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現状の外側に踏み出すとは

苫米地式コーチング認定コーチの萩原崇です。

現状の外側」というのは、ゴール設定の3つのルールの一つであり、これまでも重要なキーワードとしてありました。

この「現状の外側」というキーワードが『オーセンティック・コーチング』の中であらためて強調されていました。
コーチングのコアは、ゴールとゴール設定。ゴールは現状の外側に設定する、と。


苫米地博士の研究成果

実はこの「現状の外側」という概念は、苫米地博士が、故ルー・タイスと一緒にPX2プログラムを作成している中で導入したものでした。

PX2理論そのものは、世界の科学者の協力を得て、脳科学や心理学における、特に認知科学領域における最新の研究成果をもとに開発されたプログラムです。
(中略)
私自身も、ゴール設定における構造的インヘリエンシー制約の導入や、ホメオスタシス理論によるコンフォートゾーンとゲシュタルトモデルの再構築など、いくつかの重要なモデル構築に貢献することができました。

苫米地英人著『すべてを手に入れる 残り97%の脳の使い方』あとがきより

インヘリエンシーとは

インヘリエンシー(=内因性)」はディベートで使われる用語です。
合わせて「現状」という用語も使われます。

ディベートの「現状」とはStatus Quoのことで、単なる瞬間的な現状のみを指すのではなく、現状を維持した場合に生じるすべての状態を含んでいます。現状維持によって起こり得ることはすべて現状(Status Quo)となります。

インヘリエンシーには3種類あり、構造的インヘリエンシー、行動性インヘリエンシー、実在性インヘリエンシーと区分されます。
その中の、構造的インヘリエンシーがコーチング理論に組み込まれた部分です。

構造的インヘリエンシーとは

構造的インヘリエンシーとは、仕組み上の障壁があり、その障壁を取り除かないと(=現状を変えないと)、解決策が打てないという論理です。

仕組み上の障壁(barrier)は、法律、条約、判例などが当たります。

つまり、問題(harm)はその制度によって生じている(=内因性)ので、その制度がある限り(=Status Quo)続いてしまうため、解決するにはその制度を変えましょう、という論理ストーリーになります。

現状の外側にゴールを設定する意味

このインヘリエンシーの概念が認知領域に応用され、コーチング理論に組み込まれました。
(正確には、ルー・タイス氏が無意識で実践していたことを苫米地博士が理論体系化しました。)

現状(Status Quo)によって問題(harm)が引き起こされているのであれば(=内因性)、その現状を変えないと解決策が打てない、という論理です。

ディベートでの現状は、政策方針や法令などによる制約ですが、コーチングでの現状は、自己イメージやコンフォートゾーンによる制約となります。

現状の内側にゴール設定してしますと、問題を内因している現状を肯定することになるので、ますます今の自己イメージやコンフォートゾーンが強固なものになってしまいます。

現状の外側に向かって飛び出しましょう!