ミータソの企業分析【ギフティ】2020年4Q
こんにちはー、最近はIPO株の動向が気になってるミータソです。
19日上場のWACULが、上場初日に値がつかず次の日に持ち越し、初値が4,645円、公募価格の約4.4倍、時価総額は300億と結構インパクトある上場になりました。
市場の吸収金額が低かったのもありますが、AI×SaaS×DXというテーマもマザーズ投資家には響いたようです。2月25日には腐女子向けゲーム開発のcolyのIPOも控えており、引き続きマザーズIPO銘柄に注目したいところです。
今回はソーシャルギフトサービスのギフティを取り上げました。マザーズ企業ではないですが、去年12月に東証一部に鞍替えし、コロナ禍オンライン需要にのっかってGotoキャンペーンのeギフト受注もあり、業績好調のようです。
一方、IPO近いギフトパッド、また去年7月に11億円の大型調達を実施したTANPその他競合も参入してきたので、競合含めこの領域は気になるところです。
1. 会社概要
【基本情報】
ギフティは2010年に創業、2019年9月に上場しました。上場時の時価総額は約310億円、IPOラウンドで76億円ほど調達しました。IPO直前期売上が11億円、最終利益が1.9億円と黒転した上での上場だったんですね。従業員数は2020年12月末で137名。
【経営メンバー】
創業者の太田さんが2年半アクセンチュアに勤めた後2010年8月にギフティが創業されました。CIOの柳瀬さんは太田さんのアクセンチュア時代の同期ですね。CFOも野村→オリックスとバリバリの金融系でかなりつよつよな経営メンバー。
【株主の状況】
創業者である太田 睦氏の持分は20%ほど、顧客先でもあるKDDIの投資ファンドが合わせて17%を超える持分を有しているほか、大手ベンチャーキャピタルのジャフコが大株主となっています。
KDDIだけでなく丸井やJCBといった、ギフティと事業上のシナジーある会社と資本提携を組めている点が、まわりをまきこみビジネス上手だという印象を受けます。
【事業概要】
ギフティは主に3つの事業からなります。カジュアルギフト・eギフトという大枠はありつつもコンシューマー向け、そしてビジネス向け双方にサービス展開しているのが特徴的である点は、前回のユーザベースと似てますね。
giftee
オンラインで手軽にギフトを贈れるサービス。「ありがとう」「おめでとう」「おつかれさま」などのキモチに添えてすぐに贈れるカジュアルギフトを取り揃えている。メールやLINE、Twitterなどを介し、直接会えない相手や、住所を知らない相手にも気軽に贈ることができる。
eGift System
店頭での引換えが可能なeGiftの生成、および生成したeGiftを自社サイト上で販売するためのシステム。
giftee for Business
eGiftを活用した法人向けソリューション。キャンペーンの景品やお客様への謝礼として、コンビニの商品やコーヒー等のギフトをLINEやメールで簡単に贈ることができる。
2. 事業詳細
今回は売上の60%超を占めるメイン事業のgiftee for Businessについて掘り下げてみたいと思います。
ギフティのビジネスは、例えば吉牛、サーティーワン、ゴディバにクーポンの基盤システムを提供しています。
LINEやTwitter、グノシーといった媒体を使った、企業のキャンペーン・クーポンの仕掛け人がギフティなんです。LINEギフトとかもギフティのクーポン配信の仕組みを使って利用されてる企業もあると思います。
資料にもあるとおり、コロナ禍しばらく停滞していた法人キャンペーンの回復により、第4四半期に売上が大幅に回復しました。
先行きが不透明な中、企業がコスト見直しする際に、広告宣伝を真っ先に削るでしょうし、第3四半期は仕方ないですよね。eギフトを発行する会社は、旅行やサービス、飲食業とモロにコロナのマイナス影響を受けています。
一方、従来企業が商品をキャンペーンする際、ギフト商品として様々な品物や金券、ギフトカードなどが用いられていたため、送る側には在庫管理や包装の手間、郵送代金などのコストがかかっていたところ、
giftee for Businessを活用することで、企業の在庫管理が不要であったり、配送費、人件費の削減が可能となり、低コストでキャンペーンをうてる点に強みがあります。ある意味DX銘柄とも言えるでしょう。
コストと手間がかけず段階的にキャンペーンをうつことで、参加者に少額のインセンティブを付与し、参加モチベーションを向上することができる点も企業が導入するきっかけになったことから、ギフティが成長してきたのもあるでしょう。
ユーザーからしても、当選後1週間後にプレゼントが届くより、当選がわかってすぐプレゼントもらえたほうが嬉しいですよね。
そういうメリットもあり、生命保険会社の新規加入キャンペーンの粗品、電力会社におけるポイント交換の景品、携帯ショップの来店促進キャンペーンなど、多様な業種に利用がひろがっています。
スマートフォンの保有比率の上昇に伴い、個人・法人・自治体等の間においてスマートフォン上でのコミュニケーションをする頻度が増加しており、そのツールとしてのeギフトの需要が拡大してます。
お歳暮とかお中元ってめんどくさい人もいますし、若い人だと打ち合わせや情報交換のお礼でギフティ使ったりますよね。私もSNSで知り合った人との面談後にお礼としてスタバの500円券を送ったりもします笑
また企業向けのサービスは、キャンペーンにおけるコスト削減、コロナも相まってよりオンラインコミュニケーションの機会が増えるので、今後も伸びが期待できるでしょう。
3. 財務概要
第4四半期は販促のオンライン化の追い風や、GoToの電子クーポンに係るシステム提供によって、流通額・売上ともに大幅増加しており伸びています。
期初の売上高予想25.8億円を大きく上回る30.8億円、それで営業利益率は35.9%は立派でしょう。この領域でナンバーワンかつオンリーワンであるがゆえのこの収益性だと思います。
4. 株価予想
今年2月25日時点で時価総額1,181億円ですか、上場後順調に伸び、上場時時価総額約310億円と比べても3.8倍。PER166倍と割高のように思いますが、トップラインが前年比70.4%のグロース株なので、PERで見るべきものではないと思います。
法人向けサービスはもちろん、決算をみるとgotoキャンペーンにのっかった売上が来期の第1四半期にまで及ぶと開示もありましたし、地域通貨も前年度以上に伸びると予想します。
また飲み会の割り勘のような単純な送金はPaypayやLINE Payが既にやってる一方、ご祝儀やお年玉といった冠婚葬祭的な送金を行う流れが生まれた際、そのプラットフォーマーをギフティが担えるポテンシャルがあるのではないでしょうか。
5. ミータソのスタートアップファイナンス情報発信について
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