日本海側で最も塊肉を焼く男? 予約が取れない店『肉山』新潟の店長が"美味しい"を求め進化を続ける理由
広報の平田です!
今回は『肉山』新潟で好評の"塊肉"について、美味しさの秘密に迫ります。
お話してくれたのは、服部貴幸(はっとりたかゆき)さん。
新潟駅近くにある『肉山』新潟の店長です。
※『肉山』新潟の記事はこちら
『肉山』新潟は2016年11月にオープン。オープン以来、おかげさまで“予約のとれない店”として有名になっています。
服部店長はオープンから今まで5年以上にわたり、毎日毎日肉を焼き続けてきました。
その服部店長が5年を経て、さらなる進化をとげました!
なんと肉を焼く方法などを変えたのだとか。
今でもお客様からかなりの高評価をいただいている『肉山』新潟。なぜ5年経ってから、肉を焼く方法を変えたのか?!
気になる服部店長の本音を、根掘り葉掘り聞いちゃいました!
・・・
どんなに人気のブランド牛でも、赤身肉は“ただ焼く”だけでは美味しくならない
平田: 今日はよろしくお願いします!
服部店長のインタビューは、このnoteが始まってすぐの2021年6月以来ですね!
※前回のインタビュー記事はこちら
服部: よろしくお願いします!
平田: 今回は服部店長が自ら「noteに取り上げてほしい!」と熱烈なオファーがあったので、このインタビューになりました。
どうしてnoteに取り上げてほしいって思ったんですか?
服部: 実は最近、肉の焼き方を変えたんですよ! それを多くの方に知ってもらいたかったんです。
お客様から「note読んでるよ」と言われることが多くなってきて、noteを使って“焼き”にこだわる理由を伝えたいなと思いました。
営業中の接客だけだと、全員には伝えきれないこともあるので。
平田: なるほど! そういう使い方もアリですね。(今後noteで取り上げてほしいスタッフは、ぜひ平田まで!)
それでは早速、思う存分に語ってもらいましょう!
服部: 話が長くなるけどいいですか?(笑)
平田: どうぞどうぞ!(笑)
服部: そもそも“焼き”へのこだわりって言ってますが、みなさんが焼肉屋で自分で肉を焼いても十分に美味しく食べられますよね?
そんなに“焼き方”にこだわる必要があるのかな?って思われているかもしれません。
ただ『肉山』で扱っているのは、熊本産の「あか牛」がメイン。ほとんどが赤身肉で、しかも塊肉。
これ焼き方がとても重要になるんです。
平田: そうですよね。赤身肉を塊肉で焼くっていうのが『肉山』スタイルですもんね。
服部: それが売りですからね。焼肉屋で扱ってるカルビとか霜降り肉なんかは、脂が多いので誰でも上手に焼けると思います。
香ばしくカリッと焼けて、ジューシーに仕上がりますよね。
ところが赤身肉はそうはいかないんです。焼きすぎると硬くなっちゃうんですよ。焼き方が難しい一方で、赤身肉をベストの状態に焼き上げると噛めば噛むほどにあふれる肉本来の凝縮した旨味を楽しめるんです。
また赤身肉の中でも塊肉を使うことで、肉汁を閉じ込めることができます。旨味を逃さずにジューシーに焼き上げられるんです。
光山総帥(『肉山』創業者の光山英明氏のことです)も言っているんですが、「赤身肉の塊肉を美味しく焼く」っていうのが『肉山』の永遠のテーマなんですよ。
※以前の光山総帥の特集記事はこちら
『肉山』新潟オープン。 その時創業者の光山氏がくだしたまさかの評価とは?!
平田: なるほど。前回のインタビューでも言ってましたが、服部店長は調理経験がなかったのに『肉山』新潟で働くことになりましたよね。
“焼き”に対する苦労って、ありました?
