社長がお笑い芸人に異世界転生してみた【売れてない芸人(金の卵)シリーズ】ジョニー小野 著
はじめに
みなさん、はじめまして。
株式会社TAPという、世間から限りなくグレーな印象を持たれているけれども、極めてクリーンでホワイトな芸能事務所に所属している芸人のジョニー小野と申します。よろしくお願いいたします。
1979年生まれ。2022年1月現在42才の妻子持ちです。複数の事業を経営する「社長芸人」という肩書で活動させていただいております。とはいっても、お笑いは決して金持ち社長の道楽などではありません。
様々な事業に取り組くむも収益がなかなか出ないまま積み重なった借金8000万円を返済するべく、起死回生の“新規事業”として「お笑い芸人事業」を新たに立ち上げたところでございます。
皆さんがTVで見かける「クズ芸人」は、たびたび借金の金額をネタにしています。その額は数十万円から数百万円など様々ですが、この程度の金額がなぜネタになるのか、ピンと来ていません。普通に働くだけで数年もあれば返済できる金額を、なぜ皆さんは「面白い」と感じるのでしょうか。それほど「クズ」なことでしょうか。
正直、普通に働いて返せるくらいの金額は「借金」なんかではありません。ちょっとした給料の前借のようなものです。「パチンコや競馬、競輪などのギャンブルにハマって借金しているのだからクズだろう」という方もいるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか? 返済の目途が付く借金なんて、返さなくて平然としているのが当然でしょう。いつでも返せるのですから。
それに対して私の「8千万円」という金額は、普通に働いていては確実に返せません。まして嫁子供を生活させながらです。自分でもどうすればよいのだと思います。
ちなみに、負債の大半は高級外車の購入によるものです。もちろん事業として取り組み、回収のあてがあると思って投資したようなもので、決して浪費や嗜好品としてではありません。細かくは国と見解の相違があると良くないので、ここでは申し上げられませんが、端的に申しますと「イケると思たんや」と言ったところでしょう。
もう、資本投下が必要な事業は怖くてできません。怖い。怖すぎます。リスクがどえらいのです。
その点、「芸人」を事業として捉えると、実に魅力的な産業だということがわかります。
とりあえず原資は自分の頭だけで済みます。さらに実働時間も極めて短い。こんなにレバレッジが効く仕事はそう多くはありません。その分、競合が多いのは承知の上です。そんな事よりも“参入障壁の低さ”に着目するのが、さすが経営者生活が長い私の慧眼でしょう。
そんな私になぜか今回、奇特な出版社・代官山ブックス様から「なぜ社長が芸人をやることになったのか書いてみて欲しい」という勇気あるご依頼を頂戴しまして、厚かましくも本を書かせていただくことになりました。
お笑い芸人になりたいと思っている方にも、売れるかどうかは別として、こんなルートでお笑いの舞台に立つ方法もあるのだという参考になればうれしいです。また、ビジネスに携わる方々には、新規事業に果敢に挑むベンチャー経営者の冒険譚の序章としてお読みいただきたいです。「鷲津さん」か「半沢さん」のイメージで再生することをおすすめします。
もしくは、今の人生に疑問や不満がある方が「もし転生したら」という観点でお読みいただければ、何か見えてくるかもしれません。もしかしたらですけど。
決して短い文章ではございませんが、変わり者の経歴語りにしばしお付き合いいただければと思います。
ジョニー小野
1章 お笑い芸人になりたいと思ったことは一度もない
お笑いよりもビジネス書
私は、子供のころからお笑い芸人になりたいと思ったことは一度もありません。
人前で漫才のマネをしたり、テレビで見たシーンの再現を学校でやったりしたことも皆無です。どちらかというと、当時大ブームだった「とんねるずのみなさんのおかげです」のノリダーなどのマネをやっている友人たちを「テレビのモノマネして何が面白いんだ?」という上から目線の批評をしていた側でした。
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