『Inscryption』をクリアした人のための攻略情報
**この記事の内容は完全なネタバレなので、『Inscryption』をまだプレイしていないまたはクリアしていない方は読まないようにしてください。**
『Inscryption(インスクリプション)』、とってもいいビデオゲームですね。
もしまだこの最高のゲームをプレイしていない場合は、ぜひプレイしてみてください。Steam等のプラットフォームでPC版が販売されています。
この記事では、『Inscryption』を既にクレジットロールを見るまでプレイした人向けの攻略情報を掲載しています。
主に、Daniel Mullins Games の公式Discrodサーバーで解明された情報を引用及び翻訳したものです。
『Inscryption』の謎
このゲームをクリアした時点では、まだ謎がいくつも残されていると思います。
ゲームの発売直後から、こういった謎を解くためのARG(Alternate Reality Game 代替現実ゲーム)が進行していました。
動画の中の3つの暗号
最初の手がかりになったのは、最後のKamWerksパートでのエラー動画に映し出される暗号です。
動画の中のこのメモには、l33tを用いて「MYCOLOG1ST12|P3RH4PS??|BL00D$L3TT3R80X」と記されています。
このタイプの暗号は、『Inscryption』の作者である Daniel Mullins の以前のゲームである『The Hex』でも使われていました。そのときの経験から、この暗号が「|」の記号で3つに分割できることがわかります。
第1の暗号「MYCOLOG1ST12」
1つ目の暗号は「MYCOLOG1ST12」です。
これは第3部(PO3のパート)の隠しボスである菌類学者を表しています。
隠しボスの菌類学者には、第2部(ゲームボーイのパート)で2体のスクライブを倒したあとに現れるキノコ小屋で4種すべての合体カードを作ることで鍵を手に入れ、第3部で「東ボットピア」から右下に進むことで遭遇できます。
「MYCOLOG1ST12」という暗号は、菌類学者が最後に出してくるカードの名前の最初の12桁を意味します。
すなわち、「918234489010」です。
第2の暗号「P3RH4PS??」
2つ目の暗号は「P3RH4PS??」です。
これは作者の以前の作品である『Pony Island』や『The Hex』に登場したイースターエッグである「A Beeper, Perhaps??」という文言に関連しています。
「Beeper」という語に着目してみると、クレジットロールの「3Dモデル」のパートにその名目でクレジットされた人物がいることがわかります。
この Louis Nathas という人物は実在の人物ではなく、記載されたURLも実際のものではありません。
暗号の「P3RH4PS??」に含まれた「??」の位置と、URLの中の「??」の位置を合わせることで、解となる文字列を取り出すことができます。
すなわち、「8339344??」です。
第3の暗号「BL00D$L3TT3R80X」
3つ目の暗号は「BL00D$L3TT3R80X」です。
この解は、第3部の隠しキャラクターである骨の王から得ることができます。
隠しキャラクターの骨の王には、第2部でのいずれかの戦闘中に「壊れたオボル貨」を並べることで「オボル貨」を作り、それを墓所の地下で捧げることで鍵を手に入れ、第3部の墓所の鍵のかかった部屋に入ることで会うことができます。
この暗号の解は、第3部での骨の王との会話中に、画面サイズを「L3TT3R80X(LETTERBOX)」、つまり4:3のレターボックスの比率にすることで、画面右上に(かすかに)表示されます。
すなわち、「8043!$702D!!$666」です。
コマンドラインへの入力
このようにして、「918234489010|8339344??|8043!$702D!!$666」という3つの解を得ることができました。ではこれをどう使えばいいのでしょうか。
第2部の開始時にゲームをロードする演出の途中で「Ctrl + C」を入力することで、コマンドラインを開くことができます。
そこで「ls」と入力することでファイルの一覧を表示でき、「cd OLD_DATA」と入力することで「OLD_DATA」フォルダの中に移動できます。
そこには「log.txt」という暗号化されたファイルがあり「decode log.txt」と入力すると暗号を求められます。そこで「918234489010|8339344??|8043!$702D!!$666」を入力することで、復号された「log.txt」を表示できます。
この文章から括弧内の文字列を抜き出すことで、新たに「SE:167BP:TRU|23K2F!00R|ARCHIV$NEW#GAME?」という3つの暗号を得られます。
第4の暗号「SE:167BP:TRU」
4つ目の暗号は「SE:167BP:TRU」です。
