見出し画像

本を管理する

帯って不必要?

帯って要らないんじゃね?という派の人も多いと思う。なければない方がいいのだが、帯自体は日本で発達した文化だと思っているので、新刊書店で買う時はできる限り初版帯を入手したいと考えている。というのも、帯には編集者や著者の想いが込められた推薦文や広告が載せられていたり、帯そのものが本の装丁の一部になっていたりするからだ。もちろん本本体が読めることが重要なので、まずは本を入手。もし帯があれば、帯付きの本を(のちほど古書店で安く見かけたら)買うというスタンスでいる。

本をいかに新刊同様の状態で保存するかは、自分よりも書物愛に溢れた蔵書家の方々が日々悪戦苦闘しているに違いない。特に本の帯にこだわりを持っている人も多いはずである(と信じたい)。中公新書以外の本についても状態が良いものを集めている自分は、なかなかに業が深く、友人たちからも「それはちょっと…」みたいにドン引きされることがありましたw。その中でも特にこだわりを持って探しているのが、状態の良い帯である。完璧なコレクションを目指す、というわけではないが、帯があった方がいいという意識は常に持っている。

「美帯イスト」を自称する自分は、帯の管理に気を遣っている方(だと思う)。移動の際にスレにならないようにカバーをしたり、カバンに本を詰める際に帯が破れないようにするためにカバーをしたりと帯に興味のない人にとっては、どうでも良いようなこだわりを持って帯を保護している。帯を外す派の人にとっては、本当どうでもいい話なんだけど、帯を気にする人はたぶん何らかの保護策を考えているに違いない。

帯の最大の敵:それは紫外線

美帯には最大の天敵がある。紫外線だ。例えば中公新書には、黄色・オレンジ・赤などの暖色系の帯も多く、蛍光灯や太陽光の紫外線によって帯が焼けて、帯の色が均一ではなくなり、原型をとどめないほど白っぽくなった帯を見ると悲しい気分になる(そしてセヤケしていない帯を求めて古本屋の均一棚を散策したり、ネット古書店等で帯の状態を確認してから購入することになる)。

新刊書店で購入する本の9割ぐらいは、帯がついているといっても過言ではない。本を読んでいるうちに、帯は思わぬ事故に巻き込まれることがある。
子供がやってきて、帯を破く、近くに置いて置いたお茶の結露で濡れたり、本の移動中にスレたり、最悪破れたりすることもあるため、書店でつけてもらう書皮がない場合は一定の保護策が必要になってくる。そのため、新刊で購入する際は、カバーをお願いしている。書皮はセヤケからも本を防護してくれるので助かるのだが、いかんせん本の中身がわからなくなってしまうのが難点である。最近は書皮にタイトルを書いて置くという手段で対応しているのだが、紙の品質上長く利用していると劣化してくるので、本を丁寧に扱いたいのならば、別の手段で保護を考える必要が出てくる。

グラシン紙とトレーシングペーパー

そのためトレーシングペーパーあるいは、トレーシングペーパーよりもやわらかいグラシン紙によって本及び帯を保護することになる。これらの紙にするだけで、本体と帯が同時に防護される。そして紙本体が透明なため、本の背表紙が透けて見えるおかげで、本の個体判別が楽になる。どちらの保護紙を使うのかは好みになるが、トレーシングペーパーのメリットはそこそこの固さがあるので、濡れに強い。グラシン紙は手触りなどもよいのだが、濡れには弱く酸性のため、あまりセヤケ対策はできないので直射日光のもとには当然置けないので、遮光カーテンなどの対策が必要となるだろう。

基本的にグラシン紙を利用しているが、昔は大判のグラシン紙を入手して自分でカットする必要があった。現在、ある程度の大きさ(381×254mm)にカットされて販売されている500枚入りのグラシン紙を入手し、利用している。グラシン紙を利用する以前は、すでにある程度の大きさで纏め売りされているトレーシングペーパーを利用していた。ここは好みになるだろう。グラシン紙は、新書・文庫・ハードカバーにも対応でき、トレーシングペーパーよりも薄口なので巻きやすく、コスパもよく重宝している。また本の保存によって、長期保存も重要であり、紙の材質が中性紙に近い酸性紙であるのでそこまでは劣化しないこともある。

特に中公新書は1000番台になる前にビニカバから現在のカバーに移行し、帯が外帯になってしまったことで、帯の破れ、ヤケなどの恐れがある。そのためいかにして、紫外線対策をして、帯を大切に守るかということにある。一番の方法は、ケース等に入れて保存するのが大切だと思うが、それはやはり寂しい。そこで紫外線が強い場合は、グラシン紙だけではセヤケしてしまうために書店でもらえる書皮を利用して本棚の前面におくか、箱の中で保存するなどするしかない。箱詰めしていて、探すのが億劫になってしまったため、本棚に収納しているのだが、蛍光灯対策として遮光カーテンを買うべきなのかもしれない。でもそれをしていないのは、まだ甘いのかと自分では思う。まるでドラキュラのごとく、住む場所は暗い方が好きになってしまうのは古書マニアの悲しい性である。ほかの蔵書家の方々がどのような帯の保存をしているのか、知りたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?