宗谷岬で年を越す
宗谷岬、そこは日本の最北端。この地で新年を迎える。
なんてロマンチックな事でしょう。
数年前から、特にライダーたちに人気の行事となっている、年越し宗谷岬。
以前から興味はあったのだがなかなか思い切れずにいた。
しかし今年、そのチャンスが巡ってきた。
今回を逃すと来年のことは誰にもわからない。
天気予報も年末年始は荒れるとは言っていない。
愛車の軽バンで真冬の車中泊!
ワクワクするではないか!!
よし!行こう!!
2023年12月30日
昨日から用意した道具、荷物を車に積んで、午前9時出発。
天候は曇り。降雪無し。
自分は道北地方在住なので、おおむね3時間程度で到着出来る見込みである。
12時30分 稚内市内に入る。
国道沿いの山岡家でラーメンをいただく。
その後買い忘れたものや食材などを買い込んだ。
15時頃、「ヤムワッカナイ温泉 港のゆ」に到着。
十分体を温めて17時少し前、宗谷岬に向けて発車。
17時30分 宗谷岬に到着!
噂通り、もうすでに駐車場の7割程度は埋まっている。
それでも最北端の記念碑に近い場所が空いていたので駐車する。
ここをキャンプ地とする!
夕食は、「相澤食糧百貨店」にて購入したお弁当をいただく。
愛車の軽バンは後部を真っ平にしてあり、尚且つ家庭用の布団を敷いてあるので自宅と変わらない。狭いようだが、身長173センチでも足を延ばして寝られる。家より落ち着く(笑)
湯たんぽのお湯を沸かし、防寒服上下、ネックウォーマー、ニット帽をかぶり、22時頃消灯する。
2023年12月31日
風で車が揺れている。
スライドドアを開けてみると雪が真横に、左から右に流れている。
結構な吹雪だ。
今日は一日この場所で、しかも車の中で過ごすことになる。
朝食はマカロニサラダを入れたホットサンドとコーヒーとコーンスープ。
食事のあとは特にすることがない。
唯一の娯楽であるラジオのスイッチを入れる。
地元のFM局、「FMわっぴ~」では懐かしい音楽が流れている。
持って行った本を読んだり、吹雪の中散歩したり、お土産物屋さんに行って自分へのご褒美を物色したり。
こんなにゆっくりした大みそかは初めてだ。
吹雪は一向に止む気配がない。
そんな中でもバイク、はたまた自転車に乗った人たちが続々到着する。
車で来る人達もかなり多くなってきた。
駐車場所がだんだん減ってきているが、それぞれ工夫して邪魔にならない場所を選んで停めている。
何もしないでもお腹は空くものだ。
しかし夜はごちそうなので、昼食は軽く焼きそば弁当だけ頂く。
それにしても寒い。
真冬なので当然なのだが、暖房がないとこうも冷えるものなのか。
鉄製の湯たんぽを持ってきている。
これは直接火にかけられるので使い勝手がいい。
もうもうと湯気が出るまで湯を沸かし、やけどしないように湯たんぽカバーに入れて抱きしめる。
あぁ・・・暖かい。
外はかなり風が強く、時折車も揺れる。そんな中、車で一人寒さに震え、じっと耐え忍んでいると、自分は一体何をしているのだろうか?という気持ちになってくる。
あまつさえ、後悔の気持ちも多少芽生えてきた。
でも楽しいのだ。大みそかと元日という、1年の内でもかなり重要な日に、こんな冒険みたいなことをしている、そのこと全てが楽しいのだ。
さて、2023年最終日の太陽も西に沈んだ。
そろそろ夕食の支度をしよう。
今夜は奮発してすき焼きである。
ご飯は0.5合炊いた。
肉は黒毛和牛250g、他に豆腐とネギ、マイタケも入れた。
凄くおいしい。冷えた体に染みわたる。
最後、余った汁にそばを入れて年越しそばとする。
ミスマッチのようだが、意外と合う。うまい!
満腹になったら紅白歌合戦を聴く。
見るのではなく聴く。
テレビがないのでNHKラジオにて楽しむ。
普段早起きなので寝るのも早い。
21時頃には限界がやってきた。
年越しのカウントダウンには参加したいので、ひとまず寝ることにする。
今日は電気毛布のスイッチを入れたので布団の中はホカホカである。
23時00分 目覚ましにより一時的に起床。
23時45分 外に出るとものすごい人が最北端の碑周辺に集まっている。
23時59分 カウントダウンが始まった!
24時00分 花火が上がり新年を迎えた。あちこちであけましておめでとうの声が上がる。なんか感動的。今年は日本の最北端で新年を迎えられた!よくやった自分!
さて、混む前に初もうでと行きますか。
すぐそばに宗谷岬神社があり、一年の無病息災を祈念した。お守りも購入した。この神社は普段開いていないのでお守りは貴重だ。
さて、早朝の花火、記念キーホルダー配布に備えて一眠りしますか。
25時30分ころ就寝
2024年1月1日
午前4時起床。外を見ると5人ほど並んでいる。
毎年稚内市では「初日の出 in てっぺん」というイベントを催しており、
花火打ち上げ、市長の挨拶、記念キーホルダー配布、などを行っている。このキーホルダーは干支のデザインで日付も入っており、記念に是非欲しいのである。しかも1000個限定という事なので早めに並びたいところだ。
1000個もあれば余裕で貰えるよね?と思うでしょう。しかし毎年必ずなくなるそうである。余ることがない、と言う事は遅く並べばもらえない可能性がある。
万全を期して、4時30分には列に並んだ。
この時点で大体30人くらい並んでいた。
しかしここからがこの旅最大の試練となった。
雪は少し弱まったが、海からの風がとにかく強くてモーレツに寒いのである。首や耳などは完全防備で冷たくはないのだが、手と足が、だんだんと冷たくなり足踏みをしていないと耐えられないくらいになってきた。
おおよそ2時間程度並んだ6時15分、花火が打ちあがった。
極寒の元旦に見る花火。ようやくこの時間になった!
真冬に見る花火は夏のそれとはまた違い、ひと際きれいだった。
その後の稚内市長の挨拶。毎年元日の早朝から本当にお疲れ様です。
6時25分頃、ようやく念願の記念キーホルダー配布の時間。
これでやっと車の中に戻れる!暖かくないけど!
受け取った特は本当に心の底からありがとうと感謝したよ。
車内に戻りまずエンジンをかけて暖房を入れる。
30分程度休んでから丘の上の初日の出見学スポットへ移動。
曇り空であいにく初日の出はみられなかったけど、十分満足した。
朝食は昨日余ったそばを食べることにする。
年明け蕎麦である。
あれほど寒さに耐え、来た事にやや後悔もしたこのイベントだったが、いざ帰ろうとすると何とも名残惜しい。
駐車場周辺をもう一度歩き回って、元日という特別な日に、この特別な場所にいると言う現実を噛みしめてから帰ろう。
写真も一杯撮って思い出もたくさんできた。
55歳の中年オヤジではあるが、なんかまた一つ成長できたような気がした。
帰りにまた温泉に入って冷えた体を温めよう。
9時30分 聖地宗谷岬を後にする。
追記:そしてこの日の夕方、石川県能登半島におきまして大きな地震が発生致しました。その後、先程まで滞在していた宗谷岬にも津波注意報が発表されました。幸い稚内市、及び宗谷岬に津波は到達しなかったようですが、この地震によりお亡くなりになられた方には心よりご冥福をお祈りするとともに、被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。