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静かなエール

11月26日に放送されたNHK朝ドラ「エール」本編最終回を見た。内容は、1964年東京オリンピック開会式にて作曲家としての大仕事を終え、音楽業界から引退した主人公(古山裕一)が過ごしたその後....

家族や幼なじみと穏やかに過ごす裕一を、私は「ジョンさんもこんなふうに過ごせていたらいいな」と思って見ていた。物語は進み、東京から離れて生活する裕一のもとに作曲家を志望する大学生が訪れた。大学生から「先生(裕一)を尊敬している。音楽を続けてほしい」と頼まれて断る裕一。それでも....と懇願する大学生に対し、裕一は以下のように返した

.....ハッとした。私はこのセリフに、引退したジョンさんの姿を重ねた

ジョンさんが引退した理由に、尊敬するフレディさんとのお別れがあったことは間違いない。ただ、私が以前から気になっているのは、ジョンさんはフレディさんが亡くなる前からときどき引退を考えていて、フレディさんとのお別れが決定打となったのか。あるいはQueenを今後も続けたいと思っていたのにフレディさんとのお別れを迎えたため、引退を選んだのか。どちらだったのだろう。知りたいけれど、未だ沈黙を貫くジョンさんを思えば、この先も知ることはないだろう。ジョンさんが選んだ今を尊重してそっと見守ろう、詮索してはいけない。.....と言いつつ....知りたい....

そんなジレンマが常にある私に新鮮さをもたらしてくれたのが、上に載せたエールのセリフだった。新鮮だったと同時に、ジョンさんが引退した理由をわかったつもりになっていた自分にも気づいた

「わかったつもり」は厄介で、積み重なると「自分が知っていることがいちばん正しい。自分こそ正義」といった勘違いを生む。もしかしたら私も、自覚なしにそうなっていたかもしれない

...おっと。話を戻そう。たくさんの人に喜んでもらうための音楽を必死に作ってきたジョンさんが、ただの音楽ファンに戻って楽しみたいと思うのはごく自然なこと。引退した本当の理由は誰にもわからないけど、あのセリフのような視点もあっていいと思えた

以上、Queenとは関係なく見ていた朝ドラで、思いがけずジョンさんを思わせる場面を見つけた....というお話しでした

なんにせよ、ジョンさん愛好家は彼が過ごす今をただ見守るのみ。これも応援のひとつ、静かなるエールだ

余談になるが、最後に、エールで大人気だった藤堂先生による名言を。

「誰か一人を想って作った歌は、たくさんの人の心に刺さるんだよ」

そうか、Queenはいつも誰かを想って音楽を作っていたんだね

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