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自院の強みを探る(2)―じつは業務フローも強みになる―_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード45全文書き起こし
DOC WEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
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(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第45回始まりました。大西さんよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何ですか?
今日のテーマ:クリニックの強みとは?
(高山)今日のテーマは、前回の続きです。
人気クリニックになるための第一歩として、「強みとは何か」について話してきました。
強みは色々ありますよね。先生自身の性格が活かされれば、それが強みになりますし、目玉になるような医療機器を導入することで強みになる場合もあります。
今回は、診療の流れ自体にも強みを作れるのではないか、という話をしていきたいと思います。
(大西)業務の流れ、いわゆる業務フローを強みに変えるというのは、面白い発想ですね。
一言で言うと、どうやって患者を待たせないようにするかが重要です。
待たせないクリニックの重要性
(高山)患者を待たせないことが、クリニックの強みになるということですね。
(大西)患者さんは、待たないに越したことはありません。クレームのほとんどは、待ち時間に関するものです。
そこで、待たないクリニックを作る試みが、最近出てきています。
(高山)待ち時間の問題は、20年来の課題ですよね。
(大西)昔は「お医者様」と呼ばれていた時代がありましたが、今は「お医者さん」と呼ばれる時代です。
患者さんと医師の関係性が変化してきていると感じます。
(高山)患者さんから見た医師に対する見方が変わってきているのですね。
(大西)医療が患者さんに身近になってきたのだと思います。
(高山)以前は遠い存在だった医師が、より身近に感じられるようになった。
親近感が湧き、距離感が縮まっているということでしょうか。
(大西)その通りです。昔は地域に医師が少なく、多少待たされても他に選択肢がありませんでした。
3時間待って3分診療という言葉が生まれたのも、そのためです。
病院とクリニックの違い
(高山)病院とクリニックは、患者さんから見ると違いが分かりにくいですよね。
(大西)医師からすると、病院は入院施設、クリニックは外来施設という違いがあります。
ベッドの有無で区別されていますが、患者さんは19床以下かどうかなど知りませんよね。
でも、一番重要なのは、もう患者さんを待たせてはいけない時代になっているということです。
コロナ禍の影響とクリニックの進化
(高山)コロナを境に、待たせないことがより重要になりましたね。
(大西)待合室に患者さんがたくさんいるのは、良くないことになりました。
感染リスクを避けるためにも、患者さんをスムーズに捌けるクリニックが強みになります。
今年の冬は、インフルエンザ、コロナ、溶連菌などが流行し、患者さんが殺到しましたが、殺到した患者さんをどう捌くかもクリニックの強みになります。
クリニックコンサルタントの役割
(高山)患者さんが増えてもいいように準備しているクリニックは、賢いですね。
(大西)将来を見据えて、患者さんの数を想定し、シミュレーションしているのでしょう。
ただ、昔はそういう考え方はありませんでした。クリニックの現場にコンサルタントが入ることも、最近のことです。
以前は開業コンサルタントや会計事務所しかいませんでした。開業後にコンサルタントを雇うクリニックは少なかったのです。
「クリニックに来るコンサルタントはロクでもない。給料泥棒だ。」と、言われたこともあります。
成果を出すコンサルティングとは
(高山)成果を出してほしいということなのですね。
(大西)節税や保険の提案ではなく、どうすればその地域で勝ち残れるかの提案が求められています。
しかし、成功方程式を知らないと、良い提案はできません。
最近では、クリニック向けに成功方程式を売買するビジネスも出てきています。
強いクリニックのやり方をモデル化し、ホワイトペーパーにまとめて販売するのです。
成功事例の共有と独自性
(高山)成功しているクリニックのやり方を真似すればいい、ということですね。
(大西)分院の作り方や、医療機関の儲け方などの講座もありますが、あれは講師自身の経験に基づいた提案です。
強みとは逆で、誰でも同じようにやってしまうと、同じようなクリニックばかりになってしまいます。
診療の流れの改善
(高山)地域に同じようなクリニックばかりだと、患者さんも困りますね。
(大西)そこで、診療の流れや業務フローに着目することで、差別化を図ることができます。
(高山)待たせないための業務フローは、どう作ればいいのでしょうか?
(大西)人を徹底的に減らす、つまり自動化ですね。
患者さんをクリニックに滞在させないことも重要です。診察時間を病状ごとに割り出し、予約システムと連動させます。
診療時間の効率化
(高山)なるほど。インフルエンザの検査をする場合、陽性か陰性かで診察時間が変わりますね。
(大西)陽性率が低い時期は、陰性の患者さんを診るのに時間がかかります。
インフルエンザではないと診断された場合は、他の病気を調べる必要があるので、さらに時間がかかります。
このように、病状によって診察時間が異なるので、それぞれに合った流れを作る必要があります。
ショート診療やクイック診療という言葉も使われています。
(高山)患者さんにもクイック診療という言葉を使っているのですか?
