不足しているのは「デジタル人材」ですか? (2022/8/9)
記事の長さはおよそ1,400文字。2〜3分程度で読めます。
記事のポイント
自治体の情報システム管理を特定のIT企業に依存する「ベンダーロックイン」が深刻だ。
兵庫県尼崎市で住民情報が入ったUSBが紛失した問題では、特定業者が30年以上同じ業務を受託し、市の許可なく業務を再委託するなどシステム管理の甘さが浮き彫りになった。
特定のIT企業への依存は、業務の効率化やコスト削減など地方行政のDXを阻む懸念がある。
デジタル人材の育成とシステム運用の体制見直しが急務。
公正取引委員会が2021年に計1000以上の行政機関の情報システム調達を調査したところ、「既存ベンダーと再契約したことがある」との回答が99%を占めた。
ベンダーロックインが広がる要因の1つはデジタル人材の不足。
総務省が今年3月に公表した調査によると、全国1741市区町村のうち26%がCIOを置いていなかった。任命している場合も81%は首長や副市長らナンバー2の兼務だった。
システムの著作権は開発したベンダーに帰属するため、他社の参入障壁にもなる。
欧米では行政システムのオープンソース化が進んでいる。
東大大学院の大橋教授は「業務も外部委託するのは仕方ないにしても、自治体が情報を管理している自覚を持ち、ベンダー主導とならないように専門知識を身に付ける必要がある」と話す。
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こんなふうに考えた
尼崎市で発生した住民情報の入ったUSB紛失事件をきっかけに、
自治体のITベンダー依存が浮き彫りになりました。
「デジタル人材の不足」が原因とされていますが、
私は背後にもっと根深い問題があると思えてなりません。
関連する事例をいくつかご紹介します。
◆官公庁での不正統計問題
問題発生の原因として大きく2つの原因が挙げられています。
統計の専門人材が不足していた。
以前から行われている手順に従って黙々と業務をこなすことに疑問を持たなかった。
NHKのページへのリンク:
一般社団法人日本統計学会の提言へのリンク:
https://www.mhlw.go.jp/content/10700000/000534567.pdf
不正統計に関するコラムへのリンク:
◆監査法人との長期契約
日本の上場企業で「50年以上同じ監査法人」を使っている会社が1割もあり、馴れ合いにつながる懸念がある。
3/15の投稿へのリンク:
◆製造業での品質不正
同日(8/7)の日経新聞の社説で、日野自動車、東レ、三菱電機など、
製造業での品質不正問題が取り上げられていました。
発生原因:
現場の「たこつぼ化」。
閉鎖的な組織風土による仲間意識が不正を隠蔽(東レの報告書)「悪いことをしている」との自覚がなかった。(三菱電機の報告書)
声を上げられない企業風土。(各社共通)
これらの事例をみると、
専門人材が不足しているのはデジタル分野だけではない。
現状踏襲による責任回避が横行している。
仲間意識から外部(顧客)より内部(社内)優先される。
本当に不足しているのは、
特定の分野の専門的なスキルがあり、
おかしなことに疑問をもって声を上げ、
リーダーシップを持って変革できる
「プロ人材」ではないでしょうか。
本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。
「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川