定点観測は大切
職場の帰りによく、某ブックオフに定点観測を行っている。こちらのブックオフはこの近辺では最大級の品ぞろえで、週2回ほど定点観測をしているのだが、何かしら入手できるものがあるというオソロシイブックオフだったりする。神保町もそうなのだが、とにかく回転率がよくて、棚が死んでいないのがすべてなのかもしれない。
自分の定点範囲はノンフィクション(社会科学系)、外国文学、国内作家、新書なのだが、その中でも特に海外文学の充実ぶりは異常なくらい。1か月ぐらいすると、新刊も含めてかなりの数の海外文学の珍しいところが手に入ることが多い。ここのところ1年ほどでは、買い忘れていたドン・デリーロ、岩波から復刊していない『死に魅入られた人びと:ソ連崩壊と自殺者の記録』(群像社)、銀林みのる『鉄塔武蔵野線』(SB文庫)をゲットしている。特にアレクシェーヴィッチの本はノンフィクションのところにあったので、ゲットしたときは目を疑いました。このように買取量も多く、回転率が速いブックオフを定点観測すると、自分が探している本に出会う確率が高まるのは事実である。
考えてみると過去にもブックオフでかなりのレア本を見つけてきたが、一番お世話になったのは町田のブックオフだっただろうか。当時は高原書店もあって、町田まで出向いて本を入手するインセンティブが結構あった。新古書店は、色々と功罪もあるのだが、当時の100円均一コーナーは本当に充実していた。今は残念なことに価格が上昇しており、330円~370円均一にハードカバーが、文庫も110円から220円均一になってワンコインの興奮はなくなったものの、社会人になった今はそこまで高い買い物でもない。
ブックオフの良いところは、新旧交えて色々な本が棚に刺さっていることだ。新刊書店の棚はその意味では、整っている棚である。ブックオフのごった煮棚の状態こそが、ある種の化学反応をもたらしている。つまりあるジャンルを見ていたら、ふと思いもよらない本が出てくるセレンディピティ。そう、まさにチョコレートの箱のような中身なのだ。そのおかげで自分の積み本が膨大な量になっているものの、本は存在しているだけでも十分自分の血と肉になっている。だから毎週、ブックオフに通って均一棚や海外文学棚をチェックする、思いがけない出会いのために。
ここ数年、欲しい本についてはお金で解決できるところはあるけれども、やはりその場に行って見つけるという行為こそが楽しいのではないかと、僕は思う。場と本の記憶が紐づけされるからだ。なので、現場での捜索は本当に重要である。友人たちと古本ツアーしたときにゲットした本たち、お勧めされて買った本たちetc…、強烈な記憶になっていることも多い。ソロで買うことが多くなったので、(齢を重ねたとはいえ)。またどこかで古本をみんなでワイワイと買いに行きたいものだ。
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