読書メモを再活用する方法 - Progressive Summarization
セカンドブレインという本がある。
この本は、デジタルリソースを第二の脳として活用することによって、知的生産性を上げることを目的とした本である。原著の著者であるTiago ForteはYoutube チャンネルも開設しており、彼のわかりやすい英語は、常に彼の脳内が整理された状態にあることを示唆している。
また、彼のメソッドを1から構築した話をYoutubeに動画として載せている生産性クリエーターもいる。
本書には様々な特徴があり、PARAメソッドといった整理法も参考になるが、個人的にはProgressive Summarizationという箇所が非常に重要であるように感じたため、これに絞って内容のメモと感想をブログの形で残しておこうと思う。
Progressive Summarizationとはなにか?
Progressive Summarizationとは、セカンドブレインの、情報を抽出するという箇所で出てくる1つのテクニックであり、言い換えればハイライト方法のススメである。
やり方は簡単であり、本の中では以下のように示されている。
これはまず書いたメモを複数回参照することを前提としている点には注意が必要である。この点がおろそかになりがちな人は、他の章、特に前章を参考にして欲しい。
また、そのレイヤーの抽出の仕方も見事である。まず抜書きの状態がメモの1レイヤーの一層目に当たる。そこから重要な箇所を太字にし、(2層目)、さらにハイライトを足すのである(3層目)。おそらく、太字の前に下線を引くという行動を足すことによって4層にすることも可能だろう。
つまりこのようにしていくと、抜書きメモが、高校時代の美しい板書ノートのように、勝手に美しく力点が整理されたノートになっていくのである。
Progressive Summarizationは何が素晴らしいのか
実は、メモをしっかりと整理して、後々見返せる状態にする、そして見返したとしても、そこから情報を使うにはまだハードルがあるのである。このPRogressive Summarizationはこの点を解決する素晴らしい方法である。
例えば本や論文の抜書きを作成したとする。これはReadlaterアプリ(Readwiseなど)や論文管理ソフトを使う方法でも構わない。あとからその抜書きメモを見返すと、当時なぜその抜書きを作ったのか?もしくは今何が重要だと感じているのか?といった実際そのメモを使う上での力点が欠如した状態になってしまっている。また、端的に抜書きやそれへのコメントだけ並んでいる状態だと読みにくい。
Progressive Summarizationはこれに対して、ハイライトにハイライトを重ねていくことによって、どのようにそのメモを読めばいいのかを時の経過とともに明らかにしてくれるのである。
Second Brainの中でどうしてProgressive Summarizationが重要だと言えるのか
Second Brainという本は、端的な表現ゆえ、PARAメソッドといった整理術として理解されることの方が多いように思う。また、我々は皆ミーハーゆえ、どのようなノートアプリを使うとその整理がうまくいくのかという議論にいきつきやすい。
しかしながら、ノートの整理は一旦システム化さえしてしまえば正直いってそこまで難しい話ではないし、PARAメソッド以外にも存在しているのである。また、メモを書くこと自体は読書ノートや日記を書く習慣がある人は息を吸うように行うことができる。
しかしながら、その作成したノートを自らの考えに昇華させたり、さらなる文章を作成することに使うとなると話は別である。なぜならそのノートを使う時には、当時読んだものや考えていたことの力点を忘れてしまっているからである。
また、あるマテリアルAを作品αに使ったとしても、また作品βに使うことがあるかもしれないという点も考えておく必要がある。つまり、集めたマテリアルは、なぜそれを集めたのかという要点を忘れた複数タイミングで利用する可能性が発生するのである。
利用のたびに、じっくりとメモを読み、さらに抜書き前の本文と付き合わせるといった行為はメモの存在意義をゆらがすものである。このProgressive Summarizationは、1回1回のメモの利用時に自然にそのメモを使った自らの思考経路を洗練させたものにしてくれるのを助けてくれるのである。
Second Brainという考え方は、パソコンを使った仕事や、いわゆるブロガー、ノマドワーカーといった何かアウトプットをしたがるホワイトカラーの人間が跋扈する現代社会において、その生産性を上げる上で必須の考え方と言っても過言ではない。ただしそれは単に知識を整理するのではなく、その利用方法まで洗練されていなければならないのである。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?