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4月と祖母
おばあちゃんの誕生月は4月。
本当に優しくて、明るくて、4月生まれが誰よりも似合うおばあちゃんで、なのにずっと家にいて、外に出るのは苦手。背が小さくて、私の方が大きくなった時も おばぁちゃんが1番小さくなった と言ってニコニコ笑っていた。
そんなおばあちゃんがよく着ていたチューリップの洋服。
亡くなった時にこの服と、いつも外に行く時に着ていたダウンコートを家に持って帰った。
着る訳でもないけど、ただクローゼットにかけているだけでなんだか安心していた。
忘れない。どれだけこの先私に幸せが訪れても、おばあちゃんのことだけは絶対に忘れたくない。
成人式だって、結婚式だって、これから先一緒に祝ってくれると思ってた。
おばあちゃんの誕生日も祝えると思ってた。
当たり前が当たり前じゃなくなる瞬間に初めて出会った私は困惑しか出来なかった。
どうしても会いたくなる。会えないとわかっているのに、そう思えば思うほど、私はおばあちゃんに会いたい。
そう思った夜だった。