Dancing in the dark
「踊ってるみたいに歩くね」
とAが言った。Aは私の恋人(便宜上)だけど、彼氏彼氏と連呼するのは恥ずかしくて、また本当のことを言うとAは私に彼氏と呼ばれるのを嫌がるので仮にAとしておく。駅から家に向かう道の途中で、夜だった。私もAも別々にイヤホンをつけていた。話すことは何もなく、でも一緒に歩いていて、一応声をかければお互いの声に反応はできた。
踊るのは好きだ。音楽が流れると体が動く。デタラメにダンスするのが好きだったから、音楽を聴いていた私はAの言う通り踊ってるみたいに歩い