入浴介助のプロ技~入りたくない方をその気にさせる方法~
デイサービス日常。 以前にも書いた、昼前になると「帰んなきゃいけないんだ」と落ち着かなくなりドライブで気を紛らわす方。 入浴予定だったのだが、今日はいつもより早めに帰宅したいご気分になってしまう。 いつもなら快くいいよ!と入って下さるのだが、「今日は無理だ、、、!」と玄関へ向かう。気晴らしに近所の畑にドライブ。戻ってきて、「あれ?ここはうちじゃないのか?」とやや混乱気味のご様子。 お風呂という単語はその場で拒否になってしまうので(あわよくば入ってもらいたいな、、)と思いつつ、「帰ってきたので手を洗いましょう」とお風呂場までお連れする
脱衣場にイスがあるのだが、そこに座ると風呂場の中に入るまで難しそうな予感があり、 風呂場のイスを示して「こちらで」とお誘いする。 チラッとお風呂場を見て「今日は入んないからね」とボソっと。(笑)もちろんですよ~、と笑いながら内心(こりゃダメか、、)でもダメ元でチャレンジだけしよう。イスに座ってもらい、桶のお湯で手を洗ってもらう。この時頭の中で考えていたのは、、 お風呂に入りましょう、じゃ無理。それに近い行動を少しずつしてもらって、入浴する気分になってもらえないか? 近い行動、、温タオルで顔や手をふく。足湯をする。着替えのため服を脱ぐ。 等が頭に浮かぶ
そこで、まず温かいタオルを絞って、「これでお顔ふいて下さい」と渡す。次に、「看護士さんが足を温めると健康に良いと言ってましたよ」と足湯用のバケツにお湯を入れお見せする。 「ちょっとつかるだけでもいいですから。じゃあ靴脱いでも宜しいですか」「いいよ」とイエスのお返事!すかさず靴、靴下を脱ぐお手伝い。ズボンをまくり、足湯に足をつけてもらう。 「熱くないですか?」「大丈夫」「じゃあ足の裏洗いますね」と、ボディーソープをつけ泡立てたタオルで足をはじめとする洗わせていただく。 この時点で拒否はなく表情も気持ち良さそう。
足を洗い流して、タオルで拭きながら「そうだ、娘さんが着替え用意してくれましたよ、さっぱりするから着替えましょう」とお伝え。拒否はなく、そうか。お返事あり。服を脱ぐお手伝いをして、ここで「じゃあこの桶で体にお湯かけて下さい」と飛躍の一言を、お伝えする。すると桶を使ってお湯をご自分の体にかけ始める。「お湯加減どうですか?」「ちょうどいいよ」とお返事。 ここでNGなら「何でお湯かけるんだよ」「もうあがるよ」など仰る、または何も言わず風呂場を出るので、入浴いけそうだと判断。「じゃあこれで洗って下さいね」と泡のついてタオル渡す。
体洗いはご自分でしていただける。「じゃあ頭洗いますね」と声をかけると、「いや、頭はやめとこう」と拒否されるのでそこは無理強いはせず。「お風呂入ってあったまりましょうか」「そうだな」と入浴してくださる、、良かった! 風呂上がり「気持ち良かった」との言葉もあり満足されたご様子でした。
見当識障害があり、場所の認識や理由の理解が難しい方は、一見入浴するのは難しいように思える。今回の方も、入浴どころか帰る気持ちになっていたのに、手続きをふみ、適切に声掛けすることで入浴してもらうことができた。認識回路がうまくつながったら入浴できる可能性があるということが言える。
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