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良い上司の条件とは?今でも尊敬している元上司から学んだこと

また昔話になってしまうが、会社員のときの上司のことを書いてみようと思う。私の上司は12年の間入れ替わりが多かったのだがその中で今でも尊敬している上司がいる。

その方は実は私と中途入社の同期だった。一緒に会社の研修を受け、同じプロジェクトにアサインされた。人柄はおおらかで対人折衝のスキルが高い。この人がそう言うならそうなんだろなと思わせてしまうくらいの方だった。なので、その方が私が在籍したプロジェクトのリーダーになったのは至極当然だった。

そのプロジェクトにいたときに、私はとんでもないミスをした。やるべきことをやらずにいてそれを顧客が発見しクレーム、というより苦情の電話がきた。多分一時間くらいはその顧客に叱られていたと思う。私はただただ謝罪するしかない。電話が終わって、その上司に報告。リカバリーの案を考えて顧客に提案するのに加えて、その顧客を担当している営業マンにも報告した。営業は烈火の如く怒って、私はまた謝罪するしかなかった。

もうこの仕事は私には向いていないなと思ったし、迷惑をかけてしまったプロジェクトのメンバーには顔向けできないし、当然上司にも会わせる顔がない。この仕事を辞めて、場合によっては会社も辞めてしまうしかないかなと思っていた。

そのミスの対応が一段落したとき、上司に謝罪をしに行った。その時の上司が言ったことが忘れられない。

「今回の件で高井君が成長してくれるならOKだよ。営業さんには申し訳ないけど高井君の成長のためだから泣いてもらうしかないね」

返す言葉がなかった。

良い上司とは何だろうか。こういう問いかけにはいろいろと議論があると思うし、大いに議論してほしいと思うし、私もそれに加わりたいと思う。ただ、上記のようなエピソードを体験した者として良い上司の条件というものを自分なりに持つことができた。それは

「部下の成長を願う」

である。何かあったときには上司が対応する、それは当たり前の話である。しかし、その先に部下の成長の可能性を見いだせる上司は実際どのくらいいるのかと思う。もっともそれは私は知る術もないのだが。

ただ、私がその後小さいながらも、とあるチームのリーダーになったときに、やはり参考にしたのはその上司像だった。今も参考にしたいと思っている。

私が現場を離れ管理本部人事部に異動し数年経ったとき、その元上司が管理本部に来られた。私は近くで目で追っていたが、生憎電話中で声をかけられなかった。あとから聞いた話ではご退職の面談のために来られたとのこと。あの時挨拶の一つもできなかったことは今でも悔やまれる。

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