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2021年は正しくバリュエーションが理解される世界にしたいバイサイドアナリストが書くnote
2021年、いいスタートを切るために!
明けましておめでとうございます!
2021年が皆様にとってハッピーな年になることを祈って書初めです。
わたしは今は外資系アセマネで日本株アナリストとファンドマネージャーをしています。いまの自分がゴールだとも全く思っていないし、自分のバリュエーションスキルが完璧だとも思っていません。いつだって迷いがあるし、悩みがあります。それでも去年はnoteを通じて超実践的DCFを発信していくことにしました。
新年を迎えた今日、15年強のキャリアを振り返ってみて改めて自分のしたいことは何なのか、なぜnoteを書くのか、ある意味自分のために、文字に起こしてシェアさせていただきたいと思います。
教師 or 金融? 教育 = 投資?
子供のころは教師になりたかった。というか今もなりたい。人に教えることが一番気持ちいいし、責任感を感じる。別に感謝されなくてもやる気が湧く。自分のためにも人のためにもなる瞬間。たぶんこれが天職です。
とにかく下の世代を育てないと終わってしまう。自分の生きた意味もなくなる。そんなことを中学生ぐらいから思っていました。その考えは今も変わっていません。
でも大学生の時に身近にいた大人に影響されて金融に入りました。かっこよかった。その方は当時外銀のプロップトレーダーでしたが、僕は感覚的に長期投資がモットーの機関投資家を選びました。長期投資って役に立ちそうだし、人より秀でた才能と努力で金を稼ぐっていうのは魅力的に映りました。ちょっと偏屈で専門職志向だったのもきっと影響していました。
最近思うのは、教育と長期投資って結局は同じだなってことです。
教育とは、今持てる知識を次世代への種まきに使うこと。長期投資とは、手元の現金を遠い将来のリターンのために手放すこと。私には、両者がそんなに違うものには思えません。利益を得るのは常に未来の自分であり、それは未来の社会です。
昔から好きだってわかっていた教育と、感覚的に選んだ投資業が結びついていたのは偶然ではないのかなとも思います。
次の世代が自分より豊かである世界ー日本はラッキー
ところで私は幸運なことに子供が3人います。絶対に自分より幸せになってほしい。
ロンドンに住んでいたとき、Uberの運転手から言われました。youは子供が自分より賢くなるのが当たり前の世界で生きてるだろ?って。what do you mean?と返せば、we have no home, no education for kids. nowhere to go. they were all destroyed. と返ってきます。アフガニスタンやイランから命からがら逃げてきた人たちがタクシーの運転手をしています。destroyは比ゆ的な意味ではなく、もう生まれた村は地図上に存在しないそうです。その運転手は工学博士で部下を持つエンジニアでした。
日本は世界有数の文明的な世界が維持されていて、平和で、希望に満ち溢れてる。今はちょっと幸せでお腹いっぱいになってるかもしれないけど、比べたらかなりラッキーじゃないですか?
発展する未来、世代が逆行しない幸せは日本に生まれた特権だし、努力しないと維持できないということを強く感じました。
金融でよかった。同時にそう思いました。なぜなら、投資プロセスが本来もつマクロな力をもっと引き出せば、私たちの生活も資産状況ももっと改善するから。
同時に、自分が選択したキャリアを意味のあるものに変えるために、1人の教師ではできない仕事をしないといけない。投資スキルを高めることで、自分の娘や息子、孫の世代がもっとハッピーになれる世界に近づける。その確信を形にするために自分の行動を変えていきたいと思うようになりました。
機関投資家って意外と、、、? ベータとアルファ?
