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イヤホン外せない病患者へ、イヤホン外せない病患者が告ぐ。レジなどで店員さんに向かい合った時は、死んでもいいからイヤホンを外せ

今をときめくYOASOBIの新曲、素晴らしい。

軽やかだけど甘く、ポップなのに切ない。ボーカル・幾田りらさんの歌声は、こういう雰囲気の曲によく馴染む。音楽的な事はよく分からないけど、Ayaseさんの曲はどこか懐かしいのに、絶対に新しい何かを感じさせてくれて面白い。

「ラブレター」は早速、僕のプレイリスト行きとなった。


僕は人の音楽遍歴を聞くのが好きで、自分がそのアーティストを知らずとも、その人がどういう音楽との関わり方をしているのか、「なんとなく」想像するだけで楽しくなってしまう。意外とそんな人、多いのではないかしら。

そんな訳だから、今日は僕の音楽遍歴を語らせてほしい。


僕が最初に「音楽」に興味を持ったのは、小学生の頃だった。

当時は友達が音楽の話で盛り上がっているのに参加したくて、話題に出てくる曲を色々聴いている感じだった。

正直、自分がどんな音楽を聴いていたか細かく覚えてないのだけれど、平井堅ケミストリー宇多田ヒカルなどがよく話題に上がっていたような気がする。

記憶に残っていないという事は、そこまで当時の僕の琴線には触れなかったのだろう。


そんな僕にとって音楽の原体験は、当時八枚目くらいのシングルを出したSOUL’d OUTだった。祖母が「脳の若作り」と称して車で流していたのを僕が気に入り、アルバムを借りたのだ。

正直、なぜ最初にどっぷりハマったアーティストがSOUL’d OUT、略してSOなのか今でもよく分からない。多分、アンダーグラウンドな雰囲気に憧れていたものの、ケーダブだとか般若だとか、その辺りのDOPEな世界観が当時はまだよく分からなかったので、ヒップホップグループとしては非常にメロディアスで、誰が聴いても「スゴい」と感じる高速ラップと両立させながら、独特の世界観を形成していたSOが気に入ったのだと思う。

SOはその後もしばらくフォローしており、活動休止するまでの全シングル(デビュー曲「ウェカピポ」から「COZMIC TRAVEL」まで)と、いくつかのアルバム曲はカラオケでつっかえずに歌えるくらいには聴き込んだ。今でもたまに聴きかえすほどのお気に入りは、「To All Tha Dreamers」「Starlight Destiny」「VOODOO KINGDOM」「COZMIC TRAVEL」辺りか。

この四つは僕の中ではひとかたまりで、これとは別のグループもある。「Magenta Magenta」「イルカ」「Catwalk」「Singin' My Lu」のグループ。

更に、「1,000,000 MONSTERS ATTACK」「ALIVE」「TOKYO通信〜Urbs Communication〜」「GROWN KIDZ」のグループだ。

なんとなくこれらのグループの曲は、「聴きたいタイミング」が被ることが多い。こうまとめてみると、第一グループは「エモ」、第二グループは「セクシー」、第三グループは「カッコ良さ」という感じがするかもしれない。


その後、SOUL’d OUTと並行してではあるが、流行りの音楽もある程度追っかけていた。僕の周りではORANGE RANGE清水翔太BUMP OF CHICKENなどがよく聴かれていて、僕もいろいろ聴いていた記憶がある。

そんな中、忘れもしない高校生二年生の秋、僕の音楽人生を大きく変える衝撃的な出会いをする。当時、既に日本での人気を確実なものにしつつあった韓流アイドルグループ、東方神起だ。

僕が人生で一番どハマりしたのは、間違いなく東方神起であると断言できる。当時まだ高校生ということで自由に使えるお金も、販路すら少ない中、輸入版のアルバムやライブDVDなどを買い集め、ハングル曲・日本語曲・果ては中国語曲も全てコンプリートして聴き込んだ程で、後にも先にもこれほど一つのグループにハマり込む事はもう無いのではないだろうか。僕が人生で唯一、ファンクラブに入ったアーティストでもある。

