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現役復旧エンジニアが語る!技術力のあるデータ復旧業者の見極め方

こんにちは、デジタルデータリカバリーです。
データ復旧やハードウェアについての情報を掲載しているこのnote。

今回は、当社のデータ復旧エンジニア37名を束ねるリーダーの井瀧が、現役エンジニア目線で、普段なかなか見えづらいデータ復旧サービスの裏側や、復旧技術力の見極め方について語ってくれました。



井瀧「よろしくお願いします!」


10年で9,000件以上のデータ復旧を手掛けた熟練エンジニア


聞き手:井瀧さんは、デジタルデータリカバリーのエンジニアをまとめるリーダーとして、数々の復旧を手掛けてきましたよね。これまでどれくらいの数の復旧を行ってきたのですか?


井瀧さん(以下、井瀧):約10年データ復旧に携わって来て、これまでの累計復旧件数は、大体9,000件になると思います。


聞き手:まさにデータ復旧のベテランですね。10年間の中で、どのような経験を積んできたのですか?

井瀧:デジタルデータリカバリーのエンジニアは大きく分けて4つのチームに分かれているのですが、わたしはそのうち3つを経験しました。


井瀧:機器の解体を行う物流チーム、HDDの部品交換を行う物理チームを経て、バイナリの解析・ファイルシステム修復に携わる論理チームを経験してきました。
現在は主にRAID・サーバーの復旧をメインで担当しており、こちらは500件以上対応しています。


聞き手:10年間の中でご依頼いただくデータ復旧の内容に変化はありますか?

井瀧:ありますね。昔はオンプレのサーバーが多かったですが、やはり最近はデータセンターが増えているので、大容量サーバーのデータ復旧依頼が増えました。あとはHDDだけでなく、SSDやメモリ系の機器も増えています。

聞き手:データの保存されるデバイスやデータの内容が変化すると、必要な設備や技術も変わりますよね。

井瀧:そうですね。世の中に新しい機器やデータが生み出されるので、進化にあわせて復旧技術もブラッシュアップが必要です。
わたしの専門領域でいうと、大容量サーバーのご依頼が増えていますし、それにあわせて復旧スピードをあげるために設備を増やしたり、新しいファイルシステムに対応する技術を開発してきました。
SSDやUSBメモリ、SDカード、スマートフォン、最近はドローンやドラレコなど、機器の種類はどんどん増えています。当社では、こういったメモリ系の機器は、メモリ専門チームが復旧しています。

聞き手:世の中の変化に対応し続けることはとても大変そうですが、何がそれを可能にしてきたのですか?

井瀧:技術投資を継続的に行っていたり、世界中の有識者とコネクションがあるのはもちろんですが、根幹を支えているのはエンジニアの探求心だと思います。
「これって復旧できるんじゃないの?」と自ら技術情報を集めに行き、研究するエンジニアが何名もいて、活躍しています。こうした姿勢が、業界全体で「復旧は不可能だ」「復旧できるわけがない」とされてきた重度障害や新しい機器のデータも復旧可能にしてきました



10年間のデジタルデータリカバリーの技術革新


聞き手:10年前と比較して、デジタルデータリカバリーは技術的にどう変わりましたか?


井瀧:技術力が格段に上がり、対応できる記憶媒体の種類が増えました。現在毎日復旧しているUSBメモリやSDカードは、10年前は積極的に復旧対応していませんでした。当時はデータ復旧といえばHDDが主流で、それ以外の機器はそこまで多くなかったんです。

聞き手:技術力以外に変化したポイントはありますか?


井瀧:復旧エンジニアの人数が圧倒的に増えました。現在は37名が在籍しています。

聞き手:データ復旧業者では、どの会社でも同じくらいのエンジニアが在籍しているものですか?

井瀧:デジタルデータリカバリーのエンジニアの在籍人数は、国内のデータ復旧会社の中でダントツに多いと思われます。設備の規模も全然違いますね。実は、ネット検索で上位に挙がってくるような会社でも、大体2~3人程のエンジニアしか在籍していないことがほとんどだそうです。

聞き手:データ復旧は業者の技術レベルが復旧率を大きく左右しますよね。こうしたトップエンジニアの層が厚いことも、デジタルデータリカバリーが国内売上No.1の支持をいただいている理由の一つなのかもしれませんね。



デジタルデータリカバリーの技術力をささえる4つのポイント


聞き手:データ復旧業者を見極める際の最重要ポイントとして「技術力」をしっかり見極めることがあると思います。エンジニア目線で考えた際に、デジタルデータリカバリーの技術的な強みには、何があげられますか?