私のキャリアのスタートは日系機関投資家の総合職でした。「ファイナンスの力で日本を活性化したい」、そう思って仕事と自己研鑽に励みました。
数十兆円の資金を運用する巨大機関投資家の中に入れば、
①サイズパワーと組織内の運用ノウハウから成長機会が得られる
②特定のアセットクラスで日本一のプロになる
③過小評価された投資機会にお金を回して世界を正す!」みたいなことができる
という3ステップで夢をかなえられるはずでした。でも現実はきびしい。。。サラリーマン機関投資家って、人事異動すごいんですよ。2-3年に1回。それを4-5回やってもう無理だと悟りました。新しい部署にいったら必死でゴールドマンやJPモルガンの人に教えてもらうんです。それを繰り返してどうして相場で尊敬されるプロになれるのか。
そもそも長期運用を標榜する機関投資家ってアルファを取りに行く運用ってあんまりしないんです。基本はベータ。要は市場超過リターンに対する評価はゼロで、市場並みのリターンを無事故で獲得することに重きを置いています。まあ勝ってもだれも給料あがりませんから。上司の立場からしたら当たり前です。
この会社に私は10年いました。でも「あ、自分が悪いんだ。ビジネスモデル的にこの会社はすでに最適化されている。」って気づいてからの動きは速かったです。3か月後にはアセマネの世界に転職することになります。CFAとか英語力とか最低限は持ってたのでどうにか新しい道を見つけることができました。今年で、アセマネでアナリストやファンドマネージャーをして6年目になりました。まだまだひよっこです。
私はまず自分の腕を磨くため、逃げ場のないプロの世界に入りました。儲かるユニークなアイディアを何個出せるか、ファンドは何%アウトパフォームするか、それがすべてです。幸いなことに上司は非常に分別のある方で、決算一発勝負で結果を出そうとか全くしないバリュエーション職人的な方なので、長期的な視野で銘柄発掘ができますし、モデルを改良する時間も取れます。
個人投資家が金融プロに勝つ時代
日本人の金融教育レベルが低いというのはよく言われる話です。でもプロも同じです。プロと呼ばれ、相場を教育すべき人間のレベルが低い。これはロンドンとの比較ですが、もうブローカーレポート(証券会社のセルサイドレポート)の質が全くちがう。四半期業績を追いかけて、企業価値の本質を置き去りにし、バリュエーションには時間をかけない。プロがこんなんですから、相場は歪みだらけです。
私は、個人投資家が彼らに勝てないとは全く思いません。個人の方は時間が限られているし、首がかかっていないので進歩はゆっくりかもしれない。でも適切な教材でしっかりと勉強して、基本に忠実に1つ1つ銘柄分析をこなしていけば全く遜色ないレベルまでバリュエーション能力を挙げることができると考えています。
しかも、個人投資家は常に全力でポジションを作る必要がありません。自信がなければ、降りればいい。ゆっくり時間を使って次の下落相場で拾う銘柄を20個みつければ十分です。
大インデックス時代のコインの裏側は、まっとうなアクティブ運用のリスクリターンの向上です。是非、相場のゆがみからリターンをあげてほしいと思います。
制約も少なく真の長期投資が可能な賢明な個人投資家こそ、実は勝利に一番近いところにいると思います。
私ができることー超実践的DCFモデルを提供
私は個人投資家が豊かになるために、”超実践的DCFモデル”をアップデートし続けます。個人投資家のレベルアップにつながるコンテンツを生み出します。忙しい兼業投資家に方々に、ユニークで包括的なリサーチに基づいた使い易いDCFフレームワークを提供します。
「DCFって意外に簡単で使い易い」
「マルチプルへの理解が深まった」
「高値掴みが減ってパフォーマンスが安定した」
「長期投資できそうな、お気に入りの割安銘柄を見つけた」
といった声が聴けるように、実際の銘柄分析の流れを加えながら、お気に入り銘柄を見つけてもらえるように、2021年はこつこつとDCFモデルと銘柄分析をアップしていこうと思います。また、複雑なバリュエーションの数式を感覚的に理解できるバリュエーション地図も執筆中です。これも温めてからリリースしていきたいと思います。株式投資家を守るガイドになれるように毎日を大事に過ごしていきます。
皆様の2021年に幸多からんことをーーー
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