェーズはホントに最初だけで、数分後(時間の感覚がぶっ壊れてた可能性はある)には自動ドリルとかベルトコンベア、オート組立機なんかがアンロックされていき、扱える素材や加工品がどんどん増えていく。
気づいた時にはやりたいことが頭の中に溢れていて、試行錯誤の結果が絡まったベルトコンベアとして出力されていく。

一次素材同士を組み合わせて二次素材を作り、それを別の原料と組み合わせるために輸送するためのコンベアを敷いて、電力が足りなくなってきたから発電所を造りに行ってる間に何をやろうとしてたのか忘れたりして、次から次へと対応してたらあっという間に数時間が消えている…。

いやもうこれが怖かったからこの手のゲーム避けてたんですよね。

Civとかステラリス、X4もそうだったけど、「次はあれやってみよう」ってのが途切れることなく続いていくと辞め時失うし、脳が完全にゲームをプレイすることだけに使われるので、奥さんに「明日のごはんどうする?」とか聞かれてもゾンビみたいな呻き声を出すくらいしか出来ませんでした。
すいませんでした。


そんなDSPは今のところイカロスを攻撃したり施設を破壊する敵がおらず、追い立てられる焦燥感が無いので(理論上は)のんびりプレイできるデザインです。

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唯一のステータス管理はイカロスのバッテリーだけですが、これがゼロになっても動きが遅くなってクラフトが止まるくらいなので『詰み』の状態になることはなさそうです。
HPとか耐久値も無いので死亡によるゲームオーバーやデッドロストはたぶんありません。

幸いにもイカロスには高性能のハイテク炉が内蔵されていて、その辺に生えてる葉っぱや木材、石炭石油などの燃えるものを雑に突っ込めばエネルギーに変換してくれます。
充電機能が付いた電柱も序盤早々に作れるようになるので、『今日を生きるのに精いっぱい』みたいなサバイバル状態に陥ることはまずないでしょう。



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慣れ親しんだ仮想世界と違って物理世界は不完全で制約ばかり。
高度な科学技術を現実世界で再現するためにも、ラボを稼働させて新たなテクノロジーのアンロックやイカロス自身のパワーアップなどを実現させていきます。↑の飛行機能もそのひとつ。



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十数時間後、ゲームにも慣れて初期惑星の開発が3割ほど進んだ頃にいよいよダイソンスフィア計画がチラついてきます。
そう、究極の構造物であるダイソンスフィアですが結構早いうちからその建造に取り掛かれるのです。まぁここまでチュートリアルみたいなもの。

ローマは一日にして成らず…ダイソンスフィア建造も一朝一夕で終わるような事業ではありません。
今回はエネルギー供給のためのダイソンなので、大量生産したソーラーパネルをレールガンで射出していきます。


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次々と軌道に運ばれるソーラーパネルたち。
まだまだ挑戦は始まったばかりとはいえ、頭とコンベアをこんがらがらせ日々の睡眠時間を奪われながらも辿り着いたこの光景には達成感を感じずにはいられません。
初日の打ち上げが終わった翌朝、光輪を携えた太陽が地平線の向こうから昇ってきた時の美しさを、僕は決して忘れないでしょう。

今の技術力ではかっちょいいデザインの"ダイソン殻"は作れないので、周回軌道でリング状を形作る"スウォーム"の完成を目指していますが、当然ながら太陽が見えてる時間しか射出できないし、真昼間は日が高く射程距離から外れてしまうので一日に打ち上げられる枚数には限界があります。
さらにパネルは消耗品。時間が経つと破損していくので、それを上回る生産量を維持し続けなければなりません。




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それでも、未完成ながらも化石燃料を使った発電機とは比較にならないエネルギー量をもたらしてくれるのがダイソンスフィア。
このエネルギーを使って更に研究を進め、宇宙に飛び出し、また別の惑星を開拓してダイソンスフィアを創り続けていく…。
そう、このサイクルこそ『ダイソンスフィアプログラム』なのです!



おわりに

というわけで、ダイソンスフィアプログラムでした。
工場自動化ジャンル好きにはもちろん、SFや宇宙好き、クラフト好きには間違いなく刺さると思います。
アーリーアクセスとは思えないほど安定しているのも良いですね。
前述したFactorioやSatisfactoryなんかは戦闘もあるのでそれに比べると物足りない、って思う人もいるかもしれませんがサバイバル感が無くても成り立ってるシステムですし、将来的には敵が追加されるとかなんとか。
その時はタワーディフェンス的な要素が増えるのかな?それはそれで楽しみ。

というわけでみんなも買って睡眠時間をダイソンに捧げましょう。

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