激変する時代の中で ー 日経新聞を読んで感じたこと・考えたこと(2022/3/25~)
本投稿でお伝えすること
本投稿は3月25日以降に日経新聞に記載された記事を読んで、私が感じたこと、考えたことをまとめています。
全体で約7200文字、12〜13分で読めます。
大見出しごとに異なる記事について書いていますので、上から順番ではなくても、興味のあるタイトルからお読みいただけます。
改めてこの1週間で読んだ記事を振り返ると、技術的にも地政学的にも時代が大きく変わろうとしていることを実感します。
そんな激変する時代の中で、働き方や生き方も変わり始めています。
どうすれば「自分満足」な人生を送ることができるのか、真剣に考えることが大切だなと痛感しました。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
よろしければ、お付き合いください。
芦屋みちお
もうひとつの「学び直し」
記事のポイント
ロシアとの停戦協議で、ウクライナの「中立化」が大きな焦点になってきた。
同国はすでに北大西洋条約機構(NATO)の加盟は断念した模様だが、中立化の条件として米国を含めた多国間での安全の保証を求める。
ロシア側は中立化のモデルとしてオーストリア、スウェーデンをあげ、ウクライナ側に譲歩を迫っている。
ウクライナは中立化について、「ウクライナだけのモデル」を主張し、特定の国の例を参考にすることには消極的な姿勢を示している。
スイスとオーストリアが永世中立国というのは学校の授業で習って「知って」いましたが、具体的な内容や、いくつかの種類があることは「理解していません」でした。
同じ「永世中立国」といわれるスイスとオーストリアでも根拠が違うそうです(前者はウィーン議定書、後者は国際条約)。さらに「中立化(中立主義)」は「中立国」とは異なるものだとか。
最近、「学び直し」=「リスキリング」または「リカレント」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。
リスキリング:「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」
リカレント:「働く→学ぶ→働く」のサイクルを回し続けるありようのこと。新しいことを学ぶために「職を離れる」ことが前提になっている。
出典:リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―
リクルートワークス研究所 石原直子
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf
いずれの場合も「新しいこと」を学ぶことが前提になっているように見受けられます。
いくつになっても「新しいこと」を学び続けることはとても大切ですが、今回の「中立化」のように、「知っているつもりでも理解してない」事柄を再確認する学びも必要だなと痛感しました。
追伸
ウィキペディアによると、トルクメニスタンも1995年から永世中立国なのだそうです!
何をもって貢献するか?
記事のポイント
自ら率先して学ぶ人工知能(AI)の普及が近づいている。
大量のデータを勝手に解釈し、文章作成等ができるまで賢くなる。
人に迫る知能を身に付けつつあるAIが進歩の原動力としているのが、主体的な学びだ。
LINEの日本語 AIは、従来は、教師役の人が「授業」のような形で正解となる文章を教えていたが、今回のAIはニュース記事などから自習する。
米メタ(旧フェイスブック)の研究者は、AIが膨大な枚数の画像を自ら学習した方が、人に教わった場合よりも認識精度が高まったとの論文を公開した。
AIは「育て方」で個性が現れる。AIによる自習では、人の能力を超える可能性がある反面、独り善がりの判断から理解できない行動や選択をAIが取る恐れもある。
人が教えると人が望む能力を再現しやすい。教わることで気づきや学びがあるのも事実だ。
様々な課題に直面する社会でAIを活用するのは人だ。AIによる「自主性」と、人の「教育」のそれぞれ良い部分を生かし、望ましいAIを作っていくことが求められる。
AI(人工知能)の学習方法が変わってきているという記事です。
AIの学び方は3種類に大別されるそうです。
「教師あり学習」:データーの意味を人が正解とともに学ばせる。
「教師なし学習」:人が正解を示さず、AIがデータの法則性を見つける。
「強化学習」:自ら成功と失敗を重ねることにより正しい行動を学ぶ。
大きな流れとしては、「教える」から「自習」に変化しつつあり、自習(主体的な学び)のほうが成長が早いのだそうです。
また学び方によってAIに個性が現れるというのも面白いですね。
機械が筋力の分野で人間を超え、肉体労働の一部が代替されました。
パソコンが記憶や計算の分野で人間を超えて事務作業を代替していきました。
文章作成やコミュニケーションの能力でも、AIが人間の能力を超えていく時期がすぐそこまできています。
AIは週40時間勤務も週休2日も関係なく24時間365日休みなく学ぶので、あっという間に追い抜かれるのではないかと思っています。
そのとき人間である私たちは、AIとどのような役割分担をするのか、何をもって社会の課題解決に貢献するのか、極端な言い方をすれば人間の存在価値を真剣に考える必要がありますね。
追伸
いまだに受動的な勉強をしている人間が多いように感じるのは気のせいでしょうか?
