【DAY PEOPLE Vol.4 專能華那】 「自分が頑張る」から「みんなで頑張る」へ
企画、デザイン、設計、運営の領域を横断しながら「新しい場所と価値」を生み出す活動をしているニューディベロッパー・DAY。
連載【DAY PEOPLE】は、そんなDAYで働いているスタッフが「日々考えていること」にフォーカスを当てたインタビューです。
4人目の語り手は、レストラン「儘 MAMA」ホールマネージャーの專能華那さん。DAYで働く中で変化した考えや大切にしていること、これからの夢についてインタビューしました。
不安になるくらい自然体な第一印象
―專能さんはDAYで初めての新卒社員だったそうですね。
はい。2022年の春に入社したので、今3年目です。
―DAYを知ったきっかけはなんだったんですか?
幼い頃から英語が好きで、英語に特化した高校と大学に通っていたんです。大学では観光学を専攻していて、ツーリズム政策や取り組みなどを勉強していました。それで将来観光業に就きたいなと思って、就職活動では旅行会社を見ていたんですけど、いろいろイメージとのギャップがあって。その他にもウェディング業界とか美容業界とか、興味のあるところを見たり受けたりしたんですけど、なかなか決まらず。もう少し視野を広げようと、ホテル業界も見るようになった時に見つけたのがDAYの求人でした。
ーそのとき、DAYは新卒募集していたんですね。
いえ、中途採用だけでした。しかも私はDAYのお店やホテルに行ったことすらなくて。ネット上の情報だけ見て「割と家から近いし、なんか良さそう!」と勢いだけで応募しました(笑)。その頃周りの友達がどんどん内定が決まっていて、かなり焦っていたんですよね。「どこでもいいから雇ってほしい!」みたいな。
ーでも、勢いで応募したら面接まで進んで。
はい。代表の渡部さんに面接してもらったんですけど、ちょうどその頃、ホテルの人員が埋まっていたらしく「レストランの『儘』ならいけますよ」と言われて。私は高校生の頃から飲食のバイトをしていたので即戦力になれそうだし、「じゃあそれでお願いします」と入社が決まりました。当初希望していた部署ではなかったけれど、異動もあるということだったので、とりあえず就活が終わったことにホッとしましたね。
ーその時のDAYの第一印象ってどんな感じでしたか?
「えっ、この人が社長なんや」って感じでした。それまでの就活でお会いした社長さんたちは、みんなドシッとしてオーラがある方ばかりでしたけど、渡部さんはすごく自然体で、いい意味で力が抜けている感じで。私は緊張してバシッとスーツを着て行ったので、「本当に大丈夫かな」ってちょっと不安になったのを覚えています(笑)。
大変すぎて「もう辞めよう」と思っていた
ーDAYに入ってからはどんな仕事を?
レストラン『儘』のホールの担当をしていて、基本的にランチとディナー両方に出ています。最初はお店に来たこともなかったしメニューも知らない状態だったんで、とにかく覚えるのが大変でした。しかも、産休に入る社員との入れ違いだったので、引き継ぎもほとんどなくて。ホールに先輩社員がいないので、探り探り働き始めた感じでしたね。わからないことだらけなので、トライアンドエラーの繰り返しでした。
ーそれは大変でしたね。
最初の1年は、思い出したくないくらいきつかったです。やることがめちゃくちゃ多くて、がむしゃらに働いていたらあっという間に退勤時間……みたいな。なので、最初の一年の記憶がないんですよ。大変すぎて、毎日のように「もう辞めよう」って思っていました。
ーえっ、そうだったんですか!
はい。慣れない勤務で体力的にきつかったのもあるけど、特にしんどかったのは精神的に誰にも頼れなかったことでしたね。しかも、2年目からはホールマネージャーになって責任も増えて。でも先輩のマネージャーがいないから、何をすればいいのかわからない中「とりあえずやらなきゃ!」っていう焦りがすごくありました。お客様からどう見られているんだろうとか、もっとちゃんとしなくちゃとか、もうワーってなってましたね。
ー誰かに相談したりは?
その頃は、会社の人に全然相談しなかったんですよ。母に「同じ会社の人に仕事の不満を話したら愚痴になるからやめときや」って言われたことがあったので、そういうもんかなと思っていて。だから、DAYと全然関係のない同業の友達に「この気持ちわかってくれる?」みたいな愚痴を言う程度でしたね。
ーじゃあずっと自分の中に溜め込んでいたんですか?