井瀧:デジタルデータリカバリーの技術的な強みは、主に4つあります。

  • ファームウェアの解析・修復技術

  • 傷のついたHDD(スクラッチ障害)からの復旧技術

  • 機器・障害ごとの専門チーム制

  • 他社で復旧できないデータも復旧する総合力

※ファームウェア:機器を動かすプログラムのこと


ファームウェアの解析・修復技術

1つ目のファームウェア修復技術に関しては、データ復旧率の根幹を支える非常に重要な強みです。

データ復旧は壊れた部品やファイルシステムを直すだけ、と思われてしまいがちなのですが、機器を動かすプログラムであるファームウェアの修復も必要なんですね。
部品を交換してもファームウェアを修復できないと機器を動かせないのでデータを取り出せないわけです。
機器の種類や年代、モデルごとに、ファームウェアの知見と解析技術をどれだけ持っているかで、データ復旧業者の復旧率は大きく変わります。

これまで、わたしたちはファームウェアの解析技術に関しては世界中からあらゆる情報を集めてきました。
2015年頃にUSBメモリやSDカードなどメモリ系の対応も開始し、HDD以外のファームウェアも解析を行っています。
コロナウイルス拡大前には、ロシア・中国などにいる世界的にもトップレベルのエンジニアを日本へ招いたり、さらにこちらから先方へ出向いて技術の導入も進めてきました。

ファームウェア解析で復旧できた他社不可HDDの事例


傷のついたHDD(スクラッチ障害)からの復旧技術


2つ目の傷のついたHDD(スクラッチ障害)からの復旧技術に関しては、「どうにかして復旧できないか?」と考える当社のエンジニアの特色がよく出ていると思います。

まずほとんどの他社さんではスクラッチ(HDDのデータを記憶する部品に傷がついた状態)を見つけた段階で復旧不可と診断を出すか、通常の部品交換等を行ってデータ読み出しを試みるだけです。
ですがデジタルデータリカバリーでは、スクラッチ(傷)のある部分を加工して、なおかつHDDの部品交換とファームウェアを修復を繰り返すことで、傷を避けながら残ったHDDに残されたデータを読み出しに行きます。
作業や管理の工数を最大限増やして、「取れるところからとことん取る」わけです。結果として多くのデータを復旧することができます。

このスクラッチ加工の技術は何年もかけて開発を続けてきて、先日東京都から経営革新賞をいただきました。

<参考記事>


機器・障害ごとの専門チーム制

井瀧:3つ目の専門チーム制に関しては、いくつかの工程に分かれている復旧作業のうち、それぞれの工程に特化させるように人員を配置し専門分野に注力してもらうようにしています。

聞き手:社内の層の厚みが強みになるわけですね。ただ、社内だけでは足りない技術も多いと思います。復旧技術のノウハウはどのように溜めてきたのですか?

井瀧:海外を飛び回り、情報収集をしてノウハウを吸収してきました。また現在でも、技術力に強みのあるロシア・中国をはじめとする業界コミュニティとの関係性を維持しており、週1~2回オンラインミーティングでコミュニケーションしています。

聞き手:デジタルデータリカバリーにはロシアや中国、韓国、ミャンマー出身のエンジニアも複数名在籍しているのも、情報収集の助けになっていますね。


他社で復旧できないデータも復旧する総合力


井瀧:4つ目の他社復旧不可事例について、これまでに他社さんで復旧できなかった機器の相談が3,000件以上あります。その中から当社で再復旧をさせていただき多数復旧に成功しています。

当社のエンジニアは、成功確率が低くて他社さんが復旧失敗となったり、そもそも断るような重度障害であっても、一つでも多くのデータを取り出すために最善を尽くそうと復旧にあたっています。そのための技術開発も日々行っています。
もちろんどんな機器でも100%のデータが復旧できるのがベストですが、エンジニアとしては診断段階で100%復旧できる可能性のある症状を復旧するのはもちろん、いかに高難度の復旧に取り組んで1つでも多くのデータを取り出せるかが勝負だと思っています。