服部: 調理経験がなかったので、吉祥寺の『肉山』(“赤身肉の聖地”“総本山”とも呼ばれる『肉山』の本店)へ行き、光山総帥の元で修行させてもらうことになりました。“焼き”も何もわからないままで。
皿洗いから始めてお肉の仕込み方を教わり、焼き方も教わってという流れでした。
その時に「とにかく肉をたくさん焼かないと上達しないよ」と言われて。
平田: 確かに…。肉焼きは経験が重要そうですよね。
服部: 入ってすぐの時に「一回焼いてごらん」と言われて、見よう見まねで焼いてみました。
その時は自分でもびっくりするくらい、見た目はいい感じに焼けたんですよ。
でもお店の方が焼いたものと食べ比べたら全然違いました。
僕のはパサパサ。お店の方が焼いたものは、すごくジューシーで旨味もたっぷり。
同じお肉を同じ方法で焼いたのに、味も柔らかさも全然違うんですよね。
こうまで違うものか…と最初に“焼き”の大切さを知らされました!
平田: “焼き”に対するファーストインパクトですね!
何がそんなに違うんでしょうか?
服部: 経験だと思います。「たくさん焼かないと上達しないよ」って言っていた意味がわかりました。
たくさん焼かないと、微妙な肉の焼き加減がわからないんですよね。
見た目とか匂いとか温度とかは、実際に焼いて感覚を身につけていく感じです。
とにかく経験してみないとその感覚はわからないんだなと。
もう、そこからは必死ですよ。
営業中も営業後もスキがあれば肉の焼き方を教わって、実際に焼かせてもらってました。
とにかく、たくさん焼かないとなって。
平田: なんとなくロッキーのテーマがかかってそうですね!(笑)
服部: いえ、まだ続きがあるんですよ!
修行が終わっていざ新潟のお店がオープンのタイミングで、光山総帥に来てもらったんです。
僕が焼いたお肉を総帥に食べてもらったんですけど、評価は「0点」でした。
焼き方が全然ダメって。
もう、それが悔しくて。
ここでロッキーのテーマがかかります!(笑)
平田: (笑)
服部: スーパーで安い塊肉を買って店で焼いて、家でも焼いて…を続けていました。
とにかく“焼き”を上達させたかったんですよ。
平田: 実際にどういう感じで焼くんですか?
服部: 『肉山』にきたことがある方は見たかもしれませんが、炭台の上でお肉を頻繁にひっくり返しながら焼いています。
最初に近火(強火)で中に肉汁を閉じ込めるイメージです。表面に焼き色をつけたら遠火(弱火)にして、ひっくり返し始めます。
コロコロ転がしながら焼くことで、中の肉汁が対流している状態になります。
いい頃合いになったらバットに移して、アルミホイルで覆ってお肉を休ませます。この時に熱い肉汁が肉の中を回って、余熱で火が入っていきます。
平田: ふむふむ。
服部: それで牛肉の芯温(中心の温度)が58℃になるように仕上げます。
平田: 58℃に仕上げる理由とは?
服部: お肉の中に含まれるタンパク質が固まり始める温度なんですよ。
これ以下だと生のままなんです。温度をもっとあげちゃうと、水分が分解しだして肉汁が逃げちゃうんです。要はパサついて硬くなっちゃいますね。
この温度をキープすることで、『肉山』ならではの“焼き”に仕上がります!見た目は鮮やかな赤を残しながら決して生ではなく、中まで温かくて柔らかくなるんです。
平田: なるほど! でも58℃の仕上がりは、どういうふうに判断するんですか? 温度計を使うんですか?
服部: いや、使わないですよ。こればっかりは感覚になります。焼きながらお肉を触って確かめます。人差し指に全集中して、最高の焼き上がりのタイミングを見極めるんです。
たくさん焼かないとわからない感覚だと思います。自分でもこの感覚がわかったときに、ようやく“焼き”に対する気づきを得たんですよね。
平田: “焼き”に開眼した瞬間だ!
触っただけで温度がわかる…。まさに職人技ですね!
「もっと、美味しいお肉を焼けないか?」 5年間毎日塊肉を焼き続けた男の挑戦
平田: 服部店長は職人として“焼き”にこだわり続けて5年が経過しました。もはや日本海側でもっとも塊肉を焼き続けている男なのかと思います。
今でもこだわり続けていることってありますか?
