コロッケという物体

 コロッケとは不思議な物体、と思う。おかずのような顔をしているが、その実ただの芋の塊である。芋を潰して、パン粉をつけて、油で揚げる。そのパン粉だって、穀物だ。コロッケがご飯のおかずになるかならないかの論争もたまに聞くが、私はもちろん合わないと思う。丸二日何も食べられなくて、唯一コロッケとご飯だけは提供される、そんなシチュエーションでない限りは私はコロッケでご飯を食べることはない。クリームコロッケも同様だ。しかしあのサクサクはいい。これは揚げ物すべてに言えるので、特別コロッケを褒めている訳ではない。揚げ物すべてを褒めている。しかし、世の中にはコロッケが溢れている。コロッケ以外にもうまい揚げ物はたくさんあれど、スーパーでは必ず芋のコロッケの惣菜が置いてある。誰がいつどのようにして食べるのかが気になっている。ご飯のおかずにする場合。直接ご飯のおかずにはしないが、昼食夕食の献立のひとつとして取り入れる場合。ただその場合、コロッケとは別にご飯やパンを食べるのでしょう?穀物の割合が多すぎやしませんか?はたまたおやつにする場合。これは私は肯ける。コンビニのチキンのような、小腹を満たすために食べる。分かる。が、それは果たしてコロッケでないといけなかったのだろうか?おやつの選択肢は今の時代限りなく広がっている。その選択肢の中から、おかずの顔をしたコロッケを選ぶというのは、どういう状況なのだろう。気分、そう言われてしまうとそうだ。しかし、コロッケを食べたい気分とは?それ、フライドポテトじゃダメですか。なぜコロッケに行き着いたのか。私はスーパーやデパ地下に数多く並ぶコロッケを眺めいつも首をかしげる。どの店でも奴らは売り場の結構な面積を与えられているからだ。コロッケ。わからない。まったくコロッケという物体とは何なのだ。

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