聞き手:定額制を当たり前だとする業者さんもありますが、技術力の面でいうといかがでしょうか。

井瀧:技術の面でいうと、慎重に考えたほうがいいです。
一度このような業者さんに復旧に失敗されてしまうと、重度障害の場合は特に作業工数がかかるので、当社に持ち込んでいただいた際の費用も膨らんでしまいます。できるだけ最初から当社に持ってきていただけたら…と思うことも多いです。
結果として、他社さんで復旧不可能だったデータが当社でたくさん復旧成功しているわけで、お客様からお礼の手紙やメッセージをいただいたりすると、本当によかったなと思います。
デジタルデータリカバリーで断ってしまえば、お客様は本当に頼める業者がいなくなってしまうと思いますし、そのせいでデータが失われたことによる損失は計り知れません。
データ復旧の総合病院として全力で対応にあたりますので、どういう状態でもまずは諦めずに相談していただきたいですし、なるべく最初の段階で診断を受けていただけたらと思います。


他社復旧不可をスピード復旧する事例も多数


初めてデータ復旧業者を選ぶ方に伝えたいこと


聞き手:10年間最前線で復旧に携わるエンジニアとしてぜひアドバイスをお願いします。データ復旧業者選びで失敗しないポイントはありますか?

井瀧:エンジニア観点でお伝えすると、業者選びで失敗しないポイントは3つですね。

  • 初期診断段階・復旧作業のスピードが速いこと(診断2日以内)

  • ツール頼りではなく、自力での解析能力が高いエンジニアが在籍していること

  • 復旧ラボが見学可能で、自社内に設備をしっかり持っていること(外注していない)

初期診断段階・復旧作業のスピードが速い(診断2日以内)


井瀧:1つ目の初期診断に関して、実は、定額制や完全成果報酬制の業者では、初期診断の時点で復旧作業を試みているケースがほとんどです。

そうすると、お客様が復旧を断ったり、依頼後に復旧失敗されてしまった場合、機器が悪化した状態で返却される確率が高くなります。

本来、初期診断であれば数十分もあれば終わります。どんなに時間がかかっても1~2日でしょうか。初期診断に時間がかかりすぎている場合、何らかの処置が施されていたり、外注に出されている可能性があります。
この点は費用等に関係なく、スピード感をもって対応してくれる業者のほうが真摯だと思います。


ツール頼りではなく、自力での解析能力が高いエンジニアが在籍していること


井瀧:2つ目に関しては、ツールの使い方を熟知して活用できているか、ツールで復旧できない場合に自分の手で復旧する技術力を持ち合わせているか否かが見極めどころになります。
どのデータ復旧業者も、業者が扱うことのできる専用のツールを持っているのですが、結局はエンジニアの熟練度によって復旧率が変わります。実は使い方をわかっていない業者も結構多いです。

聞き手:同じツールを導入していても、エンジニアの力量次第で、復旧できるかどうかが大きく変わるわけですね。

井瀧:ツールが使用できない場合に、自分の手で解析して復旧まで辿り着けるか否かも大事です。ツールでは登録されている範囲内の事しかできないという限界があるものですので。ツール上の設定をカスタマイズ出来る技術と、バイナリー上の値を手作業で変換する技術が必要になってきます。


復旧ラボが見学可能で、自社内に設備をしっかり持っていること(外注していない)


井瀧:3つ目に関しては、復旧ラボが見学できる業者を選んでください、ということです。自分のデータを預ける上で、セキュリティにもかかわる大事なポイントです。
海外の復旧業者へ外注している業者も珍しくありません。データ復旧作業に時間がかかるのはもちろん、データ管理上のリスクもあります。きちんと自社内にエンジニアがいて、復旧しているか、勝手に他所へ外注されていないかの見極め方は、社内に復旧ラボがあるかどうかです。


デジタルデータリカバリー データ復旧ラボの様子

井瀧:残念ですが、どれだけHP上で評判を謳っていても、蓋を開けてみると社内にほとんど設備がないケースもあります。エンジニアと設備は誤魔化しようがききません。見学して自分の目で確かめられる業者か、もしくは社内の様子を積極的に公開している透明性の高い業者を選んだ方がいいですね。

聞き手:たしかに、希望すれば訪問してラボを見学できるような会社はオープンで、信頼がおけますね。

<参考>


データ復旧業者と、メーカー、修理業者、保守会社の違い


聞き手:データ復旧業者に頼むかどうか悩む人は多いと思います。
例えば、パソコンが起動しないなどの状況で、修理業者とデータ復旧業者のどちらに依頼すればいいのか悩む人が多いと思うのですが、両者の違いは何ですか?

