好きな煙草10選

さて、これはいつも書いているような作品ではなく、僕の好きな煙草についてひたすら語るだけの文章となります。喫煙者となって早数年、これから先もまだ吸うねん、という下らない冗談を言ったところで、早速まいりましょう。

1.Peace(50)缶入り
通称缶ピースと呼ばれ長年愛されてきた、この煙草。上質なバージニアリーフを、気密性の高い缶に50本も閉じ込めた、最高の逸品。個人的に日本煙草の王者と言っても過言ではありません。ニコチンタール量も怪物級。学生の頃からもう10缶以上開けてきましたが、飽きることがなく、晴れた日にも雨の日にも、缶を開ければいつだって自分を芳醇な一服の時空へと連れていってくれます。ノンフィルターゆえに味は強烈で、喫煙の技術が試されます。香りはピースシリーズの王道をゆく、甘いバニラの香り。もはや副流煙でさえも並みの煙草の香りを超えます。死ぬ前に一本だけ吸えるとしたら、この煙草をおいて他にはないでしょう。

2.The Peace
二連でピースかよ、と思った読者諸君、ピースシリーズにハズレはないです。やはり日本における一軍の煙草群であることに間違いはないと思います。The Peaceは、日本酒における大吟醸をコンセプトに作られ、故にニコチンタール量の強さもありながら、フルーティーな甘味を味わえます。他の煙草にはない、独特のメロンのような香りと甘味が鼻に抜け、一口吸えば目の前に楽園が広がります。缶ピースの丸缶と違い、平らな四角缶で、作りも丁寧で洒落ています。缶を開けた瞬間、間違えてフルーツの詰め合わせでも買ってしまったと錯覚するほど、甘い香りが広がります。見てよし、香りよし、味よしの均整のとれたヴィーナスのような煙草です。贈り物にも適しています。

3.セブンスター
日本において、これほど長く広く愛された煙草はないのではないか、と思えるほど、煙草好きは皆吸っている煙草です。田舎のおじいちゃんから都会の若者まで、分け隔てなく吸われています。ちなみにセブンスターといえば、ボックスではなくソフトパッケージの印象が強いです。仕事でうまく行かなかった日、恋人にフラレた日、残り数本のセブンスターのソフトボックスをくしゃくしゃに握って、天を仰ぎながらそっと火をつける、そんな煙草です。セブンスターといえばヤンキーというようなイメージがありますが、煙草としての質は高く、チャコールフィルターによる独自の吸い心地、風味も良く味わい深い、どちらかといえば渋い煙草です。大人になりたい人におすすめです。

4.ハイライト・メンソール
僕はあまりメンソールタイプの煙草が好きではないですが、実は常喫しているのはこの煙草です。吸いやすく、爽やかなメンソールが鼻に抜けます。近年流行りの電子タバコのような強いメンソールではなく、優しい紙巻ならではのメンソール。この煙草はとにかく青春の味がします。パッケージも明るくシンプルな緑。若者の、若者のための煙草という感じです。バイト終わりの一服。仲間と語り合うときの一服。恋人とデートのなかでの一服。草原と晴れ渡る青空のような煙草ですね。それほど強くなく、値段も安めのため、とりあえず普段吸う煙草が決まらない人におすすめです。

5.トレジャラー・ブラック
さて、ここからは海外勢を紹介しましょう。1つ目は、トレジャラー・ブラック。トレジャラーといえば、英国紳士を思わせる黒字に金文字のパッケージ。そしてお値段も驚異の1箱20本入りで3000円。日本が誇る高級煙草であるThe Peaceが1箱1000円であることを思うと、やはり英国、格が違います。本当かどうか定かではありませんが、一応紙巻では世界一高価な煙草とのことです。イギリスはチャンセラー社のトレジャラーブランドの逸品で、意外と最近に出来た煙草です。最高級バージニアリーフを使用し、煙草まで金のペーパーで巻かれています。雑味がなく、豊かな甘味があります。まさに欧州の高級料理と言ったところ。イギリスは料理の評判はあまり良くないらしいですが、煙草には傑作がありました。誕生日など、特別な日の贈り物におすすめです。

6.ジタン・カポラル
イギリスときたら、次はフランス。ジタンは100年以上の歴史を持つ銘柄です。残念ながら、昨年末でメーカー生産終了となりました。今も探せばどこかのお店にはあるかもしれませんが、在庫を売りつくし次第終了とのことなので、吸いたい人はお早めに。ジタン・カポラルは、今回紹介する煙草のなかでも一番癖が強いと思います。所謂黒煙草と呼ばれるジャンルで、他の煙草と違い堆積発酵という独自の製法で作られています。香りがまず他の煙草とは全く違い、まるで肥やしや魚介類の出汁のような臭みのある感じです。ゆえに味の深みは他を凌ぐ一級品です。ここまで濃厚な煙草はジタンを除いて他にはないでしょうね。生産終了とのことで、今やもう幻の煙草になりつつありますが、ジタンを吸えたことは僕の人生のなかで非常に良い経験となっています。ジタンだけは、長らく吸っていなくても香りや味が鮮明に思い出せるほど強烈です。脳のシワに刻まれるほどの喫煙体験、まるで薬物ですね。まあ、薬物には違いないですが。吸えそうな方は今からでも頑張って手に入れてみてください。

