永遠より長い一瞬 


 中学1年生の秋ごろだったかな。暑くはなかったし、凍えるような寒さでもなかったから。制服の上にセーターを着ていた。そんなときに今後の人生を大きく変わることになったグループと出会った。欅坂46に。
 さっき調べると、NTTドコモのCMでした。綾野剛さんが舞台の上の欅坂46のガラスを割れ!を見学してるみたいな構図だったことを覚えています。衝撃を受けましたから。なんてかっこいい曲なんだと。
 中学一年生の私は、女性アイドルという概念にかわいい人たちという印象以外持っていなかったと思う。そしてそんな存在を好きになることはダサいと思っていたと思う。失礼を承知でアイドルのオタクには、太っていて眼鏡で不潔。そしてチェックのシャツをジーパンにインしているような想像を持っていたので、馬鹿にもしていたんじゃないかな(今はそんな気持ちは全くないです。)そんな狭い世界で生きていたような気がします。そんな偏見まみれの私が女性アイドルである欅坂46に引き込まれるなんて相当な衝撃だったんだろうなぁ。
 とにかくYoutubeをずっと見てました。ガラスを割れ!のMVをひたすらにみてました。メンバーの名前は誰一人知らなかったですが。そのあとも「欅って書けない?」などの存在を知ることもなく、自宅の和室に寝転がって、仰向けにiPadを持ち上げ、腕が痛くなるまで不協和音やエキセントリック、サイレントマジョリティーなどフルサイズのMVを繰り返し見て、徐々に徐々にはまっていきました。
 アンビバレントのMVがおすすめ欄に表示されたころには、メンバーの名前も数人覚えていたかな。アンビバレントの最後でメンバーがスカートを振りながら集まるシーン(わかりますか?笑)のふーちゃんが不敵な笑みをしていて、すごくきれいだなぁと感じたことを覚えています。
 中学三年生の夏までは、そうやってMVを見て、音楽サイトでカップリング曲も聴き、まとめサイトで徐々に欅坂46というグループについて知っていきました。黒い羊を見て、終盤てちが階段を上ってメンバーとダンサーさんのみんなと踊るシーンの「黒い羊」と歌い始めるタイミングで一緒に歌えるようになるまでMVを繰り返したり、Nobadyの雰囲気にゾッコンしたり。バスルームトラベルを聞いてこんな方向性の曲があるのかと驚いたり、どうにかして割れたスマホのMVを見れないものかと苦悩したり。
 中学3年生の夏休み、大きく欅坂にのめりこみました。部活や大量の宿題がない自分で膨大な時間の決め方ができる初めての夏休み。私は受験勉強と欅坂にほとんどの時間を費やしました。サブスクの音楽アプリを使うという発想がなかったので(使えるお金がないし、物理的でないお金の使い方なんてできるわけないと思っていました。)非公式の違法っぽいアプリで黒い羊までのリリースされている全曲を聞きまわし、youtubeに転がってる違法のけやかけ(今は見れないだろうなぁ。見たらだめですし)をすべて見て、欅坂を摂取していました。欅のキセキを布団に潜り込んで親にばれないようにやったり、ユニゾンエアーという神ゲーのリリース日を楽しみに待っていたりとかもしてました。ねる卒業回のけやかけでメンバーと言葉を交わしているときはうるっときた記憶があります。
 ここら辺から何もプラスの感情だけでこのグループと向き合うことは無理なんだなぁと。常に勝手な想像や憶測で彼女たちのことを批判し、罵詈雑言を浴びせるSNSの怖さや醜さも知りました。メディアの情報がすべて真実ではないのに世間に公表されているという異常な状態に初めて気づき、それを盲目に信じ、誹謗中傷を書き込むSNSの住民たちにこれからも何度も怒り、悲しむことになります。何度週刊文集オンラインの破滅を願っただろう。
 受験や人間関係のストレス。勝手にやるべきことが決められて、それに逆らえない不条理(今思えば大人たちは心配してくれてたくさんのことをしてくれたのにね)に悩み苦しんでいるときに、欅坂に救われていました。この言葉は地球上で何人にも人に何回も言われてきた言葉だと思います。でも実際救われていました。
 大人は信じてくれないにある
大人は信じてくれない 胸が苦しいことまで そうさ自分が子供のころを忘れているんだ
という歌詞で表現されているように、このころの気持ちを忘れずに大人になっていきたいです。
 欅坂を知っていくうえでけやき坂や日向坂の曲も聞くようになってました。とくに線香花火が消えるまでとドレミソラシド、君に話しておきたいことが好きでしたね。
 夏休みに欅坂とローソンのコラボがありました。これが初めて私が欅坂に関するものを購入した時です。本当に数少ない手持ちのお金でくじを引いて、ハンディファンとあかねんの小さなブロマイドみたいなものをもらったのを覚えています。すごいうれしかった。たくさんのローソンを回り、欅坂のエコバッグを買ったローソン店舗のおばちゃんがほんとはだめだけどレシートをたくさんくれて、web応募をたくさんさしてくれたことに温かさを感じたし、ローソン店舗で販売されていたジャケ写のコースターやクリアファイルを買わなかったことは今でも後悔しています。細々とためていたお金をほとんど使った記憶があります。二期生の9人が初めて全員で表紙を飾ったbltを買ったのはマジで英断。穴が開くほど読み返したし、今でも宝物です。(ここら辺の記憶の時系列があやふやで違う夏の思い出かもしれません)
 欅坂に出会ってから何度も自分の奥底、深層をめくられていたと思います。自分の悪いところにたくさん気づいたし、周りの嫌なところもたくさん見えてきた。そして何度も価値観を捨て去ってそのたび新しい価値観を迎えました。そのころから心の底から人を信頼することもなくなった気がします。
 秋を迎えるころにはメンバーのこともみんな大好きだったし、全曲歌えるくらいには欅坂を好きになっていっていました。だからこそあの日は心がすごく落ちました。
 1月23日 お風呂上り、勉強をする前にいつものルーティンのようにまとめサイトを開いた時。涙があふれたまま、黒い羊のMVを見に行きました。気づいたころには濡れた髪は乾いていました。
 高校受験を終えたころ、コロナが蔓延し始めたときでした。卒業式も延期しました。そんなときでも欅坂はずっと私の中で輝いていました。
 高校受験が終わって少し経った頃だったと思います。何のチャンネルかは覚えてませんが、テレビで欅共和国2017が放送されました。このチャンネルが見れる(契約してた?)家で心底よかったと思います。2年くらい好きだった欅坂のライブを初めて見ました。なぜなのかその当時はわかりませんでしたが、本当に誇張なしに全曲涙が止まらなかったことを覚えています。今まではMVでしかパフォーマンスを見ていなかったですが、ライブのパフォーマンスや表現をテレビ越しですが体験し、感動が止まらなかったです。ライブのすばらしさを初めて体感しました。感動して泣く経験は初めてでした。今までの涙は怒られて怖いや、蹴られて痛いなどマイナス感情の涙でした。しかし欅共和国で味わった涙は初めてのポジティブな涙でした。すごく心地よくて、心が温かくなったことを覚えています。
 今回は高校入学(2018-2020 4月ごろ)までを振り返りました。次回は高校入学から高校卒業までをふりかえろうかな。
 永遠のように感じたあの時も本当に一瞬だったな。
 
 


 
 


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