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秋 夜

10月
ずいぶん寒くなった
夏はもう遠くに
冬が近づいている

平日に休みを取り
一人で山の中の温泉へやって来た
帰ろうとする頃にはもう日が落ちていて
あたりはオレンジ色から暗闇に変わろうとしている

古びた家に灯りがついている
空は高く
四方を森林に囲まれている
心地よさと少しの怖さが一緒に存在しているような時間

寒くなって来たからか
暗くなって来たからか
死が頭をよぎる
いつか死ぬという当たり前のことが
自分にも起こると知る

冬が来るように
夜が来るように
いつか意識も暗がりへ
いや光の中へなのか

どんな感じなのだろうか
寂しいだろうか
不安だろうか
ほっとするだろうか

暖かいものに包まれるように死にたいと思う
この地球のどこかへ還って行くように死にたいと思う
だから
暖かいものを育み
健やかな地球と戯れたいと思う

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