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患者は多ければよいというわけではない?理想の医療を追求する医師の葛藤_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード16全文書き起こし

ドックウェブ『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

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オープニングトーク

(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第3回始まりました。大西さん今回もよろしくお願いします。

(大西)はい、よろしくお願いします。 今日のテーマは何ですか?

 (高山) 今日のテーマは、「患者は多ければ良いわけではない」です。

患者数の増加と利益のバランス

(高山)クリニックを開業すると、漠然と「患者さんがたくさん来てほしい」と考えますよね。しかし、損益分岐点の問題もあり、適正な患者数というものがあります。患者数が多いクリニックが、必ずしも成功しているとは限りません。

(大西)患者数が増加すると、スタッフや駐車場、施設の拡張が必要になり、結果的に利益に繋がらないケースも多いです。開業当初は、初日の患者数が気になってハラハラする先生も多いでしょう。3人だと寂しい、50人だと多すぎて対応できない。同じ時間に患者さんが集中すると待ち時間が長くなり、患者さんの満足度を低下させる要因となります。

クリニック経営の理想と現実

(高山)クリニックを開業したからには、それなりの利益は必要ですよね。

(大西)過去の開業支援の経験から言うと、初日は何人来るのか、本当にドキドキします。3人だとさすがに不安になりますし、50人も来たら対応できません。多くのクリニックでは、患者さんが同じ時間に集中してしまう傾向があります。バラバラに来てくれれば良いのですが。

さらに、専門外で診たくない患者さんが集中したり、最後に難しい症例の方が来院されたりすることもあります。患者数が増えると、先生は疲弊し、スタッフも忙しくなり、離職に繋がる可能性も出てきます。

忙しさの悪循環を断ち切るには

(高山)開業して半年から1年ほどの初期は、このような状況に陥りやすいですよね。

(大西)プロダクトライフサイクルで考えると、1年目は患者さんを増やしたい、2年目は徐々に増えていく、3年目は少し手一杯になる、4〜5年目はどうするかを考える時期です。この頃には待ち時間がどんどん増えて、開業当初の目的を見失ってしまう先生も多いです。勤務医時代は忙しさから逃れるために開業したのに、結局忙しいまま。

(高山)患者さんが来なければ不安になるし、多すぎても対応できない。このジレンマをどう解決すれば良いのでしょうか。

(大西)まず、開業当初の理念に立ち返ることが重要です。「地域医療に貢献する」という理念を掲げている先生も多いと思いますが、すべての患者さんを診る必要はありません。ご自身の専門領域プラスアルファを診る範囲として、最初は風呂敷を広げ、徐々に専門性を絞り込んでいく。この作業を1〜2年かけて行うのが理想です。

クリニックの特色と患者層の絞り込み

(高山)最初は広く門戸を開き、徐々に理念に合った患者さんに絞り込んでいくということですね。

(大西)認知度を高めることも重要です。まずはクリニックを知ってもらい、次にどんなクリニックなのかを理解してもらい、ファンになってもらう。ホームページも定期的に更新し、地域のニーズを探りながら、徐々にペルソナを明確にしていくことが重要です。

(高山)1日の患者数を気にして、絞り込みを躊躇する先生も多いですよね。患者数が減る不安もあります。

(大西)口コミでは「混んでいるけど待ち時間が長い」と書かれることが多く、これでは本末転倒です。「混んでいないし待ち時間も少ない」と書かれると、今度は患者さんが来なくなってしまいます。そこで、待ち時間対策として、時間予約や時間帯予約を導入するのも一つの方法です。しかし、最も重要なのは、リピート戦略です。

例えば、生活習慣病の患者さんをターゲットにするなら、リピートを前提とした戦略が必要です。初診の患者さんを絞り込む勇気も必要です。感染症に特化したクリニックを目指すなら、リピートではなく、新規の患者さんを多く集める戦略が有効です。このように、短期・長期の戦略、ターゲット層、疾患などを考慮しながら、最適な戦略を立てることが重要です。

理想の医療を実現するために

(高山)ドックウェブで行ったアンケートでは、「自分の理想の医療を実現したい」という理由で開業した先生方が最も多いという結果が出ています。先生方それぞれが理想の医療を持っていると思いますが、そのためには、クリニックの特色を打ち出していく必要があるのではないでしょうか。

(大西)最初から特色を出すのは難しいですが、徐々にご自身の専門性を発揮していくことが大切です。どのような年齢層で、どのような疾患の患者さんを診ていくのか。1年ほど経ったら、改めて振り返り、ホームページや理念を見直すことも必要です。理想の医療を実現するには、患者数が多すぎる状態では難しいです。勇気を持って、絞り込みを行いましょう。

(高山)開業後、ある程度患者さんが集まってきたら、方向転換していくイメージですね。

(大西)進化を恐れずに、常に変化していくことが大切です。必要に応じて、第三者の意見を聞きながら、軌道修正していくことも重要です。

変化への柔軟性と相談することの重要性

(高山)最初に決めたことを変えるのは、不安も伴いますよね。

(大西)「こんなはずじゃなかった」と思っている先生は多いです。理想通りに進んでいる先生は少ないでしょう。だからこそ、「なぜ開業したのか」という原点に立ち返り、自分自身に問いかけることが大切です。内省し、質問を繰り返し、戦略を練り直し、誰かに相談する。このサイクルを繰り返すことで、クリニックは成長していきます。

(高山)クリニック経営で大切なことは何でしょうか。

(大西)柔軟性です。変化に対応できる勇気を持つこと。フレキシブルに対応できなければ、理想の医療は実現できません。「こうあるべき」という固定観念を捨て、「こうしたい」という意志を持ちましょう。

(高山)おっしゃる通りですね。なかなか1人では難しいので、外部の意見を取り入れることも重要です。例えば、ホームページ業者に相談しながら、本来やりたかった医療を発信していくのも良いですね。

(大西)相談相手は複数用意しておくと良いでしょう。1人で考えるには限界があります。私も常に色んな人に相談しています。

(高山)相談しない先生も多いのでしょうか。

(大西)相談内容によっては、A4用紙3枚分にもなるので、早めに相談することをお勧めします。

(高山)本日はありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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