公園をつくる人への賛辞
子供のころ「カラスが鳴くからかーえろ」って掛け声があったけれど、本当に日が沈むころ、カラスは山に帰っていくんだなあ、と知った。
童歌のように、かわいいカラスの子があるから山に帰るのか、どこに行くかはちっとも知らないけれど、毎夕、次々と彼らは同じ方向へと飛んでいく。
私の家の近くのカラスが帰る方向は、西だ。
おうちではなくて太陽へと向かっているのか?
陽が沈む方向へと真っ直ぐカラスは飛ぶ。
ときには何十羽と団体で、しかし優雅にゆったりと同じ方向へと飛び去っていく。
鳴き声も夕日の光と重なって聞こえるようだ。
私の住む地域は50年前に開発されたベッドタウンで、豊かな樹木はすべて開発時に植えられたものだ。
自宅の目の前に二つの池と二つの植林公園がある。
朝にランニングすると
朝日を浴びて輝く公園の樹木に感嘆する。
サンキャッチャーのガラスのように、一枚一枚の葉が煌めく。
思わず頭の中で音楽が鳴り、音楽にあわせて踊るような気分で走ることになる。
この公園も開発当時は土砂があっただけの禿げ山だった(地方紙の写真で見た)
池をつくり、道をつくり植樹をおこなったであろう人は、30年後、50年後、もしや100年を見越して木を配置したのだろうか。
『素晴らしいです!』と毎回思う。
芸術的に美しい。
木の特性や枝葉の繁り方、季節ごとの色を理解したうえで、この巨大空間を埋めていったんたなあ~とほんとうに感心する。
こんなに美しい公園を作ってくれたプロに、きっと(造園は男性社会だったろう)おっちゃんだろうけども、もうおじいさんかも知れないけども、どこかの誰かを最大に賛辞する毎日だ。
この種類を一気に配置して最高やん
絵になるわあ~
このカーブにこの樹が中心でごっつええわー
この道の両側にこの樹を揃えてきますかあー
いいですねええ
美しい絵画が目の前にリアルに立体で現れたよう。
走りながら過ぎ去るパノラマの色彩
360度眺めることができて、眼福このうえない。
それらの公園にカラスの巣があるのかどうかは分からない。(ネコは住んでいる)
擬似的な人口公園だけど
私はこの作られた緑が大好きだ。
ひとりでも芝生に敷物やチェアーを置いて、のんびりゆったりとこの公園で過ごしてみたいなあ~と思いつつ、いまはまだ走り抜けるだけとなっている。