最初に聴いて衝撃を受けたのは、「呪文-MIROTIC-」という曲だ。もはやどう言語化したら良いのか分からない程「良い」のだけれど、「セクシーでパワフルなダンスナンバー」の究極形、と言えば伝わるだろうか。音楽、歌詞、ダンス、カメラワーク、演出、メンバーの個性などのあらゆる要素が絶妙なバランスで融合し、エンタメでありながら極上の芸術として仕上がった、間違いなくK-POP史上のターニングポイントとなったMVである。この曲は、未だに様々な後輩グループが定期的にカバーする程で、推測するにK-POP界隈でも伝説的な楽曲として捉えられているように思われる。百聞は一見にしかず、この記事をここまで読み進めていただいているのなら、是非観てほしい。もちろん、ハングルバージョンだ!

思い入れもあって一番好きな作品はもちろんこの曲なんだけど、やっぱり東方神起といえばバラードなどの落ち着いた曲のイメージが強いと思うし、実際どの曲も素晴らしい。

バラード系でのお気に入りは「Don't Say Goodbye」「Love In the Ice」「Remember」「Unforgettable」「明日は来るから」「Begin」辺りになるけれど、一番はやはり「Bolero」だと思う。曲自体の構成やパート割りがずば抜けて良く、各メンバーの個性が際立った一曲に仕上がっている。

皆さんご存知の通り、東方神起は2009年7月に分裂騒動があり、現在のメンバーはユンホとチャンミンの2人だけだ。僕はメンバーが5人だった時代に東方神起に入れ込んでいたのだけれど、それが2人になってしまった後は、正直あまりフォローしていない。2人の東方神起が嫌という訳では全くない。あくまで5人で織りなすハーモニーや掛け合いが好きだったので、自然と離れていってしまったような形だ。当時の心境などについては、いつかしっかり話せる時が来ると思うので、ここでは深く触れないでいこうと思う。


東方神起が活動休止してからもK-POP熱はしばらく続き、SHINeeSuper JuniorBIGBANGBEASTなどの音楽は常にフォローしていた。

その中でもSHINeeは、東方神起の直接的な後輩にあたるということでよく聴いていた。デビュー曲である「Replay」をはじめ、「Lucifer」「Sherlock」などのシングルはもちろん、アルバム曲では「Quasimodo」が好きだ。


東方神起の活動休止から数年、次に僕が熱を上げたのはももいろクローバーZ、略してももクロだ。僕ぐらいの年代で、この名前を聞いた事がない人はいないんじゃないだろうか。ももクロに関しては、僕の実父から教えてもらってハマったという経緯がある。

ももクロは元気いっぱいでコミカルなアイドルグループという事で、当時一世を風靡していたAKBグループとの差別化がなされており、アイドル戦国時代と呼ばれた時代を、持ち前の強運と実力でのし上がっていった。その音楽性やパフォーマンスもさることながら、こうしたバックストーリーが注目されたことで、更なる人気を獲得した側面もあると思う。特に、グループ名に「Z」が付く前に起こった、元メンバーである早見あかりさんの脱退と、6人で誓った「紅白出場」が中心的なストーリーであった。僕も例に漏れず、こうしたストーリーによってももクロに魅了された人間の一人だ。

ももクロは曲ごとにコンセプトがかなり異なっているので、どれが一番とは決めづらいけど、それでも敢えて挙げるとするならば、「マホロバケーション」は発表が2016年と、アイドルとして成熟してきた頃の曲ながら、ももクロらしさがしっかりと詰まっており、なおかつ挑戦的な内容も盛り込まれた良曲だと思う。


ももクロの後輩である、私立恵比寿中学も好きだ。最近、病気で療養していた安本彩花さんがYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で復帰して話題を集めていた。彼女の持ち味であった、正確でのびやかな歌声はそのままなのに、今回のパフォーマンスではエモーショナルな音色を帯びていて驚いた。

他にも、「大人はわかってくれない」「手をつなごう」「ハイタテキ」「まっすぐ」「シンガロン・シンガソン」などの曲は、初めてエビ中を聴く人にもおすすめできるラインナップだと思う。


この頃から僕は洋楽に興味を持ち始め、Bruno MarsSIAなどを経由して、ONE REPUBLICをメインに聴き始めた。代表曲と言える「Counting Stars」「Apologize」「Love Runs Out」などももちろん好きだし、「Kids」は特に気に入って一番聴き込んだ思い出がある。

