ひとりぼっちじゃない 感想とか考察とかその③

鏡とドッペルゲンガー
・冒頭のシーンで鏡に映る自分におでこをくっ付けていた。その後エレベーターに乗り込むシーンでは、ススメの背中越しに少し離れて鏡に写っていた。そして骨折した時の母親とのシーンでは、ススメの姿は隠れて見えずショップの窓越しにススメの立ち去る姿が映っていた。
鏡に映るもう1人のススメは、最初は本体とひとつだったけど、母親との心の距離を感じ、宮子への思いが募り不自由な足への焦りもあり、本体から離れて宮子の元へ向かっていったんじゃないかと思った。
鏡のシーンからススメの患者さんが見たというドッペルゲンガーのススメに繋がるのかもしれない、鏡に映る自分からドッペルゲンガーに繋がるのかな~すごいなあ本当に面白い。
もしかしたら宮子の部屋の鏡に映った謎の男も、宮子の部屋を彷徨うドッペルゲンガーだったりするのかもしれない。
そういえば自分のドッペルゲンガーに出会うと死ぬという都市伝説があるけど、宮子の部屋で死んだ男は自分のドッペルゲンガーに出会った可能性もないだろうか(ホラーみ出てきた)

・蓉子とススメ
蓉子と交わるシーンは個人的に、殴り合いのケンカのようなプロレスのようなものじゃないかという気がしてきた。宮子と蓉子に苛立って蓉子の部屋に乗り込んで喧嘩をふっかけて、蓉子が受けて立ったのかもしれない、蓉子はススメの本音を引っ張り出して、ススメが少し変わるきっかけを作ったある意味特別な存在だったと思う。
そういえば、宮子は白いワンピース、横に立っていた蓉子は黄色と赤の服を着ていて、なんとなく内蔵を食われたキリンとグルメ家たちのイメージがした。

・宮子とススメ
宮子が車椅子を押すのは、弱っている相手に尽くしたいという願望で、そうする事で宮子の欲求が満たせるのなら、ススメと蓉子は宮子に身体を差し出すキリンだったのかもしれない。
劇を観た時ススメが腹を立てていたのは、宮子と劇団員の間に入り込めない物を感じて置いてけぼり感を食らったからというのもあるんじゃないだろうか、それを宮子と蓉子の間にも感じて、蓉子の部屋に殴り込んだのではないだろうか。

そういえば、ゼラニウムはオランダから長崎に輸入されてきたらしい。これもススメが長崎に住むと決めた事と関係あるのかもしれない。
宮子がススメの腕に描いたのは多分ジャボチカバでススメが描き直したのはヤモリ。ジャボチカバには神秘的という意味合いがあるらしく、宮子はススメを理解してくれていると言っていたけど、宮子はススメの事を掴めていなかったんじゃないかなと思ってなんだか切なくなった。

エンディングの美しい映像が凄く印象に残っています。ペットを飼うと精神が安定するというので、宮子も穏やかに過ごしているといいなと思うラストでした。

ひとつひとつのシーンを細かく思い出して考えたり整理したり話したり調べたり浸ったり、映画を観る楽しさがひとつ広がりました。
次は何も考えずフラットに見てみようかな。



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