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【ゲームの話】「ヴァンパイアリザレクション」は実際失敗だったのか

■概要

・対戦格闘ゲームソフト「ヴァンパイアリザレクション」のセールスについて考察します。

・このタイトルが失敗したことで、ファンが見据えていた未来が変わってしまった、1つのターニングポイントといえます。

・「ヴァンパイアリザレクション」は過去作のリバイバルとしては好移植で、現在でも通信対戦が行われています。商品としては失敗作であっても、ゲームとしては失敗作ではない、ということを添えておきます。

【ゲームの話】たのしい格ゲーがあるよ ーヴァンパイアセイヴァー https://note.com/mithrillica/n/n0956457730d9

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■ファンが描いていた未来とは

・90年代からの、特に2Dにおいて格闘ゲーマーにとっては、重要なメーカーであるカプコン。格闘ゲームの流行が落ち着き、2004年の「カプコンファイティングジャム」を最後に、新作格闘ゲームは開発されなくなり、「2D格闘ゲームのカプコンは終わった」という印象が色濃くなりました。(ギルティギアなどが新しい2D格闘を牽引していましたね)

・しかし、その空白の期間4年を置いて「ストリートファイターIV」がリリースされます。家庭用ソフトは300万本超の大ヒットとなり、「復活」します。そして「ストリートファイター」ブランドに続いていきたい、その格闘ゲーム第2のブランドが「ヴァンパイア」だったのです。

■現実

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※情報ソース
https://www.vgchartz.com/game/71519/darkstalkers-resurrection/
カプコンIR ミリオンセールスタイトル
※ざっくりなので、数字を拾い損ねていたらごめんなさい。

セールスとしては大惨敗です。国内初週1万は、PS3ランキング7位で、国内では健闘したとは思います。

・当時の家庭用格闘ゲームはスト4以外、苦しい部分が既にあったことも事実です。ストリートファイターX鉄拳も惨敗しています。ただし、当時のMARVEL VS CAPCOM3を見る限り、いよいよ海外を取り込んでいかないと厳しい、という結果も見て取れます。海外を取り込めるIPだったのか。

・余談ですが、ストIVのシリーズトータルセールスと、初週では苦境だったストVの復活っぷりは目をみはるものがあります。ストVは現在トータル520万本です。育ててみるものですね。

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■「初週」にこだわっていたカプコン

「ストクロ Ver.2013」「ヴァンパイア リザレクション」で新たなステージを迎えるカプコン格ゲー。「格闘秋祭り」会場で“その先”について… https://www.4gamer.net/games/134/G013487/20121029060/ 

※具体的なものは当時でもなかったものの、ステップとして次につながるものとしたかった。一方で「Darkstalkers are NOT Dead」というメッセージは、ヴァンパイアをIPとして棺に収めたわけではなく、その一環でのリバイバルとしてのプロモーションという意味でしかないと強調しました。

Capcom USA Senior VP Disappointed By Darkstalkers Resurrection Sales https://www.siliconera.com/capcom-usa-senior-vp-disappointed-by-darkstalkers-resurrection-sales/

※カプコンUSAの副社長?は初週の数字に失望した。開発の優先順位を上げることができない。格闘ゲームはブームとしては衰退を続けているという再認識に至ったようです。

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■当時の反応を思い出す

・あくまで定性情報で申し訳ないですが、当時の「現役/冬眠セイヴァープレイヤー」は皆、購入していたかと思います。ただし、そのプレイヤー自体が「ストリートファイター」ファンと比べると圧倒的に少ない。どうしても一般客を取り込む必要がありました。

参考:【ゲームの話】「ヴァンパイアセイヴァー」はなぜ人気がないのか|結城★沙門 https://note.com/mithrillica/n/nc4a57cf44b47

・そのための丁寧に作られた「チュートリアル」だったのでしょうが、その後の「ウルトラストリートファイターII」の波動拳モードなどを見ると、まだコアに寄り過ぎ、アピールには程遠いものだったのかもしれません。

ニンテンドースイッチ『ストII』“放て!波Do拳”モードでリュウになりきり波動拳や昇龍拳を繰り出せる - 電撃オンライン https://dengekionline.com/elem/000/001/469/1469865/ 

・当時、3Dを使ったプロモーションムービーを見せていたこともあり、「完全新作」を求める声もありました。単なるリバイバルで「お茶を濁した」結果、シリーズが死んでしまったと怒るファンもいたように思います。一理ありますが、数字を見る限りは「それにしても」と言わざるを得ません。上層部には枯渇した泉として目に映ったのでしょう。

「完全移植」を目指すか、「プラスアルファ」にこだわるか。今回は支えてくれたファンを信じたのではないでしょうか。完全移植、快適な練習・対戦環境、それは実現しています。

・しかし、今回は、あくまで現役でプレイされ続けるいわゆる「セイヴァー1」の移植に留まり、過去の移植作追加キャラ「ディー」、移植で補完されていた削除キャラ「ドノヴァン」「パイロン」「フォボス」が居ないなどで、比較的ライトであろうファンをガッカリさせていたのも一面だったように記憶しています。(予算がなかったんだろうなあ…)

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■とはいえ今後

・ヴァンパイアの世界観は他のゲームへのゲスト出演などもあり、完全に潰えたわけではないと思います。「忘れられていない」というのは大事です。

・格闘ゲームというスタイルも「スト4」「スト5」が繋いでくれた結果、eスポーツなども交えて、15年前当時と比べたら受け入れやすい土壌が出来ている可能性もあります。ヴァンパイアの遺伝子を受け継いだ「ギルティギア」や「ブレイブルー」が新たな格闘ゲーマーを創出した部分もあるでしょう。

・CPS3のウォーザードのような美麗ドット絵のヴァンパイアも見たいし、3D化してより洗練された世界観も見たいものです。今後に期待!

■ヴァンパイア関連の記事
・【ゲームの話】たのしい格ゲーがあるよ ーヴァンパイアセイヴァー|結城★沙門 https://note.com/mithrillica/n/n0956457730d9

・【ゲームの話】格闘ゲーム「ヴァンパイア」シリーズキャラ登場リスト|結城★沙門 https://note.com/mithrillica/n/n9e1c1ac2c0f9

・【ゲームの話】「ヴァンパイアセイヴァー」はなぜ人気がないのか|結城★沙門 https://note.com/mithrillica/n/nc4a57cf44b47







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