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日常感想5:ぶっきらぼうな小池(ロボット)さん

入社してから、ほぼ二ヶ月に経っていた。忙しい日々を、どこかで無味乾燥のような感覚を抱えながら、過ごしている中に、一際目が離さない人がいた。

その人は僕の同僚、小池さん。

彼女への観察は、どれだけ見ても、興味が尽きること、まずはない。 むしろ退屈な日々に彩りを添えるささやかな楽しみの一つだった。

小池さんが笑っているところを見たことはなかった。
いや、正確に言えば、仕事上の愛想笑いを除けば、本物の笑顔を見たことはなかった。

いつもぶっきらぼうで無表情の上、言葉も棒読み。さらには、その仕事ぶりも淡々としている。まるで機械のように そんな小池さんの人間らしさを感じられる瞬間といえば、たまに耳にする彼女の関西弁くらいだった。

兎に角、同僚の小池さんは、感情の起伏がないロボットのような同僚だった。

なぜだろう。あの機械のような彼女の激情を煽り、無表情な顔を崩してみたくなる。

嗚呼!これは一つの証明だ。

人間には確かに心があるのだということを、彼女を通じて証明したいという、奇妙な実験に他ならない。

無表情の奥に隠された本当の彼女を見てみたい。
その衝動に突き動かされる自分が、少しばかりおかしく思えるけれど、どうしても止められないのだ。

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