この暗号の解は、『Inscryption』のセーブデータファイルである「SaveFile.gwsave」をテキストエディタ等で操作することで得られます。
「SE:167」は、「storyEvents」で「167」番のイベントを完了済みにすることを指し、「BP:TRU」は「bonelordPuzzleActive」フラグを「true」にすることを指します。
"storyEvents": {
"$id": 1,
"$type": "1|DiskCardGame.StoryEventsData, Assembly-CSharp",
"completedEvents": { 167
"bonelordPuzzleActive": true,
そのセーブデータを読み込んで、第1部(レシーのパート)の骨をクリックし続けることでこの暗号の解を得られます。
すなわち、「IAMLRNED2MCH」です。
第5の暗号「23K2F!00R」
5つ目の暗号は「23K2F!00R」です。
この中の「23K2」という文字列のパターンは、KamWerksの動画の右下の付箋にも現れていました。
この動画で、ルーク・カーダーは最古のカードゲームのひとつである『Karnöffel』についてWikipediaで調べていました。
この「23K2」というパターンを『Inscryption』のカード及び『Karnöffel』のルールと照らし合わせると、「ダウス(2/ブタ)・マンティスゴッド(3)・ネズミの王(K)・ダウス(2/ブタ)」という並びに対応すると推測されます。
これらのカードをすべて揃えられる第1部でこの並びを再現することで、「STOP」という文字列を得られます。
暗号の後半の「F!00R」という部分は、同じ動画の左上の付箋に記された(またゲーム中のカードの能力としても存在する)「M!RROR RORR!M」という文字列に関連しています。
「F!00R」はそれ自体が「FLOOR(地面)」と読めますが、「M!RROR RORR!M」と同様に回文にしてみると、「R!00F」、つまり「ROOF(屋根)」という文字列を得られます。
ゲーム中で現れる地面と屋根の組み合わせとして、第2部のレシーの小屋があります。
地面には金庫の鍵番号である「273」が記されていますが、そこから続く左側の屋根には「4」枚の欠けがあり、右側の屋根には「1」枚の欠けがあります。これらをつなげて、「27341」という文字列を得られます。
これらの2つを組み合わせて得られる「STOP27341」という文字列がこの暗号の解です。
第6の暗号「ARCHIV$NEW#GAME?」
6つ目の暗号は「ARCHIV$NEW#GAME?」です。
前半の「ARCHIV」は第3部のボスのアーカイビストを指します。
このボスとの戦闘中に流れるBGMはモールス信号になっていて、それを変換すると「BIGEAR」という文字列を得られます。
また、第3部では「ニューゲーム」のカードと同じ光り方をする箱が置かれており、これが後半の「NEW#GAME」に対応しています。
この箱の光り方もモールス信号になっており、それを変換すると「NOCHANCE」という文字列を得られます。
これらをこれまでのパターンを踏襲して暗号にあてはめると、「BIGEAR$NO#CHANCE」という解を得られます。
2度目のコマンドラインへの入力
こうして得た新たな鍵をコマンドラインで使用します。
「log.txt」を最初の鍵である「918234489010|8339344??|8043!$702D!!$666」で復号したあと「save log.txt」を実行して保存し、新たな鍵である「IAMLRNED2MCH|STOP27341|BIGEAR$NO#CHANCE」でさらに復号します。
これによって、「log.txt」の新たな部分を読むことができます。
この文章はポーランド語で記されていますが、今回も括弧内の文字列を抜き出すことで、新たに「BCK2B3GNN!NG|MANATEE##|B1RCHK1N$$56-57M」という3つの暗号を得られます。
第7の暗号「BCK2B3GNN!NG」
7つ目の暗号は「BCK2B3GNN!NG」です。
これは「BACK TO BEGINNING(始まりに戻れ)」と読むことができます。
『Inscryption』は、もともと Ludum Dare というゲームジャムの第43回で『Sacrifices Must Be Made』という作品として始まりました。
この作品は短編で、『Inscryption』の第1部のカードゲームに相当する部分に焦点を当てたものです。
この『Sacrifices Must Be Made』(の「Original Game Jam」バージョン)は、『Inscryption』がリリースされる直前にアップデートされていました。