7.ジャルム・スーパー
ここからは、アジア勢の煙草の紹介となります。まずは、ジャルム・スーパー。インドネシアの煙草です。同じインドネシア煙草では、グダン・ガラムの方が有名かもしれませんが、僕はジャルムをおすすめします。理由としては、ジャルムの方が、ガラムよりもさらに洗練されたマイルドさがあると感じるからです。ジャルム、ガラム等のインドネシア煙草に特徴的なのは、もちろん様々な果実やスパイスと、フィルターの吸い口部分の甘い蜜ですが、特に丁子(クローブ)の豊潤な香りが楽しめます。クローブといえばスープ料理などでしか馴染みがないですが、この煙草はクローブがそのまま巻かれているため、吸っていると実の水分が弾け、パチパチと音がします。もはやクローブを味わうための煙草です。甘くエキゾチックな味わいのため、一口吸うとそこはもう南国です。あまりに香りが特徴的なので、近くにこの煙草を吸ってる人がいれば一瞬でわかります。なので喫煙所等では気を付けて吸いましょう。苦手な方もいるかもしれないので。アジアを旅行した気分になりたい方におすすめです。

8.ボヘーム・シガー・モヒート
さて、お次は韓国の煙草。ボヘームシリーズから、シガー・モヒートです。パッケージにある通り、煙草の名産地であるキューバ煙草を使用しています。キューバといえば葉巻ですが、このボヘームシリーズもシガー葉を入れているため、煙草としての味わいには安定感があります。どっしり構えた、重みのある煙草です。ですが吸いやすく、特にこのモヒートフレーバーがおすすめです。キューバカクテルの代名詞モヒートを再現した味わいで、僕の知る限りモヒート味の煙草はこのボヘームしかないです。なかなか言葉では伝わりづらいので、気になる人はぜひ吸ってみてください。結構手に入りやすい煙草ですので、その辺に売ってます。良い香りですが、割りと飽きがくるので、お酒など飲みながらの方わが良いかもしれません。ちなみに僕はこの煙草をずっとキューバの煙草だと思ってましたが、メーカーは韓国にあります。意外と東アジアにも良質な煙草が多いですね。

9中南海
最後の2銘柄は、どちらも中国の煙草です。世界史を語るときに、中国という大国を外せないように、煙草においても中国は必ず語らねばなりません。1つ目は中南海。もうネーミングからしてイカしてます。中南海とは、ご存じの通り日本でいう霞が関のような場所ですね。かつては紫禁城の離宮があった場所で、現在は中国政府の中枢機関がある場所です。この煙草の名前の由来もそこからきていて、元々政府要人用の煙草としての作られました。特徴としては、甘草など漢方が含まれているという点。いかにも中国らしいです。体に良い煙草ということですね。もちろん煙草なので良いわけがありませんが。僕はインフルエンザなどで喉がやられたときに吸います。吸わん方が良いですがね。漢方が含まれているので、ジャルムみたいな強い香りがすると思いきや、香りは結構繊細です。とても優しい味で、人によっては薄いなと感じるかもしれません。しかし、やはり他の煙草とは違う独特の風味があるため、おすすめです。一度吸ってみると、意外と癖になるかもしれません。

10.中華(BOX)
トリを飾るのは、中華です。国の名を冠している煙草とは、世界を探しても中々ないでしょうね。パッケージも鮮やかな赤に、金の差し色と天安門が映えます。まさに、中華。堂々たる雰囲気を醸しています。中南海と同じ上海烟草集团が製造していて、中国の高級煙草です。煙草の一本一本にまで丁寧な「中華」の刻印があり、もはや吸うまでもなく一流の煙草の風体をしています。香りや味わいは、中国4000年の歴史を感じる、まるで紫禁城の中のような、華やかさがあります。甘く、フルーツのような風味があり、Peaceにも近いものを感じます。紫煙も心なしか美しく感じるのは僕だけでしょうか。目を閉じれば、そこには宮殿のなかで、果てなく並ぶ満漢全席や、派手に着飾った踊り子達が浮かぶようです。間違いなく、吸っておいて損はない煙草でしょう。近いようで遠い、中国と言う国に想いを馳せます。

さて、以上でおすすめの煙草の紹介は終了です。僕は紙巻も葉巻も煙管も電子も吸ったことがありますが、今のところ、上記10選は胸を張っておすすめできます。もちろん他にも色々と良い煙草はあります。いつか誰かとお話ししたいですね。

書いていたら結構長くなってしまいましたが、お付き合いありがとうございました。

厩橋(2024.9.13)

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