このバンドの曲はかなりキャッチーというか、日本ウケしそうな構成のものが多いので、もっと日本でも有名になってくれないかなあ、なんてぼんやり思っていたりする。


ここまで僕がハマってきたグループは、ほとんどにメンバーの分裂・脱退、活動休止などがあり、結構それでメンタルがやられていたのかもしれない。この辺りから僕は一つのグループに入れ込むというよりも、色々なアーティストによる楽曲を、広く浅く聴くようになっていった。

奥さんと出会った当時は彼女の影響から、マキシマムザホルモンColdrainDIR EN GREYSiMNOCTURNAL BLOODLUSTなどのラウドロック(?)をよく聴くようになった。シャウト・デスボイスとひと口に言っても、めちゃくちゃ音色が多様で奥が深く、アーティストそれぞれの得意な声に注目して、曲を聴くのにハマっていた。

特に、DIR EN GREY「DIFFERENT SENSE」を聴いた時の衝撃は凄かった。「人間からこんな音が出るの?」のオンパレードで、曲の最初から最後まで圧倒されっぱなしだった。


ラウドロックにハマっていた頃、僕が働いている書店で楽譜の棚を担当することになった。楽譜にも色々あるけれど、中でもフェアリーという出版社が出している、ピアノピース・バンドスコアピースが厄介だ。これは主にJ-POP曲単体の楽譜シリーズなわけだけど、アーティスト名の読み方すら分からない時もあるし、例えば「Mrs. GREEN APPLE」というアーティストの楽譜5点のうち2点を返品しようとした時に、どの曲を残すべきか一見して分からない、というのが担当者としてはネックだ。

いちいち全ての売上を確認しても良いのだけど、実はもっと簡単な方法がある事に気付いたのだ。「そうだ、ここに並んでいる楽譜の曲を、全て知っている状態になれば良いのだ」と。そうすれば、それぞれのアーティストの何が代表曲で、何が人気の高い曲で、何が最新曲なのか一目で分かるようになる。

僕はそのための方法として、

①Apple Music内のデイリーTOP100を毎週チェック

②YouTubeの「音楽」急上昇を毎日チェック

を思い付いて実践した。

結果、現代J-POPの世界にまんまとハマり込んでしまったのだ。


どういう順序でどんなアーティストの曲を聴いたのか時系列では思い出せないし、全部覚えているわけでもないけれど、上述したMrs. GREEN APPLEはこの意識のもとで聴き始めたアーティストの最初の方かもしれない。

もともと「鯨の唄」という曲は耳にした事があり、それが結構印象に残っていて、「Attitude」「ロマンチシズム」なども聴き込んでいくうちに、どんどん好きになっていった。伸びやかで力強いハイトーンボイスが特徴的で、「僕のこと」はその最高潮だと言えると思う。


これも奥さんの影響なんだけど、次に印象深いのは欅坂46だ。AKB・坂道グループの中でも明らかに異質な存在で、絶対的センターである平手友梨奈さんのパフォーマンスは、どの楽曲でも予想を超えるクオリティで圧倒される。「不協和音」の鬼気迫る感じが注目されがちだけど、「アンビバレント」の疾走感や、「黒い羊」の悲壮感も素晴らしい。もう欅坂46としての平手さんが観られないのは悲しいけど、卒業後に発表した「ダンスの理由」でもそのパフォーマンスは健在だったので、今後の新しい挑戦も応援していきたいと思わされた。


King Gnuもやはり特筆すべき存在だ。彼らをJ-POPとして捉えて良いのかはなんとも言えないけれど、「白日」はポップスらしさを意識して作られた曲らしいので、まあ良いだろう。彼らはその音楽性が高く評価されているし僕も好きなのだけれど、個人的にはMVの出来がとにかく素晴らしいと思う。「The Hole」は、カラオケで歌う時に本人映像だと見入ってしまい、まともに歌えなくなってしまうほどよく出来ている。


みんな大好きOfficial髭男dismは僕ももちろん大好きで、スーパーで流れてきた「Pretender」が耳に入っていた時、お買い物中にも関わらず「これは!」と思って聴き入ってしまったのがきっかけだ。

