ゴールデンボックス賞について

2023年3月25日に、ゴールデンボックス ボードゲームアワード の創設が発表されました。

この記事は、この賞に関して上杉真人の考えを書いたものです。

賞についてまだご存知ない方は、ぜひ先にこちらの発表記事をご覧ください。

賞の成り立ちについて

この賞は、タンサンの朝戸一聖さんが発起人となり、「ボードゲーム業界の従事者を讃える賞を作りたい」という考えが出発点となって始まりました。

そのため、ゴールデンボックス賞は「すぐれた作品に与えられる賞」ではなく、「すぐれた功績を残した従事者に与えられる賞」となることを主眼としています。

賞の思想のモデルはアメリカの映画業界のアカデミー賞です。アカデミー賞と同じく、業界従事者が投票者かつ対象者となり、「業界従事者の労と成果を讃える」ものとなることを目指しています。

この賞の創設に関する話し合いは、2019年に始まり、部門や選考方法等についての話し合いを重ねてようやく今回の発表に至りました。

この創設に携わり、現在の運営委員会となっているのは以下の6名です。

委員長  朝戸一聖
副委員長 杉木貴文
運営委員 上杉真人、小野卓也、田中誠(50音順)
事務局長 秋山真琴

まだ始めは小規模で、仕組みも完璧なものではないかもしれませんが、あたたかく見守っていただければ幸いです。

賞の選考について

業界従事者の投票によって選考を行うために、2021年に運営委員会が声掛けし、約40名の業界従事者の方々に準備会として集まっていただきました。

選考ではまず、準備会の方々に、部門ごとの今年の推薦作を挙げていただきました。部門は以下の7つです。

・作品賞
・ゲームデザイン賞
・アート賞
・グラフィックデザイン賞
・プロダクション賞
・ルールブック賞
・特別賞

それらの推薦作のリストをもとに、上記の運営員の6名で取りまとめ、部門ごとに3作ずつのノミネート作を選出して上記の記事で発表しました。

これから3月26日まで準備会の方々の投票を受け付け、それによって受賞作が決まり、3月末に発表される予定です(特別賞のみは投票を行わず、推薦リストをもとに運営委員会が選出します)。

準備会の方々に推薦および投票していただくにあたって、自分自身が受賞対象となるような推薦や投票は不可としています。もちろん、従事者が投票者かつ対象者であるという賞の性質から、準備会の会員も(他者の推薦や投票によって)受賞の対象となりえます。

運営委員会の6名が関わった作品を対象から外すべきかについては議論がありました。しかしそうした場合、ある従事者がアート賞にふさわしいすぐれたアートを手掛けたとしても、その作品のどこかに運営委員が関わっていれば受賞の機会が奪われることになります。また、現在の運営委員が関わる作品は年間で何十点にも及び、すべてを除外するには数が多すぎます。そういった理由から、運営委員自身が対象とならない限り、推薦作のリストを尊重し、運営委員が関わった作品における功績であっても可としています。

なお、運営委員会の6名が個人として受賞の対象となることはありません。

賞のノミネート作の発表について

冒頭の記事で、賞の今回のノミネート作が発表されています。

現在、ノミネート作のリストにはそれぞれの「タイトル」と「出版社」を記載しています。

「従事者を讃える」というこの賞の目的から言えば、ここにはノミネート対象となる功績を手掛けた従事者個人の名前を記載したいという思いがあります。

しかし、現在のボードゲーム業界では、必ずしも作品の各部分の担当者の名前が第三者からわかるようにはなっていません。そのため、発表のスケジュールと手続きの都合から、現時点ではまだ従事者個人の名前を記載していません。

これから個別に必要に応じて連絡し、担当者の名前を確認して記載する予定です。

この賞で様々な分野の従事者を讃えることが、業界のより多くの人々に常日頃からスポットライトが当たる未来につながることを願っています。

賞の今後について

重ねてになりますが、この賞はまだ始まったばかりのものです。

2019年から話し合いを始めて、様々な意見を受けて理想を追い求めるあまり、なかなか進行できない時期もありました。準備会の皆さんの協力もあり、なんとか今回の創設の発表までたどり着きました。

一同がボードゲーム業界とその未来への情熱によってこの賞に取り組んできました。まずは小規模でも、完璧でなくても、という思いで動かし始めています。

今後、より多くの方々に少しずつお声がけし、推薦および投票を行う会員の規模を大きくしていきたいと思っています。「ボードゲーム業界の従事者を讃える」というこの賞の目的に共感してくださる方には、ぜひお力添えいただきたいと思っています。

ゴールデンボックス賞をよろしくお願いいたします。


ゴールデンボックス ボードゲームアワード
運営委員 上杉真人


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