SECOND CHANCES/DONATE LIFE CALIFORNIA
2019 カンヌライオンズ PR部門 ゴールド
・ファクト
アメリカでは 114,000人がドナー提供を待っており、平均して1日に22人ものアメリカ人がドナー提供をしてもらえなくて亡くなっている緊迫した状況。
カリフォルニアは95%もの人がドナー登録に賛成している州だが実際登録しているのは45%と低い。
ドライバーが運転中に一番ストレスに感じるのは警察に声をかけられた時。
・内容
ドライバーが軽微な違反ををした際に、警察は免許証を確認する。ドナー登録をしていた場合は実際のチケットの代わりに警告で済むセカンドチャンスチケットを渡す。(運転免許証にドナー登録者の印がある)「他の人の人生にセカンドチャンスを与えているあなたにも、セカンドチャンスをあたえましょう」という文脈でドナー登録者をたたえる。(引用:https://amp.review/2019/06/20/canneslions-2019-pr/)
・結果
前年から38%増の110,609人の新規ドナー登録
300万件以上のインプレッション
カリフォルニア州だけでなくカナダなどでも行われるように
・ターゲット
カリフォルニアのドライバーたち
・このキャンペーンで果たす役割、目的
ドナー登録はボランティアな側面が強い分、強制はできない。その活動が倫理的には重要だと思われていてもなかなかやるきっかけがない。このキャンペーンによって、ドナー登録者になってよかったとポジティブなイメージをつける。
・ターゲットインサイト
ああ、、、やべぇ警察が来た、、、最悪だ、、、
↓
エッセカンドチャンス!!?ドナー登録しててよかったああ
・このキャンペーンのイメージ
ハートフル、ドッキリ、感動
・メモ
このPRを調べていて感じた違和感。
それは「え、このキャンペーンとってもハートフルだけどなんでドナー登録者そんな増えるの??」
というところ。
このキャンペーンのキモは最悪の体験をプラスに変えるところにある。「やっちまった!終わった!」という状況から「もう一回のチャンスがあるぜ~」と分かった時はありがたさが倍増する。
そしてそのありがたさは「もし自分がドナー患者で待っていた心臓がもらえたら、、、」と人々を想像させることにつながる。
でもここでひっかかるのがそのありがたさを感じるのはすでにドナー登録をしている人たちということ。
もうちょっと調べていったらSecond Chancesのサイトに「tool kit」っていうこのキャンペーンのプレスリリースとかドナー待機者の事実(ファクトブックっていうんですか?)が入った裏側のファイルがダウンロードできた!笑
そこに入ってたポリスとドライバーの会話マニュアルがこちら!
こんな裏側まで公開する!?っていうおどろき笑
↓ドライバーがドナー登録してた時の例
↓ドナー登録してなかったとき
あれ、ドナー登録してない場合も「セカンドチャンスをあげよう。今回は罰しない。その代わりあなたもドナー待機者にセカンドチャンスをあげることを考えてみてくれ」みたいに言ってる、、、
上の写真にあるようにおそらくドナー患者登録していない人にもセカンドチャンスをあげているはず。
つまり増えた38%のドナーの内訳は「ドナー登録をしていなかった違反者」最初にセカンドチャンスとしてギブすることで相手ももらったセカンドチャンスを返したいと思う。ドナー登録という形で。
これはSNSで拡散されにくい。体験がもととなって体験者が行動にうつしている。警察と組むっていう視点も新しいし、難しいハードルもたくさんあったのに、考えれば考えるほどすごいPR。
参考文献