服部: 日本海側でもっとも塊肉を焼き続けている男、ですか。(笑)
調理経験がなかったのに毎日5年間も塊肉を焼き続けることができたのは、本当にありがたいです。
でも「もっと美味しくお肉を焼けないか?」とは、ずっと考えています。
焼き方も5年の中で自分なりに、いろいろと試行錯誤を重ねてきました。
ただ修行の期間が長かったわけではないので、もっと教わっていれば…という気持ちはありました。長ければもっと美味しくお肉を焼けていたんじゃないかと。
ここでようやく本題に入ります!(笑)
平田: ずいぶん長い前振りでしたね。(笑)
服部: はい! もっと"焼き"を追求するために、他の『肉山』に行ってみたいと思いました。
『肉山』は海外も含めて全国にお店が15店舗以上あるんですが、光山総帥はお店ごとに自由にやっていいよっていう考えの方なんですよ。
実際、お店によって色々違うんですよね。それでSNSで他の『肉山』をチェックしていると、埼玉の大宮とか千葉の本八幡(もとやわた)の焼きがいいなって思ったんですよ。
平田: そんなに差があるんですね。
服部: うちの社長(ダーンディッシュプロジェクトの大谷社長)も「大宮は評判いいよね!」って言っていて、それで新潟から一番近い大宮に研修に行かせてほしいとお願いしました。
そうしたら「すぐに行こうよ!」ってなって。すぐに行く機会を作ってくれた会社には感謝しかないです。
“焼き”を追求するために、『肉山』おおみやまで修行へ!
平田: そういう経緯だったんですね!
で、実際行ってみて違いました?
服部: 違いましたね。まずは炭台から違いました。うちでは2段で組んでいるんですが、大宮は3段。それも店長の自作で。
平田: 段数の違いにはどういう影響が?
服部: 近火と遠火を使いわけて、火の入れ方に差をつけられます。
保温もできるんですよね。
うちよりも熱々のものを提供していました。
平田: いきなり違ったと。他にはどんなところが違いましたか?
服部: 一番は焼き方ですね。大宮ではうちよりも表面にしっかり焼きを入れるんですよね。
そうすることで香りも良くなりますし、美味しくなると。
あとは大宮の小野寺店長と話をしていると、お客様の満足度をいかに高くするかって常に考えていたんですよね。
もちろん僕もいつも思ってますけど、そこは負けられないなって!
平田: いいですね! 大宮での研修を終えて、新潟では何を取り入れましたか?
服部: まずは焼き方ですね。大宮みたいにしっかりと焼き色をつけるようにしました。これはすぐできるなと思って、戻ってきてからすぐに取り入れました。
具体的には今までよりも炭を増やして、火力を強めました。まず最初にしっかりと焼き色をつけ、香ばしくすることを意識しています。
平田: こないだお店に食べに行った時に思いました! 豚も変わってましたよね!
服部: 気づいてくれましたか?! そうなんです!
豚は、今まではあまり焼き色をつけないようにしていたんですよ。
でも大宮は豚にもしっかり焼き色をつけていて、香ばしくて美味しかったんですよね。
なので牛と同じように、しっかり焼き色をつけています。
平田: 実際、美味しかったですよ!
服部: ありがとうございます!
他にも肉のカットの仕方も変えました。今までとはわずかな差なんですけど。
これは僕の感覚なんで、そこまで違いが伝わるかはわかりませんが…。
平田: 色々と変えてますね! 実際に変えたことで、常連様の反応はどうですか?
服部: 毎月きてくれる常連様から「焼き方変えた? 美味しくなったよ!」って言ってもらえました。
目指すは宇宙一?『肉山』新潟の店長の挑戦はこれからも続く!
平田: おぉ!やっぱり細かい工夫を重ねることで味がかなり変わってくるんですね!
6年目を迎えて、今後の『肉山』新潟をどうしていきたいですか?
服部: うちの会社のWAY(行動指針)の中に、チャレンジってあるじゃないですか。
まさにその通りで、常にチャレンジしていこうと思います。
“焼き”はもちろん、どんなことでも今までよりも良くなるのであればどんどん色んなチャレンジをしていきたいですね!
もっともっと『肉山』新潟を進化させたいです!
そして、日本一美味しい塊肉を焼く男になりたいです!
平田: どうせなら世界一を目指しましょうよ!
服部: なら…宇宙一を目指します!!
平田: 頼もしいですね! 更なる進化を楽しみにしています!
・・・
服部店長、今回はお忙しい中ありがとうございました!
入社して6年目に入っても、現状に満足せず最高の肉焼きを追求し続ける服部店長。
これからもさらなる進化をしていくと思います!
ぜひみなさんも、さらにバージョンアップした『肉山』新潟を楽しんでください!
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