そうなんです。でもそうしているうちに、私が周りから浮き始めてしまったんですよ。私以外みんなアルバイトだから、職場の雰囲気が大学生ノリというか、なあなあになってきて。それで私がしつこく言ったり目を光らせるようにしていたら、怖がられるようになってしまったんです。「これはさすがにマズい」と思って、そこで初めて渡部さんに相談しました。
仕事を任せるたびに、仲間が増えていった
ーそこでやっと相談を。
はい。「このままだと私辞めると思います」ぐらいのテンションで。そしたら、すぐ時間作ってくれたんですよ。なんで私がそう思うか、何をすればいいか、分解しながら話を聞いてくれて。その時めちゃくちゃ泣いてしまいました。それで「そうか、渡部さんに言えばよかったんや」って気づいたんですよね。
ーそれはよかったです。
渡部さんって「マネージャーやししょうがないやろ」とか「それでもやらなあかんやろ」とか、絶対言わないんですよ。「しんどいのはなんでやと思う?」「俺は現場にいないから教えてほしい」ってひたすら私の意見を聞き出して、話を整理してくれるんです。絶対に諦めないで一緒に考え続けてくれる姿勢を見て「私も頑張ろう」って思えるようになって。あの時間がなかったらとっくに辞めていると思うので、思い切って相談してみてよかったなと思います。
ーそのとき、自分がどうしてしんどいのか言語化できましたか?
もっと人に頼るべきだったんだと気が付きました。それまでは、ホールのことは全部自分が背負わないといけないと思い込んでいたんです。でも、いろんな人に客観的な意見やアドバイスをもらえばいいんだと気がついて。ちゃんと自分の頭で考えた上で相談すれば、みんな熱心に応えてくれるんだとわかってから、仕事がめちゃくちゃ楽になりました。「そっか、社会人として働くってこういうことやったんか」と。
だから今は、困ったことがあったらすぐ渡部さんか、産休から戻ってきた先輩に相談するようにしています。そういう相手ができてから精神的な余裕が生まれ始めて、だんだん自分で感情をコントロールできるようになってきたような気がします。
ーじゃあ今は自分一人で抱え込むことはなくなったのでしょうか。
なくなりましたね。前は自分がやった方が速いと思っていたけど、「そんなことしたら潰れるで」って言われて。それで少しずつ仕事を任せていったら、少しずつ仲間が増えていきました。そこから山を乗り越えたように思います。
私はこれでも、人の表情を見ちゃう方なんですよ。「今日は疲れてそうやな」とか「何かいいことあったんかな」とか感じやすいタイプで。最初はこんなんでマネージャーが務まるのかなと思っていたけれど、人に相談したりお願いしたりできるようになってから、自信を持てるようになりました。今はやりがいをすごく感じているし、『儘』で働くのが楽しいですね。
一人ではなく、みんなで100点を目指せばいい
ー「辞めたい」と思うくらい切羽詰まっていた頃から、かなり大きな変化があったんですね。
そうですね。やっぱり一人で仕事をしなくなったのは大きいと思います。「私が頑張らないと」っていう考えから、「みんなと話し合ってどう決めていくか」になった。チームとして、歯車がうまく回っている気持ちよさがあります。それがすごく楽しいんですよね。
ーマネージャーって「まとめる」とか「統治する」っていう印象があるけど、みんなで一緒にやっていくために旗を振る人なのかもしれないですね。
そうかもしれません。だから私、だいぶ性格が変わったと思います。以前は、仲の良い学生アルバイトの子に「あの頃の華那さん怖かった」って言われるくらい性格がキツかったんですよ。もともと完璧主義で中途半端なことが嫌いなんですけど、それを人にも求めるところがあって、とにかく100点を取りたかったんですよね。
だからイレギュラーやミスが許せなかったんですけど、みんなで一緒に仕事をするようになってからは「まあ、ミスもするか」「その代わりリカバリーを頑張ればいいか」と思うようになりました。一人で100点を出すのは無理なんだから、みんなで100点を目指したらいいんだよな、と。
ー考え方も大きく変わりましたね。
そう思います。今はだいぶ人の意見を受け入れるようになりました。ちゃんと周りを見て、人の言葉を聞くようにしています。なので、最近は積極的に話しかけるようにしていますね。俗に言うだる絡みです(笑)。「おはよ〜」とか言って、無駄に喋りかけまくるっていう。
ー(笑)
でも、それで向こうも話しかけてくれるようになったり、自分も話しかけやすくなったり、今日の調子がお互いにわかったり。やっぱり喋るのって大事だなぁと思いましたね。
今まではずっと、「アルバイト」と「社員」っていうふうに自分の中で線を引いていたんですよ。でも別に関係ないなと思うようになって。「お願い!」って気軽に頼ってみると、案外みんな気持ちよく引き受けてくれる。それがわかってから、どんどんチームとしての一体感が出てきているような気がします。仕事が楽しいって、内容よりも一緒に働く人との関係性が大事なんだなって気付きました。
ーすごく大きな成功体験だったんだなと伝わってきます。最後の質問ですが、今後DAYで実現したいことはありますか?
『儘』のファンをもっと増やしたいですね。『儘』のことをもっと知ってもらいたい。それで、今度は自分が渡部さんの役に立ちたいです。私がボロボロだったときに、渡部さんが速攻で時間を作ってくれたことですごい救われたんで。渡部さんってめちゃくちゃ忙しいはずなのに、スタッフが困ったらすぐに動いてくれるんですよね。そこを疎かにしないのでとても信頼しています。
ー相談した時のことがずっと残っているんですね。
あの時、「もっと人に相談したらいいんだ」っていう気づきをもらったことで、今の自分がいるので。今度は自分が困った人を助けられるようになりたいですね。
取材・文 土門蘭
写真 辻本しんこ
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