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第1回:アニメ「ダイナミックコード」が描いたものは何だったのか?

10月6日、アニメ放送開始4周年おめでとうございます。
記念日は過ぎてしまいましたが、本日からアニメ版「ダイナミックコード」について、様々な観点から記していきます。
私自身とダイナミックコードの話はとても長くなるので後日まとめますが、アニメで出会い、先日ようやく原作ゲーム4作品をプレイした者です。

さて、初回の記事をどこから書こうか1年以上も悩みに悩みましたが、アニメ「ダイナミックコード」が描いたものは果たして何だったのか、今回はその大枠について記していきます。
細かい部分は今後の記事にて。

●アニメ版のストーリーの本質
アニメ版「ダイナミックコード」は、一見すると突飛な内容にも思えるのですが、この作品が描いたものは2017年に生きる彼らであり、『バンドメンバー全員が、生きて、ダイナミックコード社で、バンド活動を続けていること』だと思います。
当たり前のようで奇跡の日々、日常。このアニメの物語の本質は、とても普遍的なものです。原作ゲームをプレイするにつれ、そう思うようになりました。原作のバッドエンドの中には、バンドの解散、メンバーが生存しない、行方不明などの様々なパターンがあるからです。
原作は乙女ゲームとして恋愛を主軸にしたストーリーが展開されますが、アニメ版ではハッピーエンドの向こう側で生きる彼らを描いています。

●原作/アニメにおける主軸の違い
・原作:バンド、恋愛、キャラクターの過去や苦悩とそれを乗り越える過程
・アニメ:4バンド間の交流、各バンドが直面する問題(ステップ)、成長した彼らが奏でる音楽

このようにストーリーの主軸が異なるため、アニメは原作を汲んでいないような印象を受けがちですが、ゲームをプレイしていくとアニメに通ずるワードやエピソードが沢山出てくる事に驚きます。
"もっといっぱい"が原作由来のワードだと知った時はあまりの衝撃に感動すら覚え、その事をきっかけに「ただのおもしろアニメとして観るだけでは勿体ないのでは?」と思うようになったほどです。
バンドごとの、過去を乗り越えた向こう側としてのアニメ内エピソードについては個別にじっくり書きたいので後日アップしますが、例えば「Roots of Life」がact.1で繰り返し流れる意味、玲音が代理で歌っているフレーズの歌詞とそのシーンの映像、すべてがゲーム内容に繋がっているなんて、アニメ初見では気付けない巧妙なギミックです。
(追記:第3回の記事にて詳しく記載しました↓)

●過去を描かない理由
また、アニメ版では『過去が描かれない』という大きな特徴があります。
アニメ内には原作エピソードを映像化している箇所がほとんどなく、原作付きアニメ作品に対して一般的に求められがちな"シーンの再現性"は皆無です。でも、それこそがアニメ版「ダイナミックコード」最大の魅力にもなっています。
原作ゲームの中では、4バンド計16人それぞれの重い過去や苦悩が描かれています。それはアニメ化するなら十分すぎるほど魅力的な、言ってしまえば"良いネタになる"エピソードばかりなのですが、あえてそれを使っていない。
過去の哀しい出来事をアニメで描かなかったのは、彼らの個人としての気持ち、もっと言えば"人権"を大切に扱うという姿勢なのだと思います。
また、原作では彼らが過去や苦悩から前進していく姿をハッピーエンドとしているため、過去に囚われすぎない彼ら自身をあらわしているとも捉える事ができます。

ダイナミックコードでは各楽曲ごとにエピソードが付随しており、アニメの最終話とEDテーマで披露された新曲には、2017年の彼らの現在が詰まっています。
彼らが生きている「現在」そして「音楽」を映し出すこと自体が、『過去を描くこと』の役割を担っています。
乙女ゲーム原作のアニメなのに、恋愛要素なし、主人公の女の子も不在という、女性向け作品としては異色の存在にも感じられますが、これについても主人公の存在そのものを描かずに「描く」手法なのではと考えています。

●影山監督の一存ではない
ダイナミックコードは、キャラクターがリアルタイムで年齢を重ねていくコンテンツで、今年も各メンバーの誕生日にはバースデーパーティーの様子がツイートされています。
そんなリアルタイムコンテンツの2017年を、ドキュメンタリーの体で映し出したものがアニメ版です。
原作が乙女ゲームであるにも関わらず恋愛要素を入れずにアニメ化するという方向性は、制作がスタートした時点で決まっていたそうで、影山監督へのインタビューでも「すごく悩みましたね」とあります。(アニメディア2017年11月号 P.104)
これとオトメディア2017年6月号のスタッフインタビューから察するに、おそらく企画プロデューサーとアスガルドとの打ち合わせで決まった方向性である可能性が高く、このあたりのインタビュー記事がもっと充実していると嬉しいのですが、アニメ雑誌の各インタビューを読んでもわからず終いでした。
今からでも遅くないので、アニメ全話に影山監督&スタッフのオーディオコメンタリー付けてほしいです。

今年、vocalCDシリーズの2ndが6年ぶり(レヴァフェとしては7年ぶり)に発売される事となり、レヴァフェのCDリリース日は亜貴ちゃんの誕生日前日である11月1日、しかも楽曲タイトルが「マイマム」。これはもうアニメ版について書くなら今だと思った次第です。
そしてタイミングを図ったように「マイマム」の歌詞が10月6日に公開されましたが、怖くてまだ読んでいません。後日別記事で書きますが、アニメ最終回で流れる「Dear my・・・」と亜貴ちゃんの関係性について感情が大きくなりすぎており、マイマムの試聴がそろそろ出ると思いますが発売日までは聴けない、発売日が来るのが怖いほどです。(予約はしました。書き下ろし特典SS助かる)

初回はこの辺りで、なんだか全然まとまっていませんが、私とダイナミックコードの4年間をこのような感じで綴っていきますので、またご覧いただけましたら幸いです。

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