ナガミヒナゲシ ~見過ごせない美しさ、見過ごすな侵略者~
本日紹介するのはナガミヒナゲシという雑草です。
みなさんは、画像を見て、
「あ~こいつね!」ってなりましたか?
それとも
「ナニコノハナ?」って感じですか?
おそらく、前者の方が多いのではないでしょうか?もしかしたら東北や北海道ではまだそんなに生えてないかもしれませんが、関東圏より南に住んでいる方は一度は見たことがあるのでは?
この植物、なんといっても非常に目立つ橙色?オレンジ色?紅色?(なんと表現するのがよいのでしょう…)の大きな花を咲き誇ります。
そのため、この植物が生えていたら見逃しようがないんですよね。
いやでも目に付くというか、なんというか。
特に下を向いて歩かなくても、容易に見つけられます。
綺麗ですよね。
ただこいつ、綺麗で終わってはいけない花なんです。
ここで、ナガミヒナゲシという植物の日本での歴史を簡単に見ていきます。
ナガミヒナゲシはヨーロッパ地域を原産とする種であり、もともと日本にはいませんでした。日本ではじめて確認されたのは1960年代とされています。このように、人間の活動に伴ってそれまで生息していなかった地域に持ち込まれた植物のことを外来植物と呼びます。
※外来種の持ち込みにつながる「人間の活動」にはいろいろな種類があるのですが、それはまた別の機会にお話しします。
一方で、前回紹介したナズナは、非常に古くから日本で生息していたと言われており、こういった植物は在来植物と呼びます。
まとめると、ナガミヒナゲシは、日本で初めて発見されてからまだ60年ほどしか経っていないわけです。
にもかかわらず、現在日本各地の道端や空き地をお得意のオレンジ色に染め上げています。
私は主に東京と京都を拠点に生活してるのですが、両地域の道端でこの季節、至って普通に見かけます。
すごいスピードで勢力を拡大した証拠です。
そして今も絶賛拡大中なので、今後ますますこの植物を見かける機会は増えることでしょう。
私の知識不足もあり、もしかしたらこの植物があまりいない地域もあるかもしれません。
安心してください。近いうちにきっとあなたの地域にもナガミヒナゲシは侵入していくはずですよ!
”時間が解決してくれる”ってやつですね
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少し話は変わりますが。
みなさんヒアリって覚えてますか?
南米原産で強い毒をもつ外来アリのことです。
海外の輸入貨物に混ざって日本に入ってきた!刺されたらめっちゃ痛い!って言って大騒ぎになりましたよね。2017年のことです。
一時期のニュースでは「**でヒアリ何匹確認!」みたいにいちいち報道されていた覚えがあります。
しかし、現在のところ、湾岸地帯は依然警戒しているらしいですが、内陸に住んでいる私たちにヒアリの脅威は迫っていませんね。
そして2024年現在、我々の外来種の関心事はやはり「トコジラミ」ではないでしょうか?
トコジラミも外来種です。江戸時代あたりにすでに日本に持ち込まれたらしいですが、今話題になっているのは海外由来のより強いタイプのトコジラミっぽいですね。観光客や日本人旅行者と一緒に入ってきているらしく、人口の多い地域の宿泊施設などではトコジラミの発見が相次いでいます。
これ以上広がってしまうのか、注視していきたいところです。
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話をナガミヒナゲシに戻すのですが。
ナガミヒナゲシも、外来種です。
60年前には日本にいなくて、国際化に伴い海外から日本に侵入してきた植物。
植物なので当然、動けません。
動けるのは種子の時だけ。
にもかかわらず、日本全国の道端で普通に見かけるほど侵略を成功させているのです。
自由に動き回れるヒアリが(現時点では)成し遂げられていない全国進出を、自由に動けないはずのナガミヒナゲシがいとも簡単にやってのけたわけです。
なぜでしょうか?