毒にも薬にも
記事のポイント
人工知能(AI)で新薬を開発する際の決まりは単純だ。治療に役立つものを生成したら「報酬」を、毒性のあるものなら「罰」を与えればいい。
もしこれを逆にし、有毒物質を産み出したら報酬を与えるようにするとどうなるか。創薬で使うIT (情報技術)は生物化学兵器(BC兵器)になりそうな武器を製造する目的にも利用できることがわかっている。
AIには毒素を設計するという暗部もあるのだ。
AIで難病の治療薬を開発しているアメリカの研究チームは、悪用が疑われる場合の当局への通報ホットラインの開設や、責任ある科学研究を求める「ハーグ倫理ガイドライン」のような行動規範をAI創薬に携わる人全員に遵守させることを推奨している。
悪意を持った強権的指導者が率いるような国が一国でも国際規範を無視するだけで毒物は作れる。すでにそのような計画が動き出していても驚くには当たらない。
前回に続いてAIの記事についてです。
前回は主体的な学びによってAIの進歩が早まるという良い面に関する記事でしたが、今回の記事では導く方向性(報酬の与え方)によっては負の面もあるという内容が書かれています。
アメリカの研究チームがAIに殺虫剤など既存の有害物質を使って訓練したところ、わずか6時間で4万もの致死性の分子を生成したそうです。
さらに恐ろしいのは、既存の毒物と類似点がほぼない分子を作成したAIまであり、AIによって監視リストには載っていない危険物質を使ったまったく新しいBC兵器が作られる恐れがあることが指摘されていました。
昨日の投稿で「人間である私たちは、AIとどのような役割分担をするのか、何をもって社会の課題解決に貢献するのか、極端な言い方をすれば人間の存在価値を真剣に考える必要がある」とお話ししました。
使う人によっては課題解決どころか、さらに社会が悪くなる方向に使われる可能性があります。
まさに使い方によって、AIが毒にも薬にもなるわけですね。
「両親」の関わり方(導き方)が子供に影響を与えるように、使う人によって毒にも薬にもなるAIとの関わり方には、まさに人間としての「良心」が問われますね。
会して議せず
記事のポイント
新型コロナウィルス下でウェブ会議が増え、会議の生産性が問われるようになった。
サイバーエージェントはウェブ会議の時間を2時間から15分に削減。事前に課題や質問を共有し、会議は議論に集中する。
チーム単位で出社日を揃える「リモデイ」制度を導入。テレワークの日は作業に集中し、貴重な出社日は新規事業の種となる創造的な議論に充てる。
若手にとって先輩に質問する機会が減る懸念を払拭するため、希望に応じて毎日10分程度、上司と1対1で何でも聞ける時間を設ける。(「1on1」)
会議ありきの社内コミニケーションを見直し、目的に応じた使い分けが重要となる。
みなさんの中にもウェブ会議が増えた方が多いのではないでしょうか。
リクルートワークス研究所の2021年10月の調査では、55%がコロナ前よりウェブが増えたと回答したそうです。
一方でマイクロソフトの調査では、在宅勤務者の43%が会議への参加意識を持てないと答えており、効率的にウェブ会議を行うにはどうすればいいかに多くの企業が頭を悩ましているわけですね。
私も在宅勤務、ウェブ会議中心の生活をしています。
何事も最短距離を走りたいタイプなので(笑)、会議主催者になったら以下の点を意識して効果的な会議運営に努めています。
そもそも会議をやる必要があるのか、他の方法はないかを考える。
やる場合は会議の目的とアジェンダを明確にして参加者に共有する。
目的に応じた実施方法にする。
会議中はしっかりファシリテーションを行い、計画通りに進める。
結果・効果の検証を行い次の改善につなげる
そこそこ効果的にできているかなと思っているのですが、下記2点への対応は悩み中です。
会議時間を減らしたいと思っている人ばかりではない。
事前に資料を読んで会議に参加してもらうのは難しい。
会議をやること、会議に出ることが目的になっている人がいるのも事実です。
「会して議せず、議して決せず、決して行わず。」
にならないようにするには、どうすればいいでしょうね?