底抜けに明るくて前向きな歌詞がほとんどなのに、ボーカル・藤原聡さんの歌声は力強くも繊細で、まるで誰かが泣き叫ぶ声のように胸の奥に響いてきて、そのギャップが曲をより味わい深いものにしているように思う。

特に「I LOVE...」「ビンテージ」は、優しくて暖かい雰囲気が良い意味でイマドキっぽくなくて、多様な個性で溢れかえった現代J-POPシーンにおいて、逆に異質な存在となっている気がする。でも、本当にヒゲダンはどの曲もちゃんと作られていて素敵な曲ばかりなので、アルバム聴きするのもアリだと思う。


YouTubeを見ていて思ったのは、Vtuberのもつ影響力が今の音楽業界において、もはや無視できないほど大きくなっているという事だ。正確には、ボカロPが発表した曲を歌い手たちがカバーして、ヒットチャート入りするという昔からある流れを、Vtuberの存在が更に強化しているという形になると思う。

僕が観測している範囲の中では、Vtuber葛葉さんによる「KING」メリッサ・キンレンカさんによる「エバ」百鬼あやめさんによる「グッバイ宣言」なんかは、この傾向がより色濃い気がする。


こうした流れとは別に、歌を活動のメインとするVtuberも現れている。僕は中でも花譜さんが好きで、オリジナル曲では「戸惑いテレパシー」「畢生よ」がプレイリスト入りしている。


また、深い説明は避けるけれどDUSTCELLも好きで、奥さんと一緒にカラオケでよく歌っている。「Heaven and Hell」の「浄化感」はすさまじいものがある。


そうそう、BiSHも昨年くらいからよく聴いている。「オーケストラ」は良い曲だけど、どちらかと言うと僕はカッコいいBiSHが好きで、「stereo future」「KiND PEOPLE」をお勧めしたい。おそらくベストアクトであろう、幕張メッセの「stereo future」は必見だ。


最近のアーティストでは、まずyamaさんが思い浮かぶ。あんなに繊細な歌声なのに、一発撮りも可能というのには驚いた。曲のところどころに、ジャジーなテイストを加えてくるのも面白い。「春を告げる」は、現代J-POPを語るなら必聴だ。


Adoさんは、実は「うっせぇわ」以前から知っていて、よく奥さんと一緒に「金木犀」を聴いていた。多彩な歌声はこの頃から前面に出ており、「踊」「夜のピエロ」など曲を発表するたび、喉の自由さに驚かされる。


そろそろ最後にしよう。冒頭で話題にした今をときめくYOASOBIは、もう何を歌わせても一級品だと思う。「ラブレター」とは真逆を行く路線の「怪物」や、2020年Billboard JAPANチャート年間首位を獲得した「夜に駆ける」など、ダークな世界観の曲も歌いこなせるし、「三原色」ではラテンっぽいリズムにノってみせ、「あの夢をなぞって」では力強く伸びやかなハイトーンも披露した。ボーカルの幾田りらさんは、素人が聞いても分かるほどリズム感に優れており、どんな曲を歌わせても耳に心地よいという、チート級能力者だ。

「群青」のCメロというのか、2番の後の部分を聴いてみて欲しい。これはカラオケで歌ってみると分かるけれど、音程もリズムもめちゃくちゃ取りづらくて難しい。リズムに関して、自分はSOUL’d OUTでかなり鍛えられた方だと思っていたけれど、全然そんな事ないなと現実を突きつけられてしまった。素人と比較するなと言われればその通りなんだけど、そんな箇所を一発撮りの緊張感の中、一音も一拍もずれる事なく見事に歌いこなしている姿を見て、僕は何歳も年下のいくらさんを本気で尊敬してしまった。まだYOASOBIを聴いたことのない人がもしいるのなら、こんな記事を最後まで見てくれるくらいのその忍耐強さで、ぜひ一度聴いてみてほしい。絶対に損はしないはずだ。


ふう。音楽遍歴を語るという記事だったはずが、いつの間にかアーティスト紹介になっていたような気もするが、ある程度は好きな音楽を語れたと思うので、良しとしようと思う。








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