金毘羅さん詣
小学生の頃、四国の家族旅行で金毘羅さんに来たことがあった。
参道の途中にあった旅館に泊まり、朝ごはんを食べる前に786段の階段を登って本殿にやっと辿りついたら父は奥社まで行くと言い出した。
大戦中に中国大陸を行軍した挙句にシベリアに抑留されても運良く帰って来れた父なら朝メシ前の行だったかもしれないが、腹ペコでの山登りは苦行以外の何ものでも無かったのを覚えている。
今回妹と思い出話に盛り上がって金毘羅さんに詣でた。 記憶以上の苦行は息が上がり、途中何度も止まって呼吸を落ち着かせなければならない。そういえば東京タワーも階段で登ることができると調べてみたら展望デッキまで600段、金毘羅さんの本殿まではそれより186段も高いのだ。
昔から金毘羅さんは伊勢に並ぶ人気の参詣地だったそうで、路銀が足りなければ犬に託した逸話も伊勢と同じ。 昔の人の信心深さが偲ばれる。
今回は荘厳な社殿や周りの景観、それに修復中の若冲の絵、応挙などの襖絵も見て60年前の朧げな記憶を上書きすることができた。
こんなふうに昔の記憶を再訪するのもいい。
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