ひみつ道具
記事のポイント
言語分野の人工知能(AI)の進化の波が日本に押し寄せている。
東京大学発スタートアップ、ELYZA(イライザ)はキーワードから電子メールの文面などを自動生成する技術を開発。
キーワードを入力して「執筆」を指示しただけで、約6秒でメール文を自動生成。あらかじめひな型を用意しているわけではなく、キーワードをもとにAIが類推して言葉を並べ、「もっともらしい」文章をつくっていく。
言葉を巧みに操る「大規模言語モデル」というAIは近年、急速な進化を遂げている。
その波が日本にも到来し、実用化に動き出している。各企業が競い合うことで、日本語AIの発展が加速しそうだ。
またまたAIの記事です。
これまで、言葉の壁があって遅れていた日本での言語分野のAIの進化が加速しているそうです。
日本語特有の壁
ひらがな、カタカナ、漢字が混在
会話などに必要な語彙数が多い
主語や目的語を頻繁に省略
ひな型があるわけでもないのに、キーワードを入力するだけで、人間が書いたとしても違和感がないレベルのメール文をわずか6秒でつくってしまうのはすごいですね。
ドラえもんのひみつ道具のひとつに「コンピューターペンシル」というのがあるそうです。
コンピュータが頭部についた鉛筆型の道具で、紙に書かれた問題をコンピュータが読み取り、鉛筆が自動的に動いて答えを完璧に記入するのだとか。
頭部にコンピュータをつけなくても、ペンシル型の道具をネットワークでAIと繋げれば「コンピューターペンシル」ができるのも時間の問題かもしれません。
今年1月の大学入学共通テストでSNSを駆使したカンニングが話題になっていましたが、本物の鉛筆と見分けがつかない「コンピューターペンシル」ができたら、カンニング対策がさらに難しくなりそうですね。
追伸
20年ほど前にアメリカで公認会計士の試験を受けたとき、試験会場に持ち込んでいいのは受験票とID(身分証)だけでした。
財布も持ち込み不可で、会場の外に置いてあるひとつのダンボール箱に全員が入れさせられました!