『Sacrifices Must Be Made』のフォルダに「cypher.cypher」という名前のテキストファイルを作り、「IAMLRNED2MCH|STOP27341|BIGEAR$NO#CHANCE」と書き込みます(これは前作『The Hex』で用いられたのと同様の手法です)。その状態でゲームをクリアすると特別な会話が始まり、この暗号の解が表示されます。
すなわち「WHTL!ESAHEAD」です。
第8の暗号「MANATEE##」
8つ目の暗号は「MANATEE##」です。
第3部で見つかる日記には、『アクアローマン』という架空のカードゲームが登場します。
この『アクアローマン(Aqua Romans)』というのは、作者の Daniel Mullins が2017年にボードゲームファンサイトのBoardGameGeekに投稿した『スマッシュアップ(Smash Up)』というカードゲームのファンメイドデッキの名前でした。
Daniel Mullins が作ったそのデッキには、日記で言及されている「ヒトデウス・カエサル(Julius Sea Star)」も登場します。
そして暗号の「MANATEE##」に関連して、「Manatee Antony」というカードが存在します。
暗号の中の「MANATEE」を「ANTONY」に置き換え、文字数の差の分だけ「#」を増やすことで、「ANTONY###」という解を得られます。
第9の暗号「B1RCHK1N$$56-57M」
9つ目の暗号は「B1RCHK1N$$56-57M」です。
「B1RCHK1N」は「バーチキン(Birchkin)」と読めます。
この名前は、ルーク・カーダーが『Catch Monsters』という架空のカードゲームのパックを開封する動画で登場します。
さらに、この『Catch Monsters』というゲームは、現実のビデオゲームとしても存在しています。作者の Daniel Mullins が2014年にKickstarterでクラウドファンディングキャンペーンを立ち上げた『Catch Monsters』です。
このキャンペーンは残念ながら目標を達成せず、ゲームもリリースされていません。しかし、キャンペーンのページからプレアルファバージョンをダウンロードできます。
『Catch Monsters』における「バーチキン」は、「Pacifism」という能力を持つ唯一のモンスターです。この「Pacifism」の文字数は「B1RCHK1N」と一致していて、置き換えることで暗号の前半の解を得られます。
後半の「56-57M」は、作者の別の作品である『Beneath The Surface』に関連しています(このゲームもまた、『Inscryption』のリリース直前にアップデートされています)。
『Beneath The Surface』は氷上で釣りをするゲームです。先の暗号と同様にゲームのフォルダに「cipher.cipher」というテキストファイルを作り、「918234489010|8339344??|8043!$702D!!$666」と書き込んで、深さ「56-57M」で釣りをすることで、手がかりとなるアイテムを入手できます。
ここで表示される文から数字と記号を抜き出すと、「0044!3」という文字列を得られます。
こうして得られた2つの文字列を組み合わせることで、「PACIFISM$$0044!3」という解を得られます。
3度目のコマンドラインへの入力
3つの解を組み合わせると、「WHTL!ESAHEAD|ANTONY###|PACIFISM$$0044!3」という新たな鍵になります。
前回と同様の手順で「log.txt」をさらに復号すると、新たな部分を読むことができます。
今回は暗号は見つかりませんが、文章中に何らかのURLが記されていることがわかります。
Kaminski Data Storage Mfg. へのリンク
文章の中に記載されたURLは、「|」の記号を取り除いて https://www.kaminskimfg.com/orderform とすることでアクセスできます。
アクセスした先には、「Kaminski Data Storage Mfg.」という会社の注文品の交換申請フォームが表示されていました。
しかし、プレイヤーたちがさまざまな入力を行って試行を続けた結果、ウェブサイトがダウンして、以下のメッセージが表示されるだけになってしまいました。
メッセージで示されたとおり、プレイヤーたちは実際に現実の時間で待つことになりました。
GPSが示す座標での発掘
上記の一連の謎解きと並行して、10月22日、バンクーバー近郊のある地点で発掘作業が行われていました。
ある地点とは、ゲーム内でルーク・カーダーが『Inscryption』のフロッピーディスクを手に入れた場所です。KamWerksの動画で確認できるGPSの座標をもとに、2人のプレイヤーがそこを訪れました。
発掘の様子はTwitchで配信され、そのときのビデオクリップが現在でも確認できます(撮影時には作者の Daniel Mullins も合流し、発掘者の2人をシャベルで襲撃するというジョークを披露しました)。
