北国の春
本当に、ようやく春だ。
2年前、北海道の寒冷地帯に移住した。
この場所では、5月に桜が咲く。
桜が咲いてようやく春を感じると同時に、これまでの春の記憶が思い出される。
過去の記憶はいつだって美しい。
皮肉なことに、時が経てば経つほど尚磨かれ美しくなる。
このことは、私を安堵させ、混乱させる。
春。
泣いてばっかり、悩んでばっかり、眠ってばっかり。
おさまらない耳鳴りに、全身の湿疹は1ヶ月経ってもマシにならない。
私の心と身体が一緒になって毒出ししようと頑張ってくれているみたい。
靄が晴れるのは、きっともうすぐだ。
春。
繊細でいて、暴力的で、美しい季節。
今年も迎えられてよかった。