名もなき画家の名もなき闘志
【お題】
(貰ったお題)主人が先に逝った老猫の話
↓
(書いた物語)老猫を飼っている主人が先に逝った主人の話
【イラスト】
緑川_桃 Twitter @Greeeeeenpeach
【プロット】
ボロい一軒家に髪の長い男と老猫が2人で暮らしている。若いころからミズキは老猫を描き続けてきたが、絵がどうしても下手だった。ほかの絵は自分の納得いくように書けるのに、一番大好きな猫が描けない。ようやく自分が納得するようにかけた瞬間、男は鉛筆を落としてうれしそうに笑って亡くなった。
【登場人物】
髪の長い男(42)・猫
【本文】
〇 ある家・ある部屋
スケッチブックに鉛筆を走らせる男(32)。
目の前には猫。
床には『大賞応募』と書かれた紙が落ちている。
× × ×
外で雨が降っている。
紙を破いて、家を出て行く男。
破れた紙を見つめる、猫。
紙には『受賞作品』の文字
〇 ある道
たくさんの絵を並べ、売る男。
客が足を止める。
猫の絵を差し出す男。首を振り別の絵を買う客。
〇 ある家・ある部屋・夜
猫の絵をもって帰宅する男。
猫をそっと撫でて、ベットに倒れこむ。
じっと見つめる猫。
〇 ある家・ある部屋
たくさんの猫の絵が飾られ、どの絵にもバツが書かれている。
痩せこけた男がスケッチブックに鉛筆を走らせる。
目の前に老猫。
じっと、男を見つめる猫。
男、絵を持ち満面の笑みで立ち上がり、突然倒れる。
机にあった墨が床にこぼれ、鉛筆が転がる。
猫 「にゃー」
男に駆け寄る猫。墨を踏む。
猫の絵が描かれたスケッチブックを前足一足だけ踏む猫。
猫、男のそばでうずくまる。
(おわり)
【あとがき】
『前作に引き続き失礼します。作者の小柳菜ノ花です。
前回に引き続き、今回もお題を間違ったようにとらえて書きました。この作品は、隣に緑川_桃が本イラストを書いているときに書き上げたものです。前回の作品でお題に沿えなかったので今回こそは……と思い、書いたのですが、書いたプロットを読んでもらうと、また違うよと、びっくりするほど笑われました。
どうせ同じお題で書くならと思い、今回はいつもとは違うテイストで書いてみました。読んでいる方の頭の中に映像が貰えたなら、うれしいです。
次作は、ちゃんとお題に沿えたものを掲載いたしますので、そちらもぜひごらんください。
読んでいただき、ありがとうございました』