実は、日本にはこれまで、貿易によって日本に持ち込まれる外来雑草に対する検疫や規制といった取り組みが全くされていませんでした。つまり、外来の病害虫と違い、外来植物は入り放題、生え放題だったわけです。
そして当然のことながら、多くの人にとって雑草は意識の対象になく、今まで生えていなかった地域にナガミヒナゲシが生え始めても、特に問題として扱われることはありませんでした。
逆に、美しい花が咲いている!と言って庭に植えられたりしていたそうです。
「え?たかが花でしょ?いいじゃん。街が綺麗になって」と思われた方もいるかもしれません。
しかしナガミヒナゲシを舐めてはいけません。
実はナガミヒナゲシは、とんでもない繁殖力があります。
・1つの株が100個もの実をつける
・1つの実に平均1600粒の種子をもつ
掛け算すると……恐ろしい答えが導き出されます。
道路脇に生えた個体からつくられた大量の種子の一部が自動車のタイヤにくっつけば、道路に沿ってナガミヒナゲシの種子が長距離散布されることになります。
しかも、ナガミヒナゲシは成熟前の種子にも発芽能力があるため、開花後に急いで刈り取ったらむしろ種子を広範囲にばらまくことになるのです。
それに加え、ナガミヒナゲシは周りの植物の生育を阻害する物質を出しているので、競合力も非常に強いです。
そして、アルカロイド物質を含むため、素手でべたべた触ると手がかぶれてしまう恐れがあります。
★爆発的に増えやすい
★こいつが生えると周りの在来植物に悪影響を及ぼししかねない
こういった理由から、日本の生態系保全の観点からすると、駆除しなくてはならない植物と言えます。
しかし、もはや全国にこれだけ広がってしまうと、根絶は難しいでしょう。
一般的に外来生物の対策は最初が肝心と言われていて、増えれば増えるほど根絶確率は急激に減少し、駆除にかかるコストは急激に増加します。
ただ、これ以上増やさないことはできる、、、かもしれません!
もし開花前のナガミヒナゲシを道端で見つけたら、軍手をつけ、思いっきりぶち抜いててやりましょう。
花がついてたら、種子が飛ばないよう注意して可燃ごみに出してやりましょう。
・・・あくまで理想は、です。
正直多すぎてキリないです(^^;)
今回この話を紹介したのは、「雑草を見る」ということの意義を感じてもらうためです。
有害外来植物の分布拡大の成功は、我々市民が駆除すべき植物と認識しているかどうかで、ある程度左右されると考えられます。
ナガミヒナゲシ=除草すべき雑草 という情報が共有されていなかったことで、ナガミヒナゲシの全国進出を許してしまった側面があります。
一応言っておくと、日本にはすでにいろんな外来雑草が生えていますが、ナガミヒナゲシのようにくそ強い侵略的外来雑草はごく一部です。
だからこそ、もしまだ日本にそこまで広がっていない危険な外来雑草を見かけたときは、その時は当ブログで皆さんに全力で情報共有し、除草を願います!
長くなってしまいますが、今日はここまでです。
あ!大事なこと忘れてました。
ナガミヒナゲシに似てるけど花の色や柄が違うなぁとか、花の形が違うなぁという雑草を見つけた場合。
写真撮ってGoogleで画像検索してみてください。
もしかしたらアツミゲシ、ケシなどの栽培禁止植物かもしれません。
簡単に言うと麻薬の原料です。(ナガミヒナゲシは違います)
すぐ然るべき機関に連絡しましょう!
まぁ、そうそういないとは思いますが。
ちなみに種子を勝手に移動させたり育てたりしたら法律違反です!!ご注意を。
読んでいただきありがとうございます。
また次回お会いしましょう。
p.s.
ナガミヒナゲシは生育環境で植物体の大きさがめっっっちゃ変わります。
20㎝に満たないものから、1mを超えるものもあります。
XSサイズからXLサイズまで、全部コンプリートしてみてください。