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論文レビュー『物語を物語を使ったマーケティングが有効となる条件と その限界に関する試論』1−1

滋賀大学経済学部研究年報報 Vol.28に掲載されている清宮 政宏教授の論文のメモです。個人的意見は、太字で書いています。2部構成です。

Ⅰ はじめに

物語(ものがたり,話し,語り)を使い,それを製品・サービスに付随させることによって,マーケティング活動では機能的価値だけではない意味的な価値を付加させることができる。また顧客の印象を強化でき,売手と買手で共有する文脈形成にも繋がって,顧客との良好なコミュニケーションの足掛かりになるともいえる
→物語を使用する事で、生まれる効果

物語を付加すれば、マーケティングで必ず成果が得られるというわけでない。
→押し付けられた話から嫌悪感を感じる顧客もいる。物語を活用するには、いくつかの条件が必要であろう。

本稿はマーケティング活動の中でも,特に販売促進的な活動を想定して物語を使い,それを有効とするにはどうすれば良いのか,またどのような条件で有効となるのかについて,いくつかの事例や事象をもとにしながら,羅列的ではあるが考察を行い,仮説の提示を目指す。

物語のある商品は、差別化として大きな要因であるが、確かに条件はあるように思う。一貫性と物語という抽象度の高いものをいかに具体にするかのプロセスにも一定の難しさがあるように思える。この難しさを可視化するには、芸術系が役に立ちそう。

Ⅱ 物語がマーケティングに適用できると考えられる対象と範囲

物語が使われている時とは、どのような場面であろうか。
・物語そのものが製品
・製品の背景に物語がある
・物語を空間として提供
・物語型広告
・物語型販売促進
・物語型の企業コミュニケーション

Product、Backbone、Place、Promotion、IRみたいなもの?かな?
企業<背景→製品→提供方法→マーケティング>で図式できそう。この5つ段階で物語は使用可能である。

Ⅲ 物語に関係する主だった研究

・Propp(1928)
昔話を分析し,多くの物語は31の機能・要素に集約され,それらの結合で物語は構成されるとした。
・ Campbell(1949)
特に神話で英雄が登場する物語の構造を分析し,それらの物語では,主人公(英雄)が日常と異なる冒険の旅に出て,イニシエーションを経て仲間と出会い,様々な困難を乗り越えて,元の世界に帰還するという構造を持つとした。
→100の顔を持つ英雄やん
・ Voglar(1998)
物語を,主人公が元々いる日常世界(Ordinary World)と,冒険への誘い(Call to Adventure)の2つに分けて,前半では主人公に仲間が出来,敵対者が現れて試練が与えられるものとし,後半では試練を乗越えて主人公
が報酬を得て帰路につき,何かの宝物を持って元の世界へ戻るとした。
・福田(1990)
広告代理店での実務に基づいた経験から,様々な事例を用いて物語を使用し
たマーケティング活動について言及し,その用い方や効用について示している。そして物語の素材や演出によって,マーケティング活動そのものや,対象市場・顧客を変えて行くことができると説いた。
・新井・福田・山川(2004)
物語を含めた幅広いコンテンツ(小説,音楽,イベント
内容も含め)の分析を行い,物語,音楽やスポーツイベント,教養などの幅広いコンテンツマーケティングの在り方について示している。
・大塚(1989,2012,2014)
物語とマーケティングの関係を同様に論じながら,消費されているのは「世界観」であり,それが時代ごとに変わることや,それらが少しずつ変わりながらも繰り返されることを示した。
・Stern(1994)
それを古典的・伝統的ドラマと,挿入装飾的なドラマに分けて提示。
・Escalas&Stern(2003)
挿入装飾的なドラマとSympathy(共感) と Empathy(感情移入)の因果関係についての分析を行っている。
・Escalas et al.(2004)
物語の構造や評価尺度の提示を行い,それを用いた実験の分析結果を示している。
・津村(2014)
テレビ CMの効果を探るために,購買意図を GRP(Gross RatingPoint:延べ視聴率)で割った数値を効果指標とした重回帰分析を行い,「ストーリー展開が面白い」ことが効果に寄与していたとしている。
・津村(2018)
物語広告の中で有用となる要素は,登場人物,意図性,因果性,物語
構成であり,これらが受手にどのように理解されるかが広告の効果に影響を与えることを示している。
・福田(2018)
物語広告における物語性と情報提供性に着目して,物語性と情
報提供性の双方が高い広告はあるものの,分析の結果,物語性が高いと情報提供性が弱まることを導き出した。
・下村(2014)
広告効果と感情の因果分析を行い,消費者の物語広告への感情(共
感だけではない)の喚起がなされ,それがポジティブに働くかどうかが重要になることを示している。

気になるものはググろう!

Ⅳ 販売促進で使われる物語

バレンタインデーのチョコレート、クリスマスのKFC、ハロウィーンのカボチャ、ハロウィーンなど、様々な販売促進活動において、顧客が想い描く物語の中で購買・消費に何らかの意味を持たせて行動をとらせるために,物語
は使われている。

意外と身近に物語が活用されていた。

Ⅴ 課題

販促に物語を活用するには、いくつかの条件がある。
・物語を顧客に理解してもらうために、最小限の知識を顧客が持っている必要である。
・知識を身に付けるための顧客を教育、啓蒙する必要がある。

物語から想い浮かぶモノやイメージと,販売しようとする製品・サービスとが一体化・同一化してこそ効果が上がると思われる。

物語の使用って顧客依存になるよな。顧客のペルソナは何かによって変化が考えられる。あとは、顧客の

物語使用の課題
・物語マーケティングが有効となる条件が明示されていない。
・物語マーケティングをより効果的に行うための方策を明示されていない。
・物語マーケティングを適用できる範囲や限界を明示されていない。


続きの更新されています。是非こちらも一読してみてください。


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