新しい働きかた
記事のポイント
60歳になった1月限りで鹿島アントラーズFCを定年退職し、ほとんどの時間をランニングと登山と読書に費やせる環境を得た。
走ったり、登ったりができなくなってから、あとは自由に暮らしてくださいと言われても困るのだ。だから早々に職を離れる道を選んだ。
私は働かずに、走ることに出来る限りの時間を割くことができたら、どのくらいの成果が出るだろうということに興味がある。
50歳でマラソンの自己最高記録を出してから10年が経過した。
新型コロナウイルスの流行により大半の大会が中止になったことで、意欲が薄れ、この1年はまともなトレーニングをしてこなかった。その姿勢を改め、2月からランナーとしての再建の道に踏み込んでいる。
退職後の人生はよく「下山」にたとえられる。私はそこに反発を覚える。
人生についても同様であると考えてしまう。今後の人生を「下山」と規定するつもりはない。
私の人生は新たなタームに突入したと考えている。勇躍しないわけがないではないか。
日経新聞のスポーツ記者・編集委員として33年間サッカーなどを担当後、2018年から鹿島アントラーズで地域連携事業に携わってこられた吉田誠一さんが隔月?に掲載されているランニング特集の記事です。
私がジョギングをすることもあって、以前から記事を楽しく拝見していたのですが、途中から所属がサッカーチームに変わったのでびっくりした記憶があります。
日本では会社を「家族」ととらえる場合が多いこともあってか、会社を辞めると「捨てた」とか「裏切った」とネガティブな印象を持つ方もまだまだいらっしゃるように思います。
そんな中、日経新聞を辞められた後も、元の職場で同じようにコラムが続いているのが素敵だなぁと感じました。
しかしある意味では「辞めても続けるべき」と会社が判断するだけの価値があったともいえます。
4月になり、新しく仕事を始められる方も多いと思います。
いわゆる「メンバーシップ型」から「ジョブ型」雇用への転換が進んでいることからもわかる通り、新入社員として入社した会社で定年退職まで働き続ける時代ではなくなってきています。
自身のスキルを高め、所属に関わらず対等な関係で仕事が出来るようになるためのキャリアプランを早い段階から考えていくことが大切ですね。
追伸
定年退職されるということは、このコラムも今回が最後なんでしょうか??
恐れのある組織
記事のポイント
米ホワイトハウスのベディングフィールド広報部長は30日の記者会見で、ロシアのプーチン大統領にウクライナでの戦況などについて軍から誤った情報が伝えられていると明らかにした。
「プーチンがロシア軍に欺かれたと感じているとの情報があり、その結果軍との間に緊張が生じている」と述べた。
誤情報が伝えられる背景をめぐっては、プーチン氏の側近は「怖くて真実を話せないからだ」と語った。
ブリンケン米国務長官は、「独裁国家のアキレス腱のひとつが権力者に真実を語る人物がいないことだ。それがロシアで現れている」と話した。
この記事を読んだとき、真っ先にエイミー・C・エドモンドソン著『恐れのない組織』が頭に浮かびました。
エドモンドソン教授は、最近話題の「心理的安全性」を提唱した方です。
「心理的安全性」とは、大まかに言えば「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」のことで、グーグル社が、チームが効果的になる一番重要な因子としてあげたことから有名になりました。
『恐れのない組織』の中から、大切だと思う点をいくつかご紹介します。
「心理的安全性は、グループごとのリーダーによって作られる」
「人は、言いたい内容が組織や顧客、あるいは自分自身にとって重要だと思われるときでさえ、黙っている場合が多い」
「よい知らせしか歓迎しないリーダーは、不安を生み出し、そのせいで真実の声が聞こえなくなってしまう」
「上司が自分はなんでも知っていると思っているらしいときに、対人関係のリスクを取って考えを話そうなどと思う人は一人もいない」
「多くの人が、厳格なヒエラルキーが存在するときには発言できないと感じると述べている」
さらに、こんな記述もありました。
「耳を傾け学ぶ立場にいる上層部の人々は、自分の存在が下位層の人々を押し黙らせてしまうことに、なかなか気づかずにいる」
組織で働いたことのある方なら、納得できる部分が多いのではないでしょうか。正解のない時代に、「エラい上司」「正しい上司」がいかに組織の活力を削ぐかがよくわかりますね。
4月から新しい会社や、新しい部署で働き始めた方も多いと思います。
みなさんの新しい職場の上司が、”ミニプーチンさん”でないことを心よりお祈りしています。😅