井瀧:修理業者との決定的な違いは、機器自体の修理かデータを取り戻すかという点です。修理業者では機器自体を使用できる状態にすることを目的に作業するため、データが入った記憶媒体は交換されてしまうか、初期化されてしまうことが多いです。それも、事前に言われる前に…。ですから、修理が終わったら保存していたデータは手元から無くなってしまいます。


聞き手:初期化やフォーマットという言葉自体を理解していない方が多く、データは無くならないと思ってしまうようなので気を付ける必要がありますね。

メーカーサポートや保守会社などとの違いは何でしょうか?


井瀧:メーカーサポートも、データ復旧専門ではないので、基本的に修理会社と同じ扱いになります。保守会社では、基本的にメーカーから提供されているマニュアルを基に作業を試みるだけなので、それ以上の復旧作業が行えません。マニュアルを試してダメだった時は、初期化するしかないという判断をします。初期化はデータが完全に消失する行為ですので、データを復旧したいのであれば解決になりません。


市販の復旧ソフトはどこまで復旧できる?


聞き手:市販の復旧ソフトもありますが、どのような状況だと復旧できるものなのですか?

井瀧:ソフトは、「データを削除してしまった」「簡易的なファイルシステム異常」という状況の場合には使用できます。ですが、ソフトによってファイルの認識の仕方が異なるので、復旧できないことがあります。

聞き手:復旧できないのは、具体的にどのような状況なのですか?

井瀧:例えば、ファイルにはヘッダー情報というものが存在しますが、そのソフトに登録されている情報(16進数の値)が異なる場合などです。また、ファイルの種類によっては分散されている可能性があり、分割されている情報まで復元することが、ソフトではできない場合があります。

聞き手:ソフトを使用してもデータを復旧できないことがあるのですね。

井瀧:そうですね。ソフトを使用しても、先ほど述べたファイルの認識の仕方の違いから、復元先を間違う可能性もあります。そうなると、データを上書きしてしまうことになり、復旧できなくなるリスクが高まります。少しでもソフトの使用が不安な場合には、データ復旧業者に頼んだ方が確実です。


聞き手:ソフトが使用できなくて、データ復旧を頼むとしたらどのような業者を選ぶべきですか?

井瀧:ソフトでは対応できない部分にも対応できる技術力やノウハウを持つ業者に頼みましょう。実際のところ、ほとんどの復旧業者ではソフトを使用した復旧作業を中心に行っています。ですが、ソフトで対応できない場合、復旧不可と判断し、作業せずにお客様に返却するか、作業しても復旧できない業者が多いのが現実です。

聞き手:どんなに性能の良いソフトを持っていても、当然、ソフトでは対応できないケースも多々あるので、そんな場合にも対応できるかどうかが見極めどころになりますね。

これからの展望は?


聞き手:お客様に満足いただけるデータ復旧サービスを提供するために、技術力と組織体制の両方のアプローチをしてきたとお話いただきました。これから技術面で注力していきたいポイントは何ですか?

井瀧:短期的には、増加するNANDメモリに対する物理的な復旧技術の向上。長期的には、新たなファイルシステムの復旧率アップとスピード改善です。
将来的に、GoogleやAmazonなどの大手の独自ファイルシステムに限らず、各企業が独自にファイルシステム構築可能な時代になると考えているんです。その時に対応できるように、長期的に研究し続ける必要があります。

聞き手:テクノロジーの進化を予測して、対応できるように研究を続けるのですね。

井瀧:時代の変化に対応できる力は、お客様に喜んでいただけるよう高い復旧率でサービスを提供するためにも不可欠です。あとは、暗号化に対する研究も行っていきたいですね。なんでも暗号化される時代になったので、対応する技術力の向上が必要です。

聞き手:エンジニアリーダーとして、組織面で注力したいポイントはありますか?

井瀧:技術力の向上でも触れましたが、NANDメモリとIoTに対応できる人材を増やしていくこと。あとは、エンジニアも新卒採用を行っているので、新卒から入ってきたような人も、基本的な復旧だけでなく、研究開発や、もっと上のレベルの役割を果たせるようになる教育、仕組づくりの体制構築に注力していきたいです。

聞き手:今後の技術力の進歩や人の活躍が楽しみですね。ありがとうございました!


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