へんなひと
駅までの道で、美しいふくらはぎが目に入った。
駅前にある大型児童館に遊びに来たのであろう、幼児を抱っこして歩いているパパさんの後ろ姿だ。
Tシャツの、肩から腰にかけて見てもスポーツをしているのではないかと思えた。
私は歩いて二人の後ろを通りすぎるまで、話しかけたくてウズウズした。
『ちょっと美術的な感心でお尋ねしますけど、なにかスポーツをされているんですか?』
子連れなのでまだいける
声を掛けやすいと感じたのだ。
相手が1人で歩いていたら、そんな欲望も瞬殺されていただろう。
パパさんでもママさんでも関係ない。女であろうと男であろうと、なんのスポーツをしているのか?どうやってその身体が出来ているのか?が気になった。
野球選手の身体を思い浮かべてほしい。
がっちりしているイメージだ。
サッカー選手はどうだろう、どこか曲線がある感じではないか。
目の前に歩いている小麦色の細くバランスのとれた筋肉質のあのふくらはぎは、なんのスポーツで作られたんだろう?
濃い小麦色から水泳ではないだろう(室内競技だから)
自転車かなあ~なんだろうなあ~
スポーツじゃなくて、お仕事かなあ~
喋りかけることなく一定の速度を保ったまま、私は通り過ぎた。
私もまだまだ常識人間だなあ、と落胆する。
一時の恥をかけなくてどうする
もっと自分の興味探求心を尊重せよ
なんて冗談で(いや本気か)残念に思いながら、小さな男の子のパパさん(顔は全く見ていないというか興味ない)に、ありがとうと伝える。