発掘の結果、赤いフロッピーディスクが発見されました。それは3月から埋められていたもので、中身は空っぽでした(どうせ土の中に長期間埋められてデータを読み取れなくなってしまうので、演出のために中身のないフロッピーディスクが用意されたようです)。
そして、黒いフロッピーディスクを Daniel Mullins から手渡されました。その中には、次の手がかりが入っているだろうと予測されました。
発掘者たちがフロッピーディスクドライブを入手したあと、10月24日に、黒いフロッピーディスクの中身を確認する配信がTwitchで行われました。その様子もビデオで残されています。
フロッピーディスクの中身は、「file.txt」という名前のテキストファイルひとつだけでした。そのファイルの中には、
というテキストだけが書かれていました。
プレイヤーたちはこの時点で既に、この「thisguymoaned」というのが、Daniel Mullins が作成したRedditのアカウント名であることを知っていました。「MANATEE##」の暗号を解読する過程でそのことが発見されていたからです。
このフロッピーは、その暗号が解読できなかったときにヒントの役割を果たすものだったのだろうとプレイヤーたちは結論しました。「thisguymoaned」のアカウントは現在では削除されています。
届いたディスク
「Kaminski Data Storage Mfg.」のURLが発見されてから、数日が経ちました。
プレイヤーたちの中には、このフォームに実際の自分の住所を記入していた人たちがいました。
そういったプレイヤーのうちの3人に、それぞれ1枚のフロッピーディスクが郵便で届きました。
ディスクのうちのひとつには、「backup_1##.txt」というテキストファイルが入っていました。それを開くと、次のテキストが書かれていました。
別のディスクには、「backup_#2#.txt」というテキストファイルが入っていました。その中身は次のとおりでした。
そして最後のディスクには、「backup_##3.txt」が。
これら3つのテキストファイルを組み合わせると、以下の内容が作られます。
(実際の暗号解読の過程では「backup_#2#.txt」のフロッピーディスクが最初に届き、プレイヤーたちはその断片的な内容から暗号の解の一部を推測していきました)
YouTube動画へのリンク
3枚のフロッピーディスクのファイルを組み合わせてできたテキストファイルの最初の行は、YouTubeの動画のIDを示すものだと推測されました。
この文字列をYouTubeのURLに当てはめてみると、隠された動画につながります。
動画のタイトルとなっている「10-19」は、『Inscryption』の発売日である10月19日を意味していると考えられます。
この動画は、P03が結果的に『Inscryption』のアップロードに成功し、それがSteamでの実際のゲームの発売につながったことを示唆しているのではないかと推測できます。
最後のコマンドラインへの入力
組み合わされたテキストの2行目は、その形式から、暗号化されたテキストを復号するための新たな鍵だとわかります。
これまでと同じ手順で「log.txt」をさらに復号すると、暗号化された文書の最後の部分を読むことができるようになります。
この文章はロシア語です。もう新たな暗号は出てきません。
長い暗号解読の果てに得られた「log.txt」の内容を日本語に訳すと、以下のような内容になります(筆者の私訳であり、正確な翻訳を保証するものではありません)。
この文章は、ロシア語で書かれた記録が最初に存在し、「a」がそれにコメントし、「b」がさらに重ねてコメントし、「c」が最後にコメントする…という形で構成されています。
「a」はバリー・ウィルキンソン、「b」はカミンスキ、「c」はケイシーが書いたものだと考えられています。
ロシア語の記録
「a」のコメント(英語)
「b」のコメント(ポーランド語)
「c」のコメント(英語)
文章中の『Durak』はロシアの伝統的なカードゲームであり、『Super Weasel Kid』は Daniel Mullins の以前の作品『The Hex』に登場する作中作です。
この文章では、作中の第3部で皮商人がタロットで語る内容とあわせて、OLD_DATAから『Inscryptyon』が生まれるまでの物語が述べられました。
ARGの終わり
組み合わされたテキストの3行目は、まさに書いてあるとおり、このARGの終わりを意味していると思われます。
これで『Inscryption』は終わりだと考えられています。より大きな物語は、Daniel Mullins のサーガとして次のゲームに続くかもしれません。
いかがでしたか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?