中国人が「日本訛りの中国語だ」と分かるのはどの部分ですか?[Quora回答微調整版]
過去、2年ほど台灣に住み、ほとんど日本人とバレずに生活していました。
※中国大陸出身の方と関わる機会は比較的少ないのですが、関わった際も反応がだいたい同じなので以下にまとめて書きます。
まれに、話している最中「ん?君もしかして外国人?」と訊かれ、日本人だと答えると「嘘だ!日本人がそんなに中国語を話せる訳がない!全然日本の訛りがない!」と驚かれる事がありました。
社交辞令なのでは…と思いつつも、学校で発音だけが好成績だった自分は、毎日いかに日本人とバレずに過ごせるかをプライドとして生きていました(所作や口癖を真似る事も効果的)。
ところが、「日本語を毎日研究している(勉強、ではなく研究)」という台灣人と親しくなった時、「僕は君が日本人だとすぐわかったよ」と言われてしまい、激しく動揺しました。原因は、多くの中国語学習者が自覚する部分だったからです。
中国語には「ん」の発音が大きく分けて2つある、というのはよく聞く話ですが、これが日本人にとってかなりの鬼門です。
▼中国語未学習者の方への解説▼
「日本語で“安全の安”と“案内の案”に含まれる“ん”の発音はそれぞれ違う」という説明が一般的かも知れません。前者は「舌で音を止める“ん”」、後者は「喉で音を止める“ん”」です。
※ただし、Quoraコメント欄でMulti Speakerさんからご指摘いただいた通り、「喉で音を止める“ん”」については“ハンコのン”がより理解しやすいと思います。
▼中国語学習経験者の方への解説▼
拼音で表すところの「an/en」と「ang/eng」の違い、注音で表すところの「ㄢ/ㄣ」と「ㄤ/ㄥ」の違いを指しています。
多くの日本人学習者が発音を極めようとする時ここでつまずくでしょう。音の違いを理解していながら、いざ会話の時に意識して発音出来ないもどかしさで発狂する場合もあります(経験者は語る)。
自分はとにかく日本人だとバレるのが悔しくて(若気の至りですな)、何度も克服しようと練習を重ねたのですが……ダメでした。よほど集中して、単語を区切れば発音できない事もありませんが、会話の間ずっと意識するのはどうにもダメでした。完!全!敗!北!!!
日本語研究者(趣味)の彼曰く、「日本人はみんな鼻声なんだ。君もそうだよね。だから発音のクセが中国語ネイティヴとは全然違う。」との事でした。ここで言う「鼻声」は鼻づまりの声という意味ではありません。発音の音を響かせる時、喉を大きく開けずに口周りだけで済ませている、という意味だそうです。
「中国語は小声で話せない」という説もよく聞きますが、おそらく喉を開けて一定の音量を保たないと発声できない言語である、というのが根拠でしょう。日本語は真逆で、小声で会話するのに適した言語である事も頷けます。
自分の経験でまとめますと、台灣人7割からは台灣人と思われ、2割からは外国人(日本は含まない)と思われ、1割には日本人だとバレる。そしてバレる際の原因は「ん」の違いである。そんな感じでした。
※書きながら思い出しましたが、中国大陸出身の方からは「台灣人?」「南方なのはわかるけど、どこの訛りかわからない」と言われる事が多かったです。事前に日本人と明かした状態で知り合う場合が多いので、サンプルとしては不十分ですね。
最後に。今はもうずっと日本に居るので、中国語力は全体的に相当衰え、ネイティヴに間違われる事もなくなりましたが、この回答が何かしらご参考になれれば幸いです。
でわでわ。
▼自己紹介的なもの▼
時々HiNativeにハマり、日本語についての質問に中国語で答えたりしています。
翻訳養成学校ISSインスティテュートさんのブログにて、「授業体験レポート 2019秋 中国語編」の連載を担当していました。何かしら参考になれれば幸いです。