(大西)つまり、薬をもらうだけの患者さんには、医師と会う時間は短くて良いということですね。
患者さん同士が接触しないよう、診察の合間に時間的余裕を持たせるようにしています。
クリニックにおける患者の流れとレイアウト
(高山)かなり工夫されていますね。
(大西)例えば、番号制で患者さんを管理している場合、3番と4番の患者さんの間に、他の患者さん(3.5番)を割り込ませるようなイメージです。
こうすることで、診察室を増やさなくても、早いレーンと遅いレーンを設けることができます。
診察室の数を増やすかどうかも、この流れを考慮して決定する必要があります。
(高山)レイアウトを決める際に、そこまで考えなければならないとは、奥が深いですね。
(大西)コロナを境に、「トリアージ」という言葉が流行しました。動線を分ける必要が出てきたのです。
(高山)発熱患者と非発熱患者を分ける必要がありましたね。
(大西)コロナ以外の病気でも、動線を分ける方法があることに気づきました。裏口や裏動線を活用するのです。
業務フローの重要性と開業準備
(大西)クリニックの強みは、業務フローと密接に関係しています。開業前に、しっかりと業務フローを想定しておくことが重要です。
(高山)本当にそう思います。実は、先週風邪を引いて駅前の新しいクリニックに行ったのですが… (普段の声とは違うのですが、知らない方はこれが普通だと思うでしょう。)
(大西)声ガラガラですね。
(高山)先日、駅前の新しいクリニックに行きましたが、LINEで予約や問診ができ、時間通りに行くと私しかいませんでした。
すぐに診察と検査を受け、15分で帰ってくることができました。
支払いは自動精算機でクレジットカード払いでした。
他の患者さんとすれ違うこともありませんでした。
(大西)進化したクリニックは、混んでいないように見えて、実は人気があるのです。
患者さん中心の診療
(高山)診察してくださった先生は、流れ作業ではなく、丁寧に話を聞いてくださり、安心感がありました。
(大西)最新のクリニックは、1日に100人の患者さんをどうマネジメントするかまで考えています。
午前中は混雑するのでスタッフの配置を厚くし、午後は少なくするなど、時間帯によって柔軟に対応しています。
精算機やキャッシュレス決済も導入されています。
薬局との連携
(大西)次に注目すべきは、薬局との連携ですね。薬を受け取るためだけに待つのは面倒です。
(高山)クリニックの隣に門前薬局がありましたが、そのクリニックの患者さんしか利用しない、一体一の薬局でした。
問診票も手書きで、何度も同じことを書かされるのは面倒です。
問診票のデジタル化
(大西)クリニックで書いた問診票をコピーして、薬局に提出するという方法もありますね。
(高山)問診票の内容は同じなので、二度手間です。
(大西)お薬手帳に問診票を貼っておけば、将来デジタル化された時に役立つでしょう。
クリニックの調査をしている人などは、問診票を見せるだけで済むようになるかもしれません。
厚生労働省も、このようなデジタル化を進めているのではないでしょうか。
薬の説明と連携の重要性
(高山)薬局のデジタル化は遅れていますね。
クリニックは自動化が進んでいるのに、薬局がボトルネックになっている場合があります。
咳止めの薬を2種類処方されたのですが、薬剤師からは「両方とも咳止めです」としか説明されませんでした。
「両方飲む必要があるのか」と聞くと、「先生がそう言っているのだから、そうなのでしょう」という答えでした。
(大西)薬局には改善すべき点が多くあります。
問診票を近隣のクリニックと統一したり、仲の良いクリニックからは問診票のコピーをもらったりするなど、工夫が必要です。
薬剤師と医師のコミュニケーション
(高山)薬の説明が不十分だと、患者さんは不安になります。
(大西)薬剤師の中には、薬の処方について医師に問い合わせる人もいます。
咳止めの薬を2種類出している理由を電話で確認する薬剤師もいます。
しかし、医師からは「うるさい。患者のことはお前が気にするな」と言われてしまうこともあります。
医師と薬剤師が仲が良い場合は、薬の説明方法について相談することもできます。
個別対応の重要性
(高山)患者さん一人ひとりに合った説明が必要です。
(大西)漢方薬を2種類出す医師もいれば、1種類出す医師もいます。
薬の効果が分からない場合は2種類出すなど、医師によって処方箋の出し方が違います。
薬局は、医師の処方方針を理解し、患者さんに適切な説明をする必要があります。
業務フローの改善提案
(高山)薬局は、医師の処方方針を理解しておくべきですね。
(大西)お寿司屋さんを例に挙げると、握るタイプのお店と、レーンが回るタイプのお店があります。
最近は、そのハイブリッド型のお店も出てきています。
このように、業務フローを改善することで、効率化を図ることができます。お寿司屋さんと同じように、医療機関も業務の合理化を進めるべきです。
今後の展望
(高山)そうですね。まさにそういう時代になってきました。
開業医の先生方も若返ってきていますし、開業のタイミングで業務フローの改善に取り組むべきです。
スムーズな業務フローを実現するために、レイアウトやスタッフの育成、システムなどを検討する必要があります。
(大西)地域の中で一番になるために、強みを活かしていくことが重要です。
(高山)今回は、診療の流れも強みになるという話をしました。続きは次回にしたいと思います。大西さん、ありがとうございました。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。
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