日本は性暴力に麻痺している 捜査、報道、社会の問題
伊藤詩織さんの性暴力被害事件での警察の対応には、3つの問題があった。
1、平成9年に警察庁が内部で通知した「捜査員のための被害者対応マニュアル」で「被害場面の再現などについては、なるべく被害者の代行を立てて被害者の指示に基づいて被害状況を明らかにするように努めること」としてあり、2017年度版の「警察による犯罪被害者支援」でも「ダミー人形などを使うこと」としてあるのに、詩織さん本人に被害状況の再現をさせて精神的肉体的負担を掛けた。
2、女性捜査員の立ち会いがなく、被害に直接関係ない「処女ですか?」と詩織さんに何度も聞いて、精神的負担を掛けた。
3、逮捕状が執行停止になった後、山口氏から示談の申し出があった時、詩織さんと弁護士の面会に捜査員が同行しようとした。被害者と弁護士の面会に捜査員が同行することは、あり得ない。
性暴力被害の報道についての問題は、児童への性暴力をいたずら、強姦を暴行と実際の被害とは軽い報道用語を使うことで、性暴力被害を大したことないようにイメージを植え付けている。
性暴力被害についての社会の問題は、女性が性暴力被害について声を上げようとすると、内容を歪曲して非難されることが多い。セクハラや性暴力被害を上手くかわせたり避ける女性を「大人な対応が出来る女性」と誉めたり、被害女性の服装や状況を非難される。詩織さんは、山口氏と就労ピザの相談を二人でしたことや酒が出る場にいたことを、軽率と非難された。
それは、日本社会には男性の性に寛容な傾向があり、女性が性暴力被害に声を上げると「めんどくさい女性」と思われるのを恐れ、女性が泣き寝入りすることが多いにある。
性暴力は、男性の性欲が行き過ぎた結果で、被害女性は派手な格好をしているからと思われているが、実際には地味な格好をしているおとなしい女性が被害に合うし、被害女性を支配したいという支配欲が根源にある。
マスコミや裁判官や捜査員は、性暴力の実態を良く知り、被害女性に対するセカンドレイプに加担せず、性暴力の実態を